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第六八○話 「赤の家守」

今回も第三者(黒家宗家の主)視点です。


 「それは本当か?ミツキ。」


 「本当ッス。


 っていうか、うちのパーティーは40より低いレベルのメンバーはいなくて、アタシが一番弱いッス。


 今回の手合わせも何かの縁ッスから、みんなも仲良くして貰えると嬉しいッス。」


 「よろしくにゃー。」


 「よろしくお願いしますね。」


 「お母さん、間に合った?」


 ミツキとチャチャ、そして少し遅れてサオリが礼をしたところに早乙女家のサナが駆け寄ってきた。


 「あれもか?」

 「あれもッス。」


 あんぐりと口を開けた赤のと赤家の若衆。

 早乙女家の落ちこぼれ、サナまでと聞くと気持ちは分からんでもないの。



▽▽▽▽▽



 「黒家のおみな、今回はご見学ありがとうございました。

 また、夕時の詮議の際、よろしくお願いいたします。」


 サナの方は武技よりも魔法の才能が伸びての強さということで、赤家の若衆が一安心したような息を漏らしておったが、優に茶帯ほどはある弓の腕を見せられた後は、急遽赤家で鍛錬会が始まってしまい、手の空いたサビラギがそういって、アタシを見送りに来た。


 「赤帯、第四階梯の兎人族と猫人族を育て、腹病みのサオリと、落ちこぼれのサナまでも、か。

 『勇者殿』は末恐ろしいな。」


 「ええ、黒家の嫗。本当にレンは恐ろしい奴ですが…」


 「故に、味方として手元に置きたい。

 なんなら、婿にでも貰ったらどうだ。

 サナでも、なんならサオリだって、そう不釣り合いでもあるまい。」


 「嫗もそう思いますか?」


 黒家いや、白鬼族としても、少なくても人族の手に、特にネローネ帝国に渡ることだけは避けたいところだの。


 「もしもその気があるのなら、勇者の話ともに、別種族たのものの長に手紙をしたためるのも協力しよう。」


 「その際にはよろしくお願いいたします。」


 そう笑顔で返すサビラギ。


 まんまと掌で踊らされたような気はするが、亜人族われらにとって有益であるなら良しとするべきさね。



□□□□□



 「なんか悪だくみをされた?されている?ような気がするッス。」


 「赤の家守やもり様だけならともかく、黒家のおみな様まで一緒ですからねぇ。」


 「赤の家守様はお婆ちゃんのお友達だっけ?」


 「ええ、元々は赤鬼族の里の生まれだけども、成人した時に交換でこの里に来て、わたしが生まれるまでは、お母さまと一緒に探索者もやっていたそうよ。」


 「あれ?ってことは、アサーキ共和国の勇者、タダシ・タカキとも一緒ッスか?」


 「そうね。それから、たしかロマさんの親戚でもあったはずよ?」


 「ロマさんと?世の中狭いね。」


 「サビラギ様と一緒にいると、感覚が狂うッス。」


 「うふふ、それ、たぶん、他人事じゃないかもしれませんよ?」


 「うん、ミツキちゃんも、ちーちゃんも、今なら他の亜人族の里で族長になれるくらいの強さだし。」


 「へ?」

 「にゃ?」


 「わたしは血統とお母様の都合で族長になれただけで、本来、里をまとめるなら、それくらいの実力が必要なのよ?


 うちの里も、持病があったわたしよりも健康なアエの方に将来性があって、どちらがお母様の後を継ぐか詮議で揉めたくらいだもの。」


 「前はミツキちゃんが、あたしやお父さんに『そんなの非常識ッス!』とかいってたのに、すっかり慣れちゃったね。」


 「あー、そうッスね。よく考えたら、うちのパーティーランク全員ランク4なんて、下手したらプラチナの探索者や勇者パーティーレベルッスね。


 あちゃー、確かに感覚麻痺してたッス。

 アタシ、みんなに言い過ぎたりしてなかったッスか?」


 「赤家は強い者には敬意を払う家風だから大丈夫。

  それより慕われすぎないように注意した方がいいわね。」

 

 「ママさん笑いごとじゃないッスよー。」


 サオリです。

 わたしは武器を置いてきて正解でした。


 あの雰囲気だと、チャチャちゃんみたいに赤の家守と手合わせ、みたいな話になりかねませんでしたからね。


 次回、第六八一話 「早乙女家 家長」


 と、いってもサナは鍛錬場の弓で腕試しさせられていましたから、そのうちわたしも呼ばれて試されそうな気もしますが…。


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