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第六○七話 「救援」


『こりゃヤバイッスね。パパ、助けて欲しいッス。』


 ミツキからの念話が入ったのは、丁度午後の治療が終わり、淫魔法【ラブホテル】で繋いだいつもの別荘で、「さて、迷宮組に合流しようか。」と、思っている矢先だった。


 助けを求められている割には、ミツキの念話にはひっ迫している様子はない。


 『何かあったの?』


 『ヤバそうなサメが井戸の底から上がって来たので井戸が封鎖されるみたいッス。

 階段とスロープを使って、この階層から地上に帰るのは、アタシ達だけじゃ無理っぽいッスよ。』


 そういや探索者ギルドのアザラシ姉さんが、たまにそれぞれの階層からモンスターが現れ、最悪、表層まで来ることがあるとかいってたな。


 『今のミツキ達でも倒せなさそうな感じ?』


 『アタシ達のいる地下6階層より下から上がってくるのを、サナちーが見てるんスよ。

 ってことは、少なくても地下7階層クラスの相手ッスよね?

 見た目もヤバイッスし、警報がジャンジャカ鳴ってるッス。』


 地下7階層となると、エグザルの旧迷宮ならランク3確定、それより深いところからだと、ランク4の可能性もあるか。


 確かにチートなしで格上相手は無謀だな。


 井戸を使わずに歩いて戻るにしても、普段、マッパー役の私がいないのでは、表層に戻るまでに『遊泳の加護』が切れる可能性がある。


 あれ?思ったよりヤバイ状態だな。


 『わかった、今すぐそっちに行く。』

 『了解ッス。』

 『お父さん、そのサメ、まだ結構近いところにいるから、なるべく静かに来てね。』


 ミツキに続き、サナからも念話が来た。


 目視できる範囲にいるなら淫スキル【性病検査】で鑑定も出来るから丁度いいな。


 『それなら一回、いつもの場所で合流しよう。相手を確認するのはそれからで。』

 『はい。』

 『わかったにゃー。』

 『近くに蟹が来ているかもしれないので、レン君もお気をつけて。』



▽▽▽▽▽



 「ありゃヤバイな。」

 「そうッスよね?」


 ミツキ達が言っていたそのサメというのは、大きさはセミトレーラー並みという巨大さの上に、頭が3つもついているケルベロス状態で、まるでB級ホラー、いやB級サメ映画みたいな絵面だ。


 とはいえ、真面目に考えると感覚器が多い分、索敵能力も高そうだなこれ。


 試しに【性病検査】で鑑定してみると、レベルは45。


 久しぶりの完全に格上の相手だ。

 うちのパーティーの中で、一番レベルが高いチャチャより更にレベルが高い。


 おそらく表層で探索者に注意を促すために、あるいは敵の索敵を鈍らせるために、ミツキの言うとおりジャンジャカと鐘の音が鳴る中、それを気にした様子もなく、ここ6階層から3階層あたりまでの井戸を悠々と泳いでいる。


 というか、餌を探しているようにも見えるな。


 名前はトリプルヘッド・シャーク。

 見たまんまだ。


 淫スキル【性感帯感知】で弱点を探すと、鮫肌で隠れているものの、ちゃんと真ん中の頭の額に魔素核があるので、迷宮産のモンスターらしい。


 もしかして迷宮自体が死んだ探索者を直接『喰う』ことのほかに、迷宮のモンスターが生きた探索者を喰うことで、迷宮の魔力を維持していたりするのだろうか?


 そう考えると迷宮のモンスターが好戦的な理由が分かるような気がする。


 って、それは、さておき、どうしよう?これ。


 単純に表層に帰るのは、かなり遠回りにはなるが、難しくはない。

 途中の交戦時間を考えても『遊泳の加護』が切れるまでには地上に帰れるだろう。


 ただ、


 「このままでは、迷宮が閉鎖されてしまうかもしれませんね。」


 そうなのだ。

 サオリさんの言う通り、他の階層から出てきたモンスターが井戸に居る。ということは、更に別の階層に入り込む可能性がある。と、いうことだ。


 本来、低レベル帯の階層に、このレベル45のトリプルヘッド・シャークが現れる。なんてのは、それこそサメ映画並みの阿鼻叫喚になることは想像に難しくない。


 なので、こういう場合、一定期間、そういうモンスターが元の階層に帰るまで迷宮を閉鎖することがある。と、何人目かの探索者ギルドの説明員がいっていたような気がする。


 そうなってしまうと、せっかくサナが目指している、この街でのシルバーの道が遠のいてしまうし、里帰りは更に遠のいてしまう。


 「お父さん、どうしよう?」


 サナも同じことを考えていたのか、心配そうに上目遣いで私を見ている。


 淫魔法【夜遊び情報誌】で確認すると、探索者の半分くらいは逃げるように階段を探して移動しており、もう半分は井戸から遠く離れた場所で狩りを続けているようだ。


 要するに井戸周辺から中心部くらいまでは人気ひとけがないのだ。


 「そうだなぁ。」


 淫スキル【淫魔】で、淫魔の身体になり、淫魔法【コスチュームプレイ】で改めて装備を整える。


 「ここは一つ、サメ駆除といきましょうか。」


 ミツキッス。


 なんスかあのサメ。

 頭3つもあって、頭こんがらがったりしないんスかね?


 右行きたい頭と左に行きたい頭とで喧嘩したりとか。


 次回、第六○八話 「トリプルヘッド・シャーク」


 パパがいれば大丈夫だとは思うんスけど、なにせ相手がデカイッスからねぇ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話数としては久々淫魔モードの出撃(^_^)ノ [一言] せっかく淫魔モードになってるので、女言葉が聞きたいです。
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