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第五十五話 「装備」

 お出かけの支度が整ったのはラブホテルの時計で7時をちょっと超えたくらいだった。

 簡易宿泊所の部屋に戻り、昨日と同じように特性【ビジュアライズ】でエグザルの街の情報を空間に可視化させると、昨日の夜市の場所で昨夜ほどの規模ではないが、同じような朝市をやっているらしいので、そこで朝食を取ることにする。

 ほかにも服や装備を買う店も何件か目星をつけておく。


 部屋を出て探索者ギルド二階の踊り場に出ると、もう下のホールでは結構な数の探索者が食事や依頼取りに動いていた。


 買い物が終わるころには昼を過ぎてそうなので、階段を降り、簡易宿泊所のフロントに鍵を返し、代わりにシングルの部屋を寝具付きで一部屋予約する。


 結局のところ淫魔法【ラブホテル】を使うので必要ないといえば必要ないのだが、なるべく普通の探索者のように振る舞っておいた方がトラブルを呼ばないだろう。

 ダブルの部屋のマットがキングサイズだったので、シングルの部屋でもサナと私ならちょうどいいくらいのサイズだろうと当たりをつけ、寝具代込みで銀貨2枚を、とりあえず5日分先払いしておく。

 実際そこで寝るわけでもないし、途中で鍵返せば残額戻ってくるようだしな。


 結局、朝食は昨夜と同じ店にした。

 また白いご飯の誘惑に負けたのだ。


 味噌汁は無いが代わりにワカメのような海藻が入ったショウガのような風味が効いたスープ、何かのハムの細切が入っている卵焼き、鮭っぽい焼き魚で朝食を済ませたが、二人分が銀貨1枚で済んだ。

 というか、おつりが出るくらいだったのだが漬物少し追加注文して金額を調整したのだ。


 こう和風にニアピンな料理だと醤油が欲しくなる。

 と思っていたのが口に出ていたらしくサナにも同意された。

 あるんだ醤油。

 サナの話によると味噌もあるらしい。

 清酒があるくらいだから、おそらく発酵技術が進んだ地方とかがあるんだろう。

 ここくらい大きな街ならどこかで売ってそうだが。

 メニューのマップと同期させたエグザルの街情報を検索してみると、街の北側の市場で扱っている店があったので今度寄ってみよう。


 朝市は武器屋や防具屋、道具屋などが並ぶ通りに屋台が出ているので、朝食が終わった後、そのまま装備を先に見ることにする。

 服飾品店が開くまでには、もう少し時間があるのだ。

 逆にこの辺りの装備品店は探索者相手なせいか開店時間も早い。


 「サナは武器、何が使えそう?」

 「えーと、弓矢と小刀くらいなら少し使えます。」

 そういや前に狩りもするって言ってたか。


 あまり重い弓は引けないらしいのでショートボウと矢筒を選ぶ。

 サナは身体のサイズも小さいので選択肢がかなり狭かった。

 矢は迷宮に入るなら再利用前提になるらしく、それなら金属製の矢が良いと勧められた。

 重さから射程は短くなるが矢の損傷率が低いらしい。

 その代わり値段は高めだ。


 小刀も売ってなくは無いがサナの小さい手に合うようなものは少なかった。

 ちゃんとグリップ出来ないといざというときに危ないのでサイズ重視でナイフに変更する。

 わりと厚刃で鞘もついてくるのでそう悪くないだろう。


 ほかの買い物が終わった後、帰りに取りに来ると店員に告げ、取り置きしてもらい、次は防具を選びに行く。


 サナは筋力が低いので、軽めの革装備をと考えていたのだが武器と同じくまるでサイズが無い。

 サナが特別小さいのもあるが、この街の基本サイズがムキムキマッチョの白人サイズなので全体的にデカいサイズが中心なのだ。


 しょうがないので自分のサイズで一式を選び、サナの分は淫魔法【コスチュームプレイ】を使って後でなんとしよう。


 骨装備や蟲装備なんてものもあったが、動きやすさ重視で当初の予定どおり革装備にする。

 革の素材によって値段も違うのだが、オークレザーを使ったもののコストパフォーマンスが良いと勧められる。

 よほどデミオークに縁があるらしい。

 と、いうよりオークレザーがドロップしやすいんだろうな。


 結局、胴装備だけじゃなく籠手や別パーツで両脚もカバーし脚絆もついてくるオークレザー装備一式というものにした。

 探索者ギルドでいうと下から2番目ランクであるカッパーの探索者がよく使う装備らしい。


 頭装備は視覚の広さを取るか防御力を取るかで装備の好みが分かれるらしく一式には入っていなかったので、間を取って広めの鉢金のような装備を追加で注文する。

 

 試しに一式を装備させてもらうと、思ったよりスタイリッシュで動きやすいし、音も静かだ。

 色はダークグレーで、サナもかっこいいと褒めてくれたので、これにする。

 って、もともとサナの装備のつもりで選んでたんだった。


 これも武器と同じように帰りに取りに来るからと取り置きしてもらう。

 そろそろ服屋も開く時間なので街の西側に移動しながら途中の道具屋でサナと自分用のバックパックも購入した。


 メニューのアイテム欄に収納できるので基本的に必要ないのだが、迷宮に入るときに無いと不自然だろうということで買うことにしたのだ。

 なんかサナのバックパックはランドセルっぽい感じがしないでもないが、矢筒を付けられる機能的なタイプなのでよしとする。

 自分の分は厚手で耐水性の大きなバックパックだ。

 わりとベーシカルなものらしい。


 これは買ってそのまま持って行く。と、いうか背負っていく。

 サナの恰好がどんどん小学生化しているような気がするが気のせいだろう。


 靴はこのままブーツでもいいのだが、自分用にコハゼの多い地下足袋に似たようなタイプの靴を選ぶ。

 隠密度重視なのと足でもドレインに支障が無いように底が薄めのものだ。

 地下足袋といっても足先は特に割れていない。

 サナも口には出さないものの同じものを欲しそうにしていたが、やっぱりサイズが無いので断念する。

 これも買って早速バックパックに入れて持って行く。


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