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第七十二話 「釣り」

 その後は、なぜか一口自分で食べては二口目を相手に食べさせるような食べ方でお互いに食べさせあったり、実際にソーセージを爆発させてみたりして遅めの昼食を済ませた。

 当然、米粒一粒すら残さない。


 今はお皿を洗いに行ったサナをお茶を飲みながら待っているところだ。

 ちなみに手は濡らして絞ったタオルをサナが用意してくれていたので、簡単に拭いてから洗面所で洗ってある。

 皿は洗わなくてもいいよ。と毎回いうのだが、習慣なのか毎回洗いに行くんだよな。

 もともとちゃんと家事が出来る子なんだろう。


 サナが戻ってきたので、自分から離れたソファーの隅っこの方をパンパンと叩いて座らせる。

 なんだろう?と不思議な顔をして座ったサナの両肩を掴んで捻るように自分の太ももを枕にして寝かせ、そのまま頭を撫でる。

 「ちょっと枕高いかな?」

 「えへへー大丈夫ですー。」

 手をまっすぐ上に伸びをするサナ。


 「米粒も全部食べてくれたんですね。」

 「そりゃせっかくサナがつくってくれたんだもの、全部食べるさ。」

 嬉しそうにしているサナの頭を右手で撫でる。

 ちなみに左手はサナに抱きかかえられている。


 「…鬼族の女に伝わる占いというかゲン担ぎみたいのがあって、おにぎりを出すときに、ご飯粒をわざと別につけるんです。粒の数ごとに意味があって、一粒だと『幸せにしてください』とか。

 それをちゃんと食べて貰えると、その願いが叶うと言われてて、そのおにぎりはその相手との縁を結ぶ『御結び』という縁起物になるんですよ。

 だから、お父さんがわざとつけた一粒のご飯粒も全部食べてくれて、あたし幸せです。」

 そういって抱きかかえた左手に愛おしそうに頬ずりをするサナ。


 って一粒?


 「え?ご飯粒は三粒だったよ?」

 「え?ええっ!?」

 なんかサナが動揺してる。

 うち二粒を食べたのはサナが電子レンジを覗いていた時だけども確かに一粒ずつ摘まんで食べたのだから間違いない。


 「三粒だとどんな意味があるの?」

 一応、今後の参考に聞いてみる。

 「……です。」

 なんか小声で聞こえない。太ももに伏せた顔は見えないが耳まで真っ赤だ。


 あれ?もしかしてまた地雷踏んだ?

 今更聞かなかったことにできないので聞き直すと


 「『私を食べて』です…。

 違うんです、そんなつもりじゃ、たぶん、お皿に余分にくっついちゃって、ご飯粒だけ離れちゃって、その、だから、その、違うんです。いや違わないけど、いや、あの、恥ずかしい…。」

 そういって四つん這いで猫のように太ももに顔を伏せるサナ。


 頭の位置が太ももの上なので高く、伏せる力が強いのか胸から腹が低めなので、相対的に小さなお尻が高く上がり、左右に振る頭に合わせてぷりぷりと左右に…



▽▽▽▽▽



>サナは淫魔の契りにより主を倒した

>350ポイントの経験値を得た

>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た

>レベルが17になった



▽▽▽▽▽


 わざとじゃないのは分かってるけど


 なんで!

 そんなに!

 毎回!

 誘うのが!

 上手いのか!


 いや、さっきのはセーフ。レギュレーション的にセーフ。たぶん。


 そんなことを考えながら今は釣りに出ている。

 釣りといってももちろん魚ではなく、新迷宮5階でモンスター釣りだ。

 比較的安全地帯である階段の前に戦いたいモンスターだけを連れてくるため、サナを階段前に置いて一人でレーダーを頼りに通路を歩いている。


 今、狙っているのはレベル20代のデミヒューマン系のモンスター。

 私の戦闘スタイル的にもサナの弓の相手的にも正面からの表面積が大きくて手堅いのだ。

 逆に獣系や爬虫類系、蟲系は相性が悪いので遭遇もしないように気をつけて歩いている。

 ゴーレム系や魔法生物系は未知数だ。

 サナの弓矢は淫魔法【コスチュームプレイ】の効果で魔法の武器扱いになっているし、私のドレインも対象を体力じゃなく魔力にすれば倒せそうな気もするが、こればかりは戦ってみないと分からない。

 レベル低めのがいたら一度試してみよう。


 と、思っていたところに、レーダーぎりぎりのところに毎度おなじみデミオークのパーティーが引っ掛かった。

 人数は3人、距離的には約20m。

 淫スキル【性病検査】でステータスチェックをするとレベルはそれぞれ、15、20、25だ。


 戦い慣れしている相手だし、階段まで距離もあるから、サナのいる場所まではパラメーター的にばらけて連れて行けそうだ。


 『サナ、そろそろデミオークを3匹くらいそっちに連れていくよ。』

 『はい、ご主人様、気を付けて。』


 『淫魔の契り』の指輪の能力を使いサナに念話で合図を送ってから、慣れない弓矢で一番近いレベル20のデミオークを狙う。

 当たらなくてもこちらに気づけばいいだけなので気持ちは楽だ。

 お、気づいた。


 相手の様子を見ながら、来た通路を戻る準備をする。

 あれ?

 レーダーの外から内側に追加で赤い光点、つまり敵が追加されてる。

 げ、リンクいたっぽい。

 デミミノタウロス2体、レベルは両方とも20だ。


 『ごめーん5体になるかも?最悪、階段降りて休憩した小部屋に逃げることも考えておいて。』

 『大丈夫ですか!あたしもそっちに行きますか?!』

 『逃げるだけならたぶん大丈夫、追加はデミミノタウロスが2体ね。』

 最悪の場合、どこかの扉に淫魔法【ラブホテル】を唱えて逃げ込むという手もあるしな

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