第七三九話 「ログハウス」
「新しいお家ですか?」
「ログハウスってやつッスね。」
「うにゃ、外には出れないのにゃ?」
「あれ?あれは暖炉ですか?」
四者四葉の感想が漏れるが、今回淫魔法【ラブホテル】で繋げたのは、ミツキの言う通り貸しログハウスだ。
客室露天風呂付コンドミニアムタイプのログハウスで、1棟貸しではなく、一人当たりいくらという本来の料金体系の違いから、いつも繋げている別荘より合計額にするとお高いため、今までは使ってなかったのだが、淫魔ランクが4になった今では問題なく繋げることが出来た。
「結構、広い施設だからね、探検しておいで。」
「はい。」
「了解ッス。」
「うにゃ!」
私の掛け声で、それぞれ散っていく三人娘。
それをみながらサオリさんは優しく微笑んでいる。
「サオリさん。」
「はい?」
「実はここ、小さいけど、天然温泉の露天風呂も付いているんです。」
「わたしもちょっと見に行ってきます!」
おう、思った以上に食いつきいいな。
みんなが施設を見ている間に、私は選んだものがちゃんと届いているかチェックしておこう。
▽▽▽▽▽
「へんな3階からお外に出たら、全然違う景色だったにゃ。」
へんな3階?
ああ、ロフトの事か。
2階から降りて来たチャチャが不思議そうにそう語っている。
このログハウス、2階は大小2つの寝室があり、大きい方の寝室からは、更にロフトに繋がって、そこからバルコニーに出れる造りになっていたはずだ。
チャチャのいっている、全然違う景色というのは、本来このログハウスが立っている場所の景色のことだろう。
2階は、ちょっとした秘密基地みたいな造りになっているので、探検のし甲斐があったと思う。
小さい方の寝室なんて、いかにも屋根裏部屋って感じの天井のつくりしてるしな。
▽▽▽▽▽
「ここ、外にもテーブルあるんスね。」
南側の大窓からテラスに出ていたミツキが玄関から戻って来た。
本来、このログハウスには、外から階段を上がってから、建物をL字に囲む大きなテラスを経て、外扉を開け、玄関に入り、そこで靴を脱いで、内扉を開けて建物内に入る、という造りなのだが、その外扉に淫魔法【ラブホテル】をかけて繋げているため、内側から出ると、ベースである里の離れの裏口に、外側から入ると、建物の中へと、今のミツキのように普通に出入りが出来る。
が、ちょうどその外扉の前にミツキの言った大きなテーブルがあって、そこが屋根付きのバーベキューテラスになっているので、この後の事を考えると、外扉からの出入りのデフォルトを離れじゃなくテラスへの出入りに設定しておいた方が良いだろう。
「実は、今晩はそこでバーベキューでもしようと思ってね。」
「バーベキューッスか!いいッスね!」
ミツキの顔がパッと明るくなる。
結構ミツキとは、外でバーベキューを一緒にしているイメージがあるが、何度やっても良いものらしい。
ちなみにチャチャもつられて万歳してるが、バーベキューの意味は分かっていなさそうな気がしないでもない。
▽▽▽▽▽
「お父さん、なぜか冷蔵庫にお肉がいっぱい入ってます!」
まあ、今回は、そういうプランにしたからな。
具体的に言うと、客室露天風呂付コンドミニアム、焼肉&ビールサーバープラン(5名様)という形で【ラブホテル】を繋げてみた。
正直、肉がちゃんとついて来るか不安だったのだが、普通のラブホテルに繋げても冷蔵庫に酒やつまみが入っていたことを考えれば、成功しても当然か。
ちなみに冷蔵庫に入っているのは、焼肉5種盛りセット(牛カルビ、サガリ、豚肩ロース、鶏もも肉、豚バラ)に牛タンと若鳥せせりを追加したもので、たれはもちろん、野菜盛りや焼きそばも付いている。
本来2人前ずつのセットなので、都合、6人前用意して入っているはずだ。
「今晩用のお肉だよ。中身出したら、明日の朝用の材料を入れておくね。」
「わかりました。」
「お肉にゃー!」
冷静なサナと再度万歳するチャチャ。
「それじゃ、今のうちに火を起こしておいた方がいいッスか?」
「そうだね、お願い出来るかい?」
「了解ッス!」
「じゃ、あたしは、お皿とか用意しておきますね。」
「ああ、サナ、今回、コップはこれを使って貰えるかい?」
チャチャにゃ!
お外に出れたけど、柵の向こうに、にゃんか見えない壁があって、頭ぶつけちゃったにゃ。
でも風は吹いてくるにゃよ?
次回、第七四〇話 「ビールサーバー」
にゃ?!晩ごはんは、こんなにたくさんのお肉なのにゃ!
今日もごちそうなのにゃー。




