第七一九話 「昼下がり」
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>80ポイントの経験値を得た
>レベル43になった
>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>140ポイントの経験値を得た
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「みんな、もう起きてますでしょうか?」
「どうでしょう?」
そっと台所から居間への襖を開け、中を覗き込む。
結局、居間での「寝かしつけ」では治まらず、台所の裏口から淫魔法【ラブホテル】を本来の目的に使った後、こうして戻って来たのだが、昨晩が清い晩だったのと、サオリさんとは3日ぶり、一対一では1週間近くぶりということもあり、思わず盛り上がってしまった。
これで居間に帰ってきて、サナ達が起きて待っていたら、正直気まずい。
「なにがですか?」
突然の店舗側からの声でサオリさんが跳ね、私もつられて跳ねる。
切っていた視界のレーダーを戻すのを忘れていたから不意をつかれた。
「ああ、アエさん、いらっしゃい。お昼はごちそうさまでした。」
「いいえ、いいんですよ。それにしても台所から出てくる二人としては珍しい面子ですね?」
顎に人差し指をあて、小首をかしげるアエさん。
こういう仕草、姉妹でそっくりだな。
「あは、あはははは、ちょっと裏口から外に用事があって……。」
サオリさんがそう笑って誤魔化すが、たぶん目は泳いでいそうだな。
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アエさんがこの離れに来たのは他でもない。
これから長老会が始まるので、わざわざ呼びに来てくれたのだ。
早乙女家からここまでは結構歩くので、そのうち何か連絡方法を考えた方が良いかもしれない。
いや、ミナちゃんに『淫魔の契り』の指輪渡せば、それで済むのだが、サナが嫌がりそうな気がする。
サナ達はまだ寝ているようだという話をすると、じゃあ夕ご飯の仕込みもしていきますね。と、アエさんが言ってくれたので、里へはサオリさんと向かうことにした。
離れを出て、霧で視界が閉ざされる森の中へと足を踏み入れようとすると、サオリさんが、そっと腕を組んできた。
柔らかな感触が腕に当たる。
「うふふ、今日は独り占めの時間が長くて嬉しいです。」
そういって少女のように笑うサオリさん。
午前中は一人ぼっちにしちゃったしな。
まるでサナにするかのように、サオリさんの頭をそっと撫で、
「それじゃ、少しゆっくり歩いていきましょうか?」
と、声をかけると、「ええ!」と、嬉しそうに微笑みを返してくれた。
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今回の長老会には、ミナちゃんも参加していた。
白家の聖域での出来事は、既に白家の嫗から報告済みだったようで、私の方からは、淫魔法【盗撮】で撮影した画像・映像を特性【ビジュアライズ】で表示させ、その報告の補填をさせて貰った。
前にエグザルの探索者ギルドのマスターやロマにもやって見せた、部屋全体に映像を投影させて、VR的に見せるやり方だ。
感嘆の声が上がり、分かりやすいと好評だったので、メニューのアイテム欄に仕舞ってあった鬼灯提灯や手長海老の死体なども取り出して見せる。
水源の汚染は新教会による侵略行為だ。という論点で少々揉めたものの、結局、この日の長老会での結論は、
1.里の不妊問題の原因は生活に使用している水であり、その原因は水源で、原因の調査と水質の浄化は終わったので、里全体の水質汚染は時間をおいて解決するであろうことを里全体に公表する
2.その際、水質汚染の原因は水源に魔物が住み着いていたためであり、今日、これを勇者殿達が退治したと公表する
3.また、事後処理の一環として、白家による飲料水の配布と、早乙女家客人達による各家庭の井戸水の浄化も当面行うが、妊娠している者がいる家庭を優先とする。
4.先の配布と浄化に伴い、延期していた里の女の診断を勇者殿が行うが、抵抗のある者、また、その腕前を信用できない者もいるだろうということで、勇者殿の治療の腕前を里の女衆に限り公表することとする
など、徹底的な情報公開をする。というものだった。
まあ、一部言えないことは、ちゃんと伏せてあるのだけども。
結果として、私が勇者として矢面に立つ形にはなってしまうのだが、それで話が収まるなら良しとしよう。
ふぁあああああっ……ミツキッス。
なんか、めっちゃ寝てしまった気がするッス。
これ、慣れない【魔力操作】で、心が疲れたっていうより、魔力回復薬で回復するからといって魔力を使いすぎたことによる疲労な感じがするッスね。
次回、第七二〇話 「人探し再び」
ひょっとしたら、短時間で魔力を大幅に回復すること自体が身体の負担になっているのかもしれないッス。




