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第七三一話 「残業」


 「流石に疲れた……。」

 「うふふ、お疲れ様です。」


 集会が終わった後、サオリさんと各家の井戸訪問をしてきた。


 と、いうのは簡単だが、単純に数えて里の家は50件以上。


 うち、半分以上は河川や共有井戸から水を取ってるので、井戸持ちの家は20件程度。


 さらにそのうち、早乙女家系の浄化済みの井戸を除けば、15件が今回のその対象だ。


 その分をいわゆる残業をして、調査、鑑定していたのだが、サナ達三人娘も現在、身籠っている最中の女性たちが使っている共用井戸の浄化を3か所ほどして帰っているはずなので、泣き言は言えない。


 それでも、全箇所の鑑定が終わって離れに戻るころには、とっぷり日が暮れてしまっていた。


 鑑定の結果はかなり良好で、地下河川を水源としている井戸は、すでに鬼灯水が流れたか浄化後の水で希釈されたか、どちらかの理由で普通の井戸水に戻っている。


 地下の大きな水たまりを水源としている井戸は、サナ達の浄化活動の関係で、まだらな調査結果となっているが、こここそ、効率的な水質浄化のためには、事前の調査が必要なので、手間はかかったものの、調査したかいがあったと思う。


 また、その中でも上流側の井戸は既に普通の井戸水に戻っているので、要所要所を浄化するなどして、上手くいけば3日どころか、明日中になんとかなるかもしれない。



▽▽▽▽▽



 「ただいま~。」

 「ただいまもどりました。」


 「おかえりなさい、お父さん、お母さん。」

 「おかえりにゃー。」


 離れに着くと、サナとチャチャが出迎えてくれた。


 「あれ?ミツキは?」

 「ミツキちゃんは河原でお風呂の用意をしてますから、先にお風呂入って来てください。」

 「おふろ?!」


 サナの言葉にサオリさんの目が光る。


 「それじゃ、いきましょう!レン君。」

 「あ、はい……。」


 いや、そんなに腕を引っ張らなくても。



▽▽▽▽▽



 「おかえりッスー。アタシにはちょっと熱いッスから、パパ達には、ちょうどいい湯加減だと思うッスよ?」


 河原の露天風呂へと向かうと、バスタオル1枚姿のミツキがそういって迎えてくれた。


 どうやら焼き石を帰宅時間に合わせて入れてくれていたらしい。

 どおりで里を出るときにでも念話で連絡を欲しいというわけだ。


 そそくさと私の後ろにまわり、衣服を脱がしていくミツキ。

 サナほどじゃないものの、慣れた手つきだ。


 サオリさんは、というと、もうすでに全裸で、かけ湯までして、入る気満々だった。


 「はい、パパ、かけ湯。」

 「ああ、ありがとう。」


 ミツキにお湯をかけて貰いながら、軽く身体をそそぐ。


 「先にパパ洗いでもいいッスか?」

 「ん?ああ、別に構わないよ?」


 そう答えると楽しそうに手を引き、洗い場へと連れていくミツキ。


 まあ、洗い場といっても、風呂桶にほぼ近い、河原を平に整地して、すのこを置いただけの場所なのだが。


 ふーふふーふふーん♪


 鼻歌混じりに、ボディーソープ代わりの、ぬか袋を揉んでいるミツキだが、さすがにいつものように泡立つはずがないので、淫魔法【ウェット&メッシー】でボディーソープを出してやる。


 「いつも思うのですけど、」


 湯船の中から、それを見ていたサオリさんから声が上がった。


 「その、お父さん洗い?パパ洗い?って楽しいの?」

 「楽しいッスよ?」


 「ふーん……。」


 間髪入れないミツキの返事にサオリさんの微妙な声が返る。

 興味があるのかな?


 「ミツキ。」

 「なんスか?」


 「たまには、ママさん洗いをしてみないか?」


 サナです。


 お父さん、集会場からずっと辛そうな顔してたけど、大丈夫かな?


 お風呂入って、ご飯食べたら、元気になるといいけど……。


 ん?ちーちゃん、揚げ終わったの?


 わー上手、あたしも、最後の味、整えなきゃ。


 次回、第七三二話 「ママさん洗い」


 ……あれ?お母さんはともかく、お父さん、思ったよりお風呂長い……。

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