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第六九三話 「早乙女家の初夜」


 なにを困っているかというと、もちろん倫理的にも困ってはいるのだが、


 「サナ、隠れてないで入っておいで。」


 戸の隙間から今のやりとりをサナが見ているのだ。


 声をかけられ、ちょっと跳ねたあと、おずおずと部屋に入ってくるサナ。

 その格好はミナちゃんと同じく白の肌襦袢一枚だ。


 「…………駄目……」


 その肌襦袢の帯辺りをキュッと両手で握り、絞り上げるように一言発するサナ。


 「ミナ、お父さんを取っちゃ駄目!」


 そう言ったかと思うと、私のミナちゃんとの間に割り込むように飛び込んでくるサナ。

 こんなに激情的なサナは珍しいな。


 「サナ……」


 落ち着かせようとサナを抱きしめながら頭を撫でるが、その間も泣きながら何か呟いている。


 なになに?



▽▽▽▽▽



 要領の得ないサナの呟きをザックリ纏めると、里では落ちこぼれだったサナと比べ、何でも卒なく優秀にこなしてしまうミナにサナは強いコンプレックスを感じているらしく、きっと夜伽もミナの方が上手くこなして、それに私も夢中になってしまうんじゃないかと思い、怖くて覗きに来たのだが、結局我慢できなくてこんな事になってしまったらしい。

 考え直してみれば、元々サナは小さな角に強いコンプレックスを持っていたし、里でもちょいちょい『おちこぼれのサナ』の話は耳に入っていた。


 確かに人生2周目のミナちゃんに比べれば、大抵のことは劣っていただろうし、それが双子の姉であれば、コンプレックスもなおさらだろう。


 得意の料理だって、言ってしまえば古い台所と調味料では勝手が違い、ミナちゃんの経験が生きないだけといってしまってもいい。


 「サナ、落ち着いて、大丈夫だよ?

 サナと比べてミナちゃんを選ぶ。なんて事はないから安心して。」


 「それはそれで失礼じゃない?まだ抱いてもいないのに。

 少なくても人族的にはアタシの方がスタイル良いはずよ?」


 混ぜっ返すなよ。

 ()()()()()()()()()()()()んだ。


 ミナちゃんがサナから私を寝取れるわけがない。


 サナとの精神的な繋がりは勿論だが、なにより人生2周目でも処女のミナちゃんと、サナでは、その技量が違いすぎるのだ。


 私が種族特性【ドレイン】を使う際によく使用するスキル【性技】。

 勿論、本来は床の上で使うスキルな訳だが、このスキルを当然ミナちゃんは持っていない。


 それに比べサナはこの【性技】のスキルがランク3。

 つまり超絶テクニシャンかつ、私カスタムなのだ。


 これがどれくらいのレベルかというと、カレルラさんの娼館おみせでは最高でもランク2。


 トラージの街の娼館ギルドという規模でさえ、数えるほどしかいないというレベルだ。


 今までの経験だと、ランク1で一人前、2でベテラン、3で名人、4で達人みたいな感じだと思う。


 ちなみに私の【性技】は、床の上じゃない方の実戦のため率先して上げているのでランク4だ。


 そのランク4の【性技】に対して、果敢に攻めてくる関係か、サナの【性技】とその技量は、思わずサキュバスちゃんと呼びそうになるくらい高い。


 ちなみにミツキでランク2、サオリさんは1だったりする。


 思えばミツキはサナに対抗というか抵抗しようとする分、高い感じなのかな?


 それはさておき、床の上に限って言えば、そんなサナにミナちゃんが勝てるわけがない。


 F1グランプリ優勝者と自動車学校教習中くらいの差がある。


 「でも、でも……」


 それでもサナの不安は晴れないようだが、次の呟きからすると意図は伝わっている感じはする。


 「お父さんがしたら、今度はミナがお父さんに夢中になっちゃうかもしれないし……」


 うーん、コンプレックスからか、珍しくミナちゃんとは共有NGらしい。


 前はサオリさんと一緒に、ミツキにそういう悋気は駄目だと説教してたのにな。


 かといって、薬のせいとはいえ発情しちゃっているミナちゃんをこのままにする訳にはいかないし……


 でも、手加減はする、といっても駄目っぽい雰囲気だな。


 ミツキッス。


 サナちーこっそりと部屋を出てったッスけど、やっぱりパパのところッスかね?


 実家ではエッチ禁止令がパパから出てたからトイレかなんかだと思ってたッスけど、もう結構時間経ってるスよね?


 次回、第六九四話 「サナとミナ」


 もしかして夜這い?

 んー、でも、サナちーがパパの言い付け破るとも思えないッスけど……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 処女ミナちゃんが圧倒的性技に即堕ちは確定事項
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