第六四九話 「お父さんと娘の関係」
ちょうど七夕の夜に切りの良いところまで書けたので1日早上げです。
「でも、サナは、結婚、いや婚約して、私が夫になり、お父さんじゃなくなってもいいの?」
率直に思ったことを聞いてみる。
と、いうのも、実は自分自身がそう思っているからだ。
最初はサナが故郷に戻るまでの親子ごっこのはずが、今では死産で生まれることすら出来なかった自分の子どもの代わり、いや、それ以上に娘として愛している。
もちろん、ミツキやチャチャもだ。
だからこそ、結婚して、パートーナーになって、娘じゃなくなることに、寂しさというか、喪失感があるような気がするのだ。
「結婚しても、お父さんはお父さんのままですよ?
それに、赤ちゃんができて、あたしがお母さんになったら、お父さんはその子のお父さんになるじゃないですか。
そうなれば、あたしはお母さん、お父さんはお父さんで、やっぱりお父さんのままですから、結局、お父さんはお父さんのままでいいんです。」
これ、文字だったらお父さんでゲシュタルト崩壊起こしそうな、お父さんっぷり、いや、ファザコンっぷりだな。
「あー、サナちー的には、そういう家族計画なんスね。」
感心したようにというか、呆れたようにミツキが腕を組んで頭をかしげている。
「ミツキ的には、ちょっと違ったの?」
「アタシ的には、サナちーが正妻なのはもちろんッスけど、アタシは姉妹妻として、一緒にパパに貰ってもらうというか、一緒にパパを貰うというか、そんな立ち位置ッスね。
ちなみにサビラギ様には了解を貰ってるッス。」
いつのまに、そんな了解を……。
元の世界だと姉妹妻は、たしか子どものいる人妻が同じ子どもを持つ人妻を妻を迎え、姉妹のように仲良くする、という方がイメージとしては近いはずだが、この世界では、姉妹が共に一人の男の妻になること、あるいは夫を共有することをいうのかな?
まあ、元の世界の方だって漫画での知識なので正確かどうかは分からないし、根本的に男の数が足りない亜人族なら、男性を共有するという考えは当然あるのだろう。
とりあえず、ミツキは娘の立場を維持するよりは、妻寄りの立場を望んでいるらしい。
「分かった、二人が納得しているなら、二人とも私の嫁に、いや、違うか、二人の婿に貰ってくれ。
こんな父親で良ければ、だけど。」
「違うッスよパパ。」
「そんなお父さんだから、ずっと一緒にいたいんです。」
そういうと花が咲くように笑う二人。
サナとは出会って1月半、ミツキとはそれ以上に短い期間だったけれども、こんな事になるとは、この世界に来た時には思ってもみなかったな。
「お父さんが天灯に書いたお願い『みんなが幸せになりますように』の中に、お父さんも、ちゃんと入るよう二人で頑張りますね!」
「これからも、ずっと一緒ッスよ、パパ。」
改めて私の左右に寄り添うように座り直し、そう語りかける二人。
そうだな、うん、私も、そう思う。
ずっと一緒にいたいな。
▽▽▽▽▽
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>110ポイントの経験値を得た
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>110ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>90ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>90ポイントの経験値を得た
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>110ポイントの経験値を得た
▽▽▽▽▽
あれ?途中まで、ちょっと微笑ましい流れだったのになんでこうなった?
なんだよプレ初夜って。
しかも、この部屋で『レベル上げ』すると匂いが残ってバレるっていってたの、ミツキでしょう?
なんで、ミツキまでノリノリで焚き付けてるの?
っていうか、貴女、昨日の晩から連続だろうに。
とか、色々いいたいこともないが、スイッチが入ったサナには敵わない。
義理とはいえ淫魔の娘となり、発情期を迎え、テクニックを重ねられ、冗談半分でまるでサキュバスちゃんだと思っていたサナだったが、ゆくゆくは、娘から妻に、そして子のお母さんになって、本当のお父さんとして私を迎えようとしてくれている。
その頃はもうサキュバスちゃんどころか、サキュバスさんになっていそうだが、そうして私が無くしてしまった家族というものを再び与えてくれようとしている。
サキュバスさんの家族計画か、うん、そういうのも確かに悪くない。
サナです。
えへへー、お父さんのお嫁さんかー。
なんか夢みたい。
絶対お父さんも幸せにしますね!
次回、第六五○話 「サキュバスさんの家族計画」
え?まだ気が早い?
もー、水を差すミツキちゃんなんて、こうだ!




