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第六五八話 「三人での晩御飯」


 「さて、まずは魚とりからいくか。」

 「いくにゃー!」

 「上手く取れたら晩ごはんッスね。」


 テンションの高いチャチャを中心にワイワイと『どう』を仕掛けていく。


 と、いっても、作業自体はそんなに難しくはなく、要は魚用の罠なので淡々としたものだ。


 籠の中に米ぬかと香り付けのために味噌を少し入れたものを練って寄せ餌として入れ、漏斗状になってる側を川下に向け、川の流れと並行かつ水平に置いて、本体が流れていかないよう固定する。


 今回は川辺をよく見ると、それ用と思われる杭が何箇所かに挿してあったので、それに紐で固定した。


 「これでOK。あとはしばらく様子を見よう。」

 「はいるかにゃー?はいるかにゃー?」

 「じゃ、その間、お風呂洗っちゃうッスか?」


 ミツキの提案で、次は露店風呂の清掃となったのだが、


 「この広さで3人は狭くて逆にやりづらいッス。」


 とのミツキの意見で私があぶれてしまったので、その間に薪用の枯れ枝でも拾ってこようと思ったのだが、ちょっと思うところがあってミツキ達に声をかけ、家の方へと戻ることにした。



▽▽▽▽▽



 「ただいまー…って、もう入ってるの?」

 「やー、炎天下で暑くて、我慢できなかったッス。」

 「涼しいにゃぁー。」


 淫魔法【ラブホテル】のショートカットを使っての買い出しから帰ってくると、既にミツキとチャチャが露天風呂こと流れるお風呂で水浴びをしていた。


 しかも全裸で。


 「それはいいけど、水着は着ような。」


 目の毒というか、誰かがまだ訪ねてこないとも限らないので、淫魔法【コスチュームプレイ】を使い、前にキャンプ場近くの川で着せた水着を二人に着せる。


 ミツキにはエスニック風のデザインのタンクトップ+ビキニの組み合わせ。

 チャチャには、前にサナに着せたマオカラーのミニ丈チャイナドレス風の水着だ。


 「うにゃ?」

 「おー、チーちゃんにもこれ似合うッスね。」

 「髪型も少しいじるか。」


 対象の髪型というか髪そのものを変える効果と回復力をコントロールする淫魔法【トリコフェリア】を使って、チャチャの髪型を中華風のお団子ヘアーにしてやる。


 「うん、かわいい、かわいい。」

 「えー、チーちゃんだけッスか?」

 「ミツキのその水着はセクシーよりだからなぁ。ちゃんと似合ってるよ。」

 「そうッスか?」


 自分で振ったくせに身を捩って恥ずかしがるミツキ。

 そのうちちゃんとチャチャ用の水着も選んであげないとな。


 「ととさんは着替えてお風呂入らないのにゃ?」


 作務衣の足元をクイクイと引っ張りながらチャチャがそう誘ってくる。


 「入るけど、少し下準備をしてからかな。」

 「うにゃ?」


 「なんのッスか?あ!アタシ達はお風呂、温かくなくて大丈夫ッスよ!」

 「流れているの気持ちいいにゃぁー。」


 「いや、少し早いけど、晩ごはんの用意をしようかと思ってね。」



▽▽▽▽▽



 「うにゃー、おいしそうにゃー。」

 「これは…サナちーに、『ちゃんと野菜も食べなきゃ駄目』って怒られるやつッスねー。」


 本来、竈の上で石を焼くためのレールに並び、ジュウジュウと音を立てているのは、串に刺さったお肉やソーセージ、ベーコン、そして、『どう』で見事捕獲出来たヤマメに似た川魚など。


 ミツキのいうとおり、野菜成分はゼロだ。


 これに加え、流れるお風呂で冷やしたシードルがつく。


 もう、悪い夏の過ごし方、といった感じだな。


 「もう、この辺りは食べて大丈夫だよ。」

 「うにゃー、ととさん、とってにゃー。」

 「アタシも一つ欲しいッス。」


 涼しい水の中から出ようともせず、そうねだる二人。


 うん、たまにはこういうのも良いだろう。


 サナです。


 そろそろ晩ごはんの準備しなきゃならない時間だけど、お父さん達、ちゃんとしているかなぁ?


 あの家、竈だから、ひょっとしたら上手く使えないかも?


 次回、第六五九話 「お布団」


 んー、心配。

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