第五十三話 「二日目の終わり」
淫魔法【ウェット&メッシー】を使い、冷水を右手の人差し指と中指の間からサナの口に注ぐ。
コクコクと喉を鳴らすサナ。
いや、指からは舌使わなくても出るから。
一方的に勝利を収めたサナは満足げだ。
私の反応にも満足したらしい。
とはいえ指導のために角を見立てて指で色々と触っていたので、サナのボルテージ自体は上がっており、また発情状態に戻っている。
単に匂いで発情してるのかもしれないが、このタイミングのうちに淫魔の契りの最後の説明をしておきたい。
「サナ、今レベルアップしたの分かるかい?」
ぽーっと半開きの口に指をあてているサナに話しかける。
「あ、は、はい。上がったと、思います。」
集中してて気づいていなかったっぽい。
頑張って飲んでたもんな。
「えーと、サナがしている指輪『淫魔の契り』には、レベルが上がる元である『経験値』というものを一定の条件つきでサナに与えることができる。って前に説明したけど、その一定の条件というのがこれ。」
サナは立ち上がると両手の手のひらでパシパシと自分の頬を叩いて発情から戻ってこようとしている。
「サナがさっき飲んでくれたソレを体内に取り込むことによって「経験値」が入るんだ。取り込める場所は、口からとここから。」
「あっ…」
指さしたところを見てサナが照れる。
おそらく後ろから摂取しても経験値入りそうだが、そこまで無理して経験値を稼がなくてもいいだろう。
「回数はそれぞれ1日1回が限度。だから今日はもう経験値は入らないね。でもレベルを上げるためにも必要なことだからサナも発情を我慢しないでね。」
未だ発情を私に鎮めて貰うことに抵抗がありそうなサナにそう念を押したつもりだが、サナは何かモジモジしている。
あー。
「レベル上げ関係なく甘えてもいんだよ?」
サナが無言で座ったままの私の胸に飛び込んできた。
一生懸命頑張ったご褒美にもうちょっとだけ可愛がってあげよう。
▽▽▽▽▽
サナは満足したのか静かに寝息をたてている。
今回は気絶させないようには手加減は出来た。
異性に対してのあらゆる行為に淫魔ランクに応じてボーナスを得る種族スキル【フェロモン】と、精技の成功率を淫魔ランクに応じて上げる種族スキル【テクニシャン】がランク2で自動発動するので手加減が難しいのだ。
まあサナは気絶しなかっただけで力尽きて寝てしまっているわけだが。
全然ちょっとだけじゃなかった。
とりあえず生理現象である発情に嫌悪感を持たないで済んでいるっぽいので良しとしよう。
あとデミオークからドレインした【絶倫】ランク2が凄い。
幸せそうに眠るサナの横に潜り込み眠りにつく。
こうして異世界での生活の二日目が終わった。
▽▽▽▽▽
遠くから聞こえる水音で目を覚ます。
布団の中で寝がえりをうち、水音の方に視線を向けるとお風呂側のドアからサナが出て来た。
肌襦袢一枚のいでたちだ。
「お父さん、おはようございます。さっきの朝焼けの海、凄い綺麗でしたよ。」
それでも寝かしておいてくれたのか。
こちらに気づいてサナがベッドに乗って来たのでそのまま両手で捕まえる。
「おはよう。」
サナの胸元に顔を埋めながらそう返事をする。
ボリュームは無いもののこれはこれで良いものだ。
「お父さんくすぐったいです。」
笑いながらそう答えるサナ。言葉ほど嫌がっていない様子なので、そのまま深呼吸をすると、サナの甘い匂いが鼻に広がる。
「サナのいい匂いがする。」
「あ、あの、肌襦袢洗ってないから匂い嗅がないでください。」
語尾がだんだん小さくなりつつも抗議するサナ。
そうはいっても二日間で三回風呂に入って、そのたびに身体も髪も洗っているせいか、それほど汗の匂いはしない。
もうちょっとサナ自身の匂いがしてもいいのにな。とクンクンと鼻を鳴らす。
「お父さん、恥ずかしいから嗅がないで。」
恥ずかしがる仕草が可愛いのと良い香りがするのでもっと嗅いではいたいのだが、嫌われるのも嫌なのであきらめる。
思いついたこともあることだし。