第六話 「淫具召喚」
「通販サイトっぽいなこれ。」
早速覚えた【淫具召喚】の魔法を唱えてみると、視界にブラウザのようなものが開き、数々のアダルトグッズの画像に付随するように数字が2つ並んでいる。
メニューからの説明文を読むと、数字分の魔力でこれらのアイテムを召喚できるらしい。
と、いっても品数はそんなに多くない。
感覚的に1,000円以内で買えるような安物ばかりだ。
とりあえず除菌ウエットティッシュを召喚してみよう。
さっき、死体を運んだときに色々とついてしまってるのだ。
メニューから選ぶと魔力が消費され、胸の高さ辺りに床と水平に紫の小さな魔法陣が浮かび上がったかと思うと、クルッと回転し球状の光となってパッと弾けた。
後には円筒状の容器の除菌ウエットティッシュが残されたので、とっさに両手でキャッチする。
なるほど。
まずはウエットティッシュを使って手をはじめとして色々キレイキレイする。
うわ、こんなところにまで付いてる。
使い終わったティッシュは個別に召喚をキャンセル出来るっぽい。
消えろと念じると淡い紫の光とともに氷の膜が砕けるような感じで消えていく。
まだ中身が入ったケースはキャンセルしない限り3時間は持つようだ。
鑑定スキルである【淫具鑑定】を使わなくても見るだけでAR表示のように説明文が視覚上にポップアップしタイマーが減っていっているのが分かる。
次はパンツだ。
先程のウエットティッシュはカタログ(?)の小さい魔力量で召喚したが、こんどは大きい魔力量で召喚してみる。
あと、使ってみてわかったのだが召喚位置も指定できるようだ。
そんなわけで、今の私の左手にはパンツが乗っている。
かろうじて隠れるような感じの際どいやつだ。
使用時間は22時から10時まで
ラブホかよ!
ピコン!
>淫魔法【ラブホテル】を習得
いや、とりあえずいいわ。
このまま検証し続けてたら時間がいくらあっても足りない。
召喚したてのパンツを履いて、ズボンとシャツを身につけ、部屋の中央にあるキングサイズを超えるベッドのカバーを剥ぎ取り、死体の上にかける。
さすがに4体もの死体が何度も視界に入るのは嫌だ。
どうでもいいが執事君のシャツだと胸がきつい
胸のボタンを3つ外して、ついでに腕も捲くる。
王子様方のシャツの方がサイズは大きいのだが、なんか臭いので多少のサイズ違いはしょうがない。
執事君の靴はちょっと大きいが、そう悪くないサイズだ。
ちなみにズボンは執事君のだと尻が入らなかったので比較的地味目な伯爵の公子のズボンを拝借している。
「さてと、どうしたもんかな」
目が覚めてから大した時間はたっていないとは思うが、外からの音がしない。
というか、そもそも窓が無い。
最初ガラスだと思っていた場所も大きな姿見だったし、出口らしきものは部屋の作りに比べると、ちょっと質素な閂のついた木の扉が一つだけ。
「地下室っぽい感じがする。」
試しに壁を叩いてみるが、空間があるような音は返ってこない。
石造りかレンガ造りの上に板と壁紙を貼ったようなつくりだ。
部屋はちょっとした大きめの会議室ほどの広さがあり天井も高い。
大きなベッドの他に、応接室のようなソファーとテーブル、クローゼット類、大きな姿見が各所にある辺りラブホテル感がある。
照明はシャンデリアのほか、壁やテーブルにランプが置いてあるが、よく見ると火では無く、なにか宝石のような石が発光しているようだ。
あとで何個か頂いていこう。
22時から10時までの使用時間でパンツを召喚できたんだから、今は夜。
どこに行くにしても明かりは必要なはずだ。
【淫具召喚】の魔法、昼間に使ったらラブホみたいにサービスタイムとかで長時間使えたりするんかな…とか、とりとめないことを考えつつ、部屋を再度見渡すと、先程ベットカバーを剥ぎ取ったときには気づかなかったが、ベッドの中央が丸く膨らんでいる。
もしかしてまだ誰かいるのか?
キーワード回収まで相当かかりそうです。
長い目で見ていただけると幸いです。