第六十五話 「男根のメタファー」
デザートも終わり人心地つくと風呂に入りたくなる。
昨晩は寝汗がひどかったのだ。
ストレスから解放されたせいかもしれない。
元々王子様達の死体はどっかのタイミングで迷宮に食べさせようと思っていたのが、結果的に確保していた事によって身の安全に有利に働いたのはラッキーだった。
とはいっても、ギルドマスターの言っていた副評議委員長だかが失脚しないと完全には安心できないが、少なくても今はギルドマスターの庇護下に入ったと考えてもいいだろう。
「お父さん、お風呂も用意しますか?」
汗で蒸れているバスローブをパタパタしていると、サナがそう聞いてきたのでお願いする。
一人でお風呂の用意できるようになれば、当然一人で風呂に入れるようになるだろう。
たぶん。
そろそろ発情期明けに向けて親離れ、子離れしていかねば。
そんなことを考えていると風呂場から呼ぶ声がする。
「何かあった?」
脱衣所に入るなり全裸のサナが抱き着いて来た。
胸元というかバスローブの合わせ目に顔を付けてハスハスしてる。
脱衣籠を見るとやっぱり元々下着をつけてない。
「あの…お父さん、お湯が溜まるまで、ちょっとだけ『レベル上げ』してもいい?」
顔を上げずに耳まで真っ赤にして消えそうな声でサナがそういう。
昨晩から朝まで結構我慢していたらしい。
私がいかにも仕事で疲れてた様子だったらしく、気を使ってくれたのだろう。
▽▽▽▽▽
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>350ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レベルが16になった
当然、お湯は溢れたのだが、おかげで浴室が温まったため広いバスマットの上でイチャイチャすることができた。(控えめな表現)
あと淫魔法【ウェット&メッシー】で出した自在に消すことができるローションって後片付けがすげー楽。
今はまた二人で浴槽に浸かりながらまったりとしている。
なんだかんだで連戦しなかったのは初めてなような気がする。
この後、迷宮に行くので体力温存という意味も当然あるのだが、サナの抑えが効くようになっているようだ。
単にまた我慢しているのかもしれないが。
「サナー」
「なあに?お父さん?」
「買った服着る時は、ちゃんと一緒に買った下着つけないと駄目だよ?」
「えー」
えーじゃない。
そんな会話をしながら風呂を上がり、サナの髪を乾かし、ベッドに戻って来た。
自分の分は淫スキル【淫魔】で外見リセットかけるので省略だ。
淫魔法【淫具鑑定】と【コスチュームプレイ】を駆使してサナの戦闘用の装備を整えていく。
地味に淫魔法【コスチュームプレイ】で出した装備は魔法の装備扱いで、服でも防刃耐性もあるし防御力もあるので上手く重ね着をさせたい。
あと元々の装備より重さも少し軽くなるようだ。
一番簡単なのは全身タイツにオークレザー装備一式セットを重ね着して鉢金をつけるのがシンプルなのだが、内側が全身タイツだとトイレとか大変そうだ。
一応、老廃物や異物を排出させる淫魔法【腸内洗浄】はあるのだが、ちょっと使いづらいしサナも言いづらいだろう。
結局、昨晩の淫魔の自分が着たような背中までカバーしているスリーインワンにガーターで厚めのストッキング、腕は中指の指輪で先端を固定するタイプの二の腕まであるオペラグローブをベースとして、その上に通常の服と装備を重なることにした。
色は万が一傷がついたときに分かり易いように白にする。
サナにランドセルっぽいバックパックを背負わせ、それに淫魔法【コスチュームプレイ】で出した矢筒を取り付けると、腰にナイフを差し、弓を持たせ、その一式を淫魔法【コスチュームプレイ】にプリセットして、再度サナと自分に着せ直す。
「おそろいですね。」
サナが嬉しそうにしている。
種族特性【トランスセクシュアル】で男の身体に戻ると、インナーはジョギングするときに着るような手首足首までカバーしてあるインナーに変換されたようだ。
正直自分の分は広範囲カバーしていればなんでもいい。
バックパックと弓矢を解除して自分用の大きなバックパックを背負って準備完了だ。
こういっちゃなんだがお揃いの装備で身長差があるので、かなり親子感がある。
おかげでサナがご機嫌だ。
「このまま迷宮に行くんですか?」
「いや、その前にお父さんの武器を何か買おうと思う。」
メインウェポンはドレインなのだが、手ぶらで迷宮に入るのも周りから見て違和感があるだろうと思ったのだ。
探索者ギルドの入った公社の建物から出てしばらく西に向かったところにある武器屋へ向かう。
昨日サナの弓矢を買った店だ。
武器はロマや昨日のギルドマスターに影響された訳でもないが、間合いを広くとれる槍にしようと思う。
近接はドレイン、中距離は槍といったイメージだ。
店長には筋力に自慢があるのなら鋼の槍がいいと勧められた。
柄が木製の物とは違い、攻撃だけじゃなく相手の攻撃を受けることも出来るのがメリットだそうな。
盾役がいないので選択肢としてはアリだろう。
実際に持たせて貰うと、かなり重く取り回しに苦労しそうだが淫魔の身体だと今の身体に比べて筋力が倍近いので大丈夫だろう。
実際に構え突く真似とかもしてみる。
ピコン!
>種族スキル【男根のメタファー】を得た
メニューからスキルの説明を読むと
棒状の武器の使用に対して淫魔ランクに応じてボーナスを得る
刺突武器に対して任意のスキルを付与することが出来る
の二つの効果があるようだ。
これ、上手くすれば槍や矢でもドレインできるって事にならんか?
ちょっと迷宮で試してみたい。
槍を買いに来て良かった。