第六十八話 「真・ドレイン」
近接に入ったら槍は手を離すんじゃなくてメニューのアイテムに一旦収納したほうが次の一撃が確実かもしれない。
何度かアイテム欄に槍を出し入れしてシミュレーションしてみる。
上手くやれば手から射出気味に槍を出せるようにもなった。
身体のどこかに触れていれば物品をアイテム欄に収納できるように、その気になれば身体のどこからでも物品を出すことが出来るようだが、命中した時のドレインを考えると、すぐ掴める手からというか手のひらの付け根あたりから出すのが感覚的に使いやすそうだ。
スパ○ダーマン的な感じだな。
サナの方には、とにかく近い敵から確実に当てる事をお願いした。
矢に付与してあるドレインの性質上、(性的な)弱点に当たれば大量に体力を奪うことが可能だが、狙いすぎて外れました。となると後衛のサナが危ないので、その事自体を告げてない。
敵がスタン効果でバラけるだけで十分に有利だ。
そのうち遠隔攻撃を使ってくる敵が出るようなら、そちらを優先して狙ってもらう事になるだろう。
武器屋では耐久性重視で射程を犠牲に重い金属製の矢を購入したが、結局、矢は淫魔法で出し直した結果、魔法の武器扱いで重さが軽くなったのでデメリットがなくなっている。
耐久性を重視した。という購入意義もなくなっているが結果オーライだ。
サナ曰く重さ的には木の矢より少し重い感じだという。
1射目も、もう少し上の位置に当てる予定だったそうな。
そんな反省会をしながら通路を進んでいくと、またレーダーに敵影が引っかかる。
淫スキル【性病検査】でステータスチェックをすると、レベル20のデミミノタウロスが2体だったので、サナにもその事を告げる。
距離はまた20mくらい離れており相手はまだこちらに気づいていない。
「ランク2なら、あたしからすると格上ですね…」
サナが緊張している。
「基本、やることはさっきと変わらないから気楽にいきましょ。」
私から見ても同じランクだが、ステータス的には一番高い筋力やそれに次ぐ敏捷の数値も相手は私以下なのでなんとかなるだろう。
勇者補正バンザイだ。
一応、淫スキル【性病検査】で弱点も調べて見るが、基本デミオークと変わらない。
牛ヅラで上半身裸の2mを超える大きな体躯だが、ふんどしじゃなくて腰布な分、むしろ掴みやすいくらいだ。
その代わり頭に生えている両角の間に魔素核がある関係で位置が高い上に正面から触れづらいのがネックか。
後は武器だな。
片方が両手持ちの斧、もう片方が片手持ちの斧を持っている。
両手持ちの方は懐に入りづらいので後回しにしたいところ。
片方だけ上手く『釣れる』なら片手斧の方だけ呼びたいところだが、結構仲良しさんだ。
「サナ、両手斧の方から狙って。」
「はい。」
サナの放つ矢はデミミノタウロスの背中、肩甲骨の下辺りに突き刺さる。
呼吸器を狙う良い腕だ。
しかもスタンして両手斧を手から落としたのはラッキー。
気づいた片手斧の方のデミミノタウロスが突進してくるが、それもサナの矢が迎撃する。
とはいえデミオークよりも突進力があるのか結果的にかなり引きつけた形になった。
私もサナの2本目の矢が放たれた瞬間、ダッシュして間合いを詰め、今度は最初からソフトボールの投球フォームのようにデミミノタウロスのデミミノタウロスを掴みドレインして気絶させる。
倒れた方を無視して奥の敵に目を向けると、前傾姿勢でこちらに角を向け構えている。
デミミノタウロスの上に表示されているゲージの一番下、SPと表示されているゲージがギュンと減る。
何か来る!と思った瞬間
>デミミノタウロスの【突進】
システムメッセージが浮かんだ。
まるでバイクの急発進を思い起こさせるような勢いで、角で貫こうとこちらに向かって来るデミミノタウロス。
避ける?いや、サナが危ない。と、いうかサナを狙っている?
槍でチャージ?いや、穂先がブレたら最悪跳ね飛ばされる。
一瞬とはいえ、そうこう考えているうちに、もう数メートル先まで迫って来ている。
20mの距離が一瞬だ。
何か魔法を唱える余裕すらない。
筋力ステータスの差と自分の耐久力に賭ける!
幸い相手が頭を下げている事もあって角は自分の胸の高さくらいだ。
槍をアイテム欄に収納し両手で相手の角を掴み踏ん張るが、勢いは減ったものの突進は止まらず自分ごと後ろに凄い勢いでずり下がって行く。
止められたら足で股間からドレインしようと思っていたが当てが外れた。
と、いうか足の踏ん張りを無くしたらそれで最後だ。
私は踏み潰されて、角はそのままサナを狙うだろう。
角からドレインして一回スタンさせる?突進のベクトルは生きてるからバランスの崩れ方によっては危ない。
突進が止まるまでこのまま力比べか?と思っているところに、両手で掴んでいる角の間にあるデミミノタウロスの魔素核が目に入る。
種族特性【ドレイン】
『粘膜』等から体力、精力、魔力のうち任意に奪い自分のものとする
性感帯や『弱点』に近いほど効果が上がる
試すか!
デミミノタウロスの魔素核を唇で咥え、舌で舐めあげるようにして種族特性【ドレイン】
その瞬間、デミミノタウロス体力ゲージが一瞬で消える。
足はまだ動いているものの、すぐ弱々しくなり10秒もたたずに力なく崩れ落ちた。
口の中がエグくて臭くて苦い!
淫魔法【ウェット&メッシー】で口の中をゆすぎ、ついでに手も洗う。
>レベルが21になった
>デミミノタウロスを倒した
>100ポイントの経験値を得た
ピコン!
>スキル【突進】をドレインしました。
これが本来の種族特性【ドレイン】の力なんだな。
王子様方を文字通り昇天させた方法が分かったような気がする。
でもなるべくなら二度とやりたくない。
あとドレイン【経験値】で吸った分でレベルアップしたようだ。
400ポイントが2体で800ポイントだ。
ピコン!
>種族特性【性病耐性】を習得
>種族特性【性病無効】を習得
デミミノタウロスが病気持ちだったのか、なんか耐性もついたようだ。
性病無効の方が上位特性なのか性病耐性の方はステータスに表示されていない。
毒、病気を無効化する特性らしい。
病気は拡大解釈としてわかるが、なんで毒まで?
…梅毒からの拡大解釈?
相変わらず適当だ。
酒とかも毒扱いで酔っ払えなくなりそうだが、オンオフはできる特性らしいので飲むときはそうしよう。
>サナはデミミノタウロスを倒した
>100ポイントの経験値を得た
サナももう一体の方にトドメを刺してくれたようだ。
通常所得経験値の差がデカイが『レベル上げ』で補完できるだろう。
いや、もうすぐ発情期終わるから駄目か。
それならもう少し稼がなきゃな。
私もダメージを与えてる関係でサナにランク差ボーナスが入らないのが惜しいな。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
心配そうにサナが近づいてくる。
「いやー、今のはちょっと危なかったかも?」
もう一回反省会というか対策を練らないと上の階へ行くのは危なそうだ。




