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第六八三話 「まれびと信仰」


 『また』というからには、前にもあったということだが、ミナちゃんの妹は双子のサナ一人。


 妹的存在であろうアエさんの娘さん達だって上が8才であれば流石に婚約だってまだであろう。


 と、考えると、もしや?


 「もしかしてミナちゃんも勇者だったりします?」


 その一言でミナちゃんの動きが、まるで化石になったように止まる。


 この疑問は絶対に合っていない。


 なぜなら、もしもミナちゃんが勇者であれば、サビラギ様がわざわざ自分を勇者に添えようとするはずがないし、仮に前に会った勇者崩れであるならば、サナと双子の姉、なんてややこしい設定にするはずがない。


 なによりサオリさんが私に教えてくれるだろう。


 「な、なんでそう思う?」


 キリキリキリという音が立ちそうな、ぎこちない動きで首だけをこちらに向け、かろうじてそう問うてくるミナちゃん。


 まあ、実は直感でしかないのだが、


 「いえ、また行き遅れとか、まるで人生二週目みたいなことをいうので。」

 「はうっ!」


 あ、刺さったっぽい。


 「あー、うっそー、こんなに早くバレるのー?勇者こわーい。」


 いや、ミナちゃんが、うかつなだけだと思うが。



▽▽▽▽▽



 このことは、今となっては、サビラギ様とサオリさんしか知らない事だし、現時点では秘密だということを念を押された上で、ミナちゃんは自分の事を語りだした。


 簡単に言ってしまえば、ミナちゃんは前世の記憶を持ったまま、この世界に生まれ落ちた『転生者』なのだそうな。


 勇者のような非現実的なチート能力は持っていないものの、生前の記憶や知識、場合によっては技術の再現が出来るという意味では十分チートの部類に入るであろう。


 なにより二度目の人生なのだ、何事もある程度要領よく出来るという意味で、ミナちゃんは双子の妹であるサナより、料理を除くほぼ全ての事柄で優等生であった。


 なんでも、早乙女家は、このような転生者が比較的生まれやすい家系であり、特に力ある人族の種から生まれる子どもに多いのだそうな。


 そう聞くと、勇者を始めとした、まれびと信仰と夜伽歓待が早乙女家にあるのも理解できるし、純粋な白鬼族の一族である白家より早乙女家の方が上なのも分かる。


 転生者の知識や技術は、純粋な血統以上に里に、いや一族に利益をもたらすだろうからだ。


 ちなみにサオリさんの弟も転生者なのだそうな。

 そう考えると結構確率高いな。


 もちろん、逆にデメリットとして、転生者ではなく白鬼族としては身体の弱い子が生まれることも多いらしい。


 アエさんやサナ、そして持病持ちだったサオリさんがこれに当たるらしい。


 「いや、でもサナは弱いわけじゃないよ?白鬼族の希少種という特別な生まれだったはず。」


 淫スキル【性病検査】のたびに確認していたので間違いない。


 「なにそれ、レンってば人物鑑定もできんの?凄すぎない?

 で、なにその希少種って。」


 ちょっと呆れた顔でそう問うてくるミナちゃん。


 「簡単に言えば、白鬼族が得意とする【耐久力】や【筋力】の代わりに魔法使い向きの能力値が高いんだよ。

 だから、白鬼族としては、ひ弱に見えるのかも知れない。」


 詳しく言うと、【精神力】と【感覚】の能力値が高いのだが、そのままいってもピンとこないだろう。


 「なにそれ、って事は、今のサナって【巫女】か【尼】やってるの?」


 「それどころかランク4の【修験者】だ。」


 「マジか?!」


 「マジだ。」


 目を白黒させているミナちゃん。

 

 まぁ、そりゃそうだろうな。



 サオリです。


 お母様の言う通り、今頃、レン君をミナは二人きりで会っている頃と思うけども、大丈夫かしら?


 ミナ、あれで粗忽そこつなところあるから……。


 次回、第六八四話 「クリスマスケーキ」


 自分が転生者だってことバラしたりしてないわよね?


 お母様はバレても大丈夫だとはいってましたけど……。

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