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第六十六話 「迷宮涸らし」

 結局、シンプルなタイプの鋼の槍にした。

 フォルムとしては日本の槍に近い。

 種族スキル【男根のメタファー】は刺突武器に対応なのでシンプルに突く専用の槍でいいのだ。

 あまり長すぎても迷宮内では取り回しが難しいので長さは約2mくらいのものにした。

 購入後、そのままサナと二人で公社の建物に戻って迷宮の受付に行こうと思ったのだが前に隠し部屋の偵察に行った時に稼いだデミオークのドロップ品をまだ換金していないのを思い出して先に公社の換金所へ向かう。


 金よりもギルド認識票のランクアップのためだ。

 次のランクでもあるカッパー以上からは探索者ギルドの掲示板に貼ってある依頼書を受けることができるので、同じ素材を集めてもお得なことが多いようだし、その上のシルバーランクへ上げるフラグも立てておきたい。


 いや、サナが迷宮に満足したらさっさと故郷に向かうつもりなのだが、奴隷解放にお金が足りなかった時の為に金策の手段は広く持っておこう。

 前と同じ様に換金所のスタッフに二人の探索者ギルドのタグを見せ、換金してもらうと、銀貨13枚になったので受け取る。


 今の所、レインとして貰った大金貨1枚分の報酬はあるが、どのみちロマに会って残りの大金貨3枚分を受け取るまではこの街を離れられないわけだし、ランクアップは目指しておいて損はないだろう。


 そんな事を考えながら、駅の改札を思わせる迷宮への受付へやってきた。

 二人共探索者ギルドのタグを確認してもらい奥へ進む。

 ちなみに今回も滞在予定日数の登録はしなかった。


 地味に長い迷宮への入り口までの通路を歩いていく。

 迷宮からモンスターが溢れ出した時用の安全のためだとはわかっているのだが、まだ通るのは2度目だというのにもう面倒くさい。


ピコン!

>陽光の封印が解けました

>プレイエリアに入りました


 迷宮の入り口に通じる大きなホールに出た途端、システムメッセージが表示された。

 ここから先は淫魔化可能だが、もう少し人目に付きづらい迷宮内でチェンジしよう。

 屋台やバザーの間をくぐり抜け、迷宮の入り口までやってきた。


 入り口は四車線道路くらいの大きな石畳の通路が奥に延びており、床も壁もうっすらと緑色に発光している。


 「じゃ、行こうか。」

 「はい!」

 ちょっと緊張している様子のサナを連れて通路の中へ入っていく。


 大きな通路だと思っていた入り口は、実際中に入るとホールのような構造だったらしく大きな体育館を思わせるような構造で、そこから都合6方向に一車線道路くらいの通路が伸びている。

 正面と左右の壁に2本づつだ。


 とりあえずの目標は地上の新迷宮の3階以上なので、サクサクと上に上がりたい。

 公社の資料室で見た地図だと最初はどの通路に進んでも地下と地上2階への階段には行けるはず。


 って、メニューからのマップで見れなかったっけな?

 お、わかるわかる。

 廃鉱山からこの街に降りてきた時のようにマップとレーダーの機能を頼りに階段を目的地に指定して最短距離をナビってもらう。


 「思ったより人いませんね?」

 サナが周りをキョロキョロしながらそういった。

 言われてみればそうだな。

 もっと混雑してて獲物とか取り合いになるようなイメージだったが、数えるほどしかパーティーがいない感じで実際まだモンスターにも会っていない。


 と、思ってた所に遠くから微かに話し声が聞こえる。

 反射的に通路の影に隠れてしまった。


ピコン!

>淫魔法【盗聴】を得た


 いや、いつか来るとは思ってた。

 雑に言うと聴覚強化魔法だ。

 実際、体液を媒介にして遠隔地の盗聴もできるらしい。

 ちなみに淫魔法【盗撮】も同じことができる。


 そうこう考えているうちに声の主は近づいてきた。

 どうやら4人組のパーティーらしい。


 「やっぱり全然いねーな。」

 「言っただろう?ここ何日か新迷宮の下層は全然モンスター湧いてないって。」

 「旧迷宮の方は大丈夫だって聞いたぞ?」

 「ならそっちいくか。」

 「旧迷宮は取り合いになるから好きじゃないんだけどな。」

 「取り合いにすらならないよりマシだろ。」

 「そりゃそうだが…」

 「モンスター涸れなんて珍しいこともあったもんだ。」


 4人組はこちらに気づかないまま、一本向こうの通路を通り抜けていった。


 「『迷宮涸らし』のせいか?」

 「迷宮涸らし?」

 思わず口に出たがサナに聞こえてしまったのではしょうがない。


 「ロマさんの話しだと迷宮の魔力を根こそぎ自分のために使ってしまう『迷宮涸らし』と呼ばれる奴がいるらしいよ?迷宮は魔力を失うと迷宮獣を生み出さなくなるらしい。」 「そうなんですか。迷惑な話ですね。」

 まったくだ。


 で、その魔力は、おそらく私自身と淫魔の私を召喚するために使われたのだ。

 本当に迷惑な王子様だこと。


 とはいえ、モンスターも探索者もいない最短距離を進んでいるということもあり、あっという間に新迷宮2階への階段にたどり着いた。

 戦闘も無しなので拍子抜けだ。


 人が周りにいないことを確認して、淫スキル【淫魔】を使い淫魔化する。

 サナは私の外見がお父さんじゃなくなって不服そうだが安全第一だ。

 ついでに淫魔法【夜遊び情報誌】を使って地上1階のマップ情報を改めて取得しておく。


 その後2階へ向かうが、1階ごとの天井が高いせいか、わりと長い階段を登って新迷宮の2階に着いた。

 ここから先、4階までは前に来た時に淫魔法【夜遊び情報誌】でマップ情報を手に入れているので更に移動が楽なはずだ。


 地図を見ただけの状態でメニューのマップを使うのに比べて、マップ情報の取得後はモンスター分布や他のパーティーの位置なども表示されるからだ。


 とはいえ、2階もほとんどモンスターは涸れており、そうとう広い面積だというのにパーティーも10組くらいしかいない。

 イメージとしては田舎の大型店舗に10組の家族しか来店していないような感じだ。

 ついでに店も2~3店しか空いていないような状態。


 王子様方捜索クエの際に狩りつくされているのもあるのかもしれない。

 パーティーも少ないということは、だいたいこのフロアは探索済みなんだな。


 拍子抜けしているサナを励ましながら3階への階段へ向かう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いしなんか色々いいね!!! [一言] どーでもいい話なんだけど、そんな話の流れでもないのに『突く専用の武器』の単語で変なことを想像してしまったww
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