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第六七○話 「第五階層」


 「か、固いッス!」

 「また飛ぶ方が来るわよ!」

 「うにゃにゃにゃにゃ!」


 鋼の巨人が籠手に剣がついている方の腕を突き出し、盾が付いている方の腕をその肘あたりに添える。


 淫スキル【マゾヒスト】の危険感知!

 狙いはまた私の方か!


 射出されたメロンほどの大きさもある鋼のこぶしをスキル【回避】も使いつつ避ける。


 「また戻ってくるから、巨人とアレとの間に入らないでね!」

 「了解ッス!」

 「うにゃ!」


 声かけに反応して大きく迂回するミツキと、それとは逆に鋼の巨人の背中側から床ギリギリを滑るかのように近づき、その膝裏にハンマーで一撃を加え、バランスを崩させるチャチャ。


 この鋼の巨人のレベルは40、ゴーレム系のモンスターなので、種族特性【ドレイン】との相性が悪く、決して楽な相手ではないのだが、こいつがいる部屋を選んだのには訳がある。


 と、いってもそんな難しい理由ではなく、第五階層に降りて最初の部屋から行ける、北側、西側、南側の3部屋のうち、これでも一番マシな相手だったからだ。


 西側の部屋はもしも第六階層にいくなら最短ルート。

 しかし戸の隙間から中を覗いてみたところ、待ち構えるのはレベル45の赤色巨蟹、つまりデカい蟹だ。


 その巨体は四畳半くらいの面積を占める大きさで、そうなると部屋の面積の1/4を占めるわけで、中央に居座られた場合、周囲はあまりにも狭い。


 その狭い面積で、あのトリプルヘッド・シャーククラスの敵と、更に少ない人数で戦うのは、あまりにも無謀ということで却下。


 南側の部屋は、第六階層へのルートも残されている比較的部屋数の多いルート。


 ここにいたのは、レベル40の小豆樹と大豆樹のコンビ再び。


 前回の経験から新芽の推定レベルを20弱くらいと想定すると、それぞれの木とタイマンも辛ければ、新芽の駆逐も大変そうで、最悪、新芽に囲まれて大乱戦、種の散弾の餌食にもなりかねない。と、いうわけで、こちらも却下。


 結局北側の部屋にいた単体でレベル40の鋼の巨人が一番マシな相手だったのだ。


 ちなみにこの鋼の巨人は第三階層でも出る相手だったりする。


 この巨人は、文字通り鋼で出来た武者のような形のゴーレムで、体長は4m近い。


 右手の籠手には1mに近い両刃の剣がついており、反対の籠手には逆に大きな盾が付いている。


 この剣と盾が武具扱いなのか、【ドレイン】が通じない上、ミツキの投げナイフも含めて、器用に攻撃を受けられてしまうのだ。


 それに加え、先ほどのロケットパンチじみた【大砲拳】は、飛んでくるだけではなく、一定時間で元の手首の位置に飛んで戻ってくるというギミック付きだ。


 発射時ほどの勢いはないが、忘れたころに後ろからボーリングの玉が飛んでくる、みたいなものといえば、怖さが分かるだろうか?


 偶然、行きも帰りも狙いが私だったので危険感知とスキルでなんとか避けたが、頭にでも貰ったらシャレにならない。


 そしてもう一つの技、


 「今度はグルグルの方が来るわよ!」

 「あい!」

 「またッスか!」


 剣がついた方の手を斜め下に、盾がついた方の手を斜め上に構えたまま、高速で回転しつつ、部屋の中をぐるりと蹂躙する【公転剣舞】。


 元々の手足が長い上に、剣が加わるその間合いで回られると、先述の赤色巨蟹クラスで逃げ場がない。


 しかもこの回転中にも先ほど射出された拳が戻ってくることがありえるのだ。


 今回は私の近くで回転が始まったので、ミツキがなるべく遠くに離れようと逃げ回っており、私は逆に鋼の巨人を追いかけるようにして安全圏を確保する。


 チャチャは、


 ………隣の部屋である最初の部屋から顔だけ出して、鋼の巨人の動きを見守っていた。


 「その手が!」

 「あったッスか!」


 ミツキが習うように、その部屋に飛び込み、私はそのまま鋼の巨人を追いかけながら、拳が戻ってくるのを警戒する。


 「今にゃ!」


 鋼の巨人の拳が戻り、回転が止まった頃合いを見てチャチャが飛び込んできて、また膝裏へとハンマーで一撃を加え、反対側の膝裏を双剣でミツキがそれに習う。


 膝カックンをされたように上半身が揺らぐ鋼の巨人。


 「いまなら体勢崩せるかしら?」


 サオリです。


 今、レン君がいってくれていた早乙女家分の買い出し要望をまとめているのですが、みんな詮議の時に並べられてた品で目が肥えたのか、質も量も結構なものが出てしまっています。


 次回、第六七一話 「鋼の巨人」


 とはいえ、他の家系とのバランスもあるので、そのとおり受けるわけにもいかないのですけどね。



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