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第五一一話 「御宮」


 ミツキとサオリさんの解説によると、基本的に羽根があったり飛ぶ生き物を始祖に持つ亜人族は天父神様に、鱗があったり水辺に住む生き物を始祖に持つ亜人族は海母神様に仕えているらしい。


 ちなみに陸に住む生き物を始祖に持ち、かつて人族と共存を図ったり中立の立場をとった亜人族が東本社側、独立や対立の立場をとった亜人族が西本社側なのだそうな。


 一応、教義的には人族も亜人族にとっては今の人型の姿になる元になった種族であり、また、人族も天父神様の加護を受けられる種族だそうなので、亜人族の国に人族がいること自体はタブーではないらしい。


 ただ教義や歴史によって人族との関わり合いについては亜人族同士でも温度差があるそうな。


 そんな話をしているうちに御宮についたのだが、チャチャには難しい話だったようで、まだウニャウニャいってる。


 「うわぁ、立派ですね。」

 「凄いお庭にゃぁ。」

 「エグザルの街の社より二回り、いや三回りは広いかな?」


 サナ、チャチャに続き、その立派さに思わず声が出てしまう。


 大門から入るとチャチャのいうとおり大きな庭状の空間になっており、奥に行くにしたがって高くなるような坂というか丘状態で空間が広がっていっている。


 右手手前には大きな池があり、そこの中心に大きな社が建ち、そこへと朱色の橋がかかっている。


 ちょっと立地が大聖神国街の教会っぽいな。


 左手奥には大きな樹木を囲うような社が立っており、こっちはエグザルと同じように地母神様の社なのだろう。


 更に奥にある中央の高台には同じく木造りの社が立っており、屋根についている鏡かガラスかが光を反射してピカピカと輝いているのが見える。


 よく見ると大きな丸い鏡とその下にステンドガラスがはめられた採光窓があるようだ。

 ガラスが工業技術じゃなくて迷宮から取れる関係か、こういう歴史的というか伝統的建造物にも使われるんだな。と、変なところで関心してしまう。


 「なんとなくわかると思うッスけど、手前の池の中心に建ってる社が海母神様の社で、あっちの高いところに建ってるのが天父神様の社ッス。」


 ミツキが指を指しながらそう説明してくれた。


 「やっぱりタツルギの街の御宮は立派ねぇ。」


 サオリさんが頬に手をあてながら、感心したように辺りを見渡している。

 話を聞くと、サオリさんは十二新興街では1時の位置にあるウルーシの街の御宮には行ったことがあるらしいのだが、そこの御宮はここまで立派ではなかったとのことだ。


 ちなみにアサーキ共和国の首都トラージまでいくと逆に立派になりすぎて、それぞれの社が神宮として独立して建てられているそうだ。


 わたし達が目指しているのは地母神様の社なので、海母神様の社の横は通り過ぎる形になるのだが、それでも巫女服や尼僧服の亜人族の女性が境内を掃き清めているのが目に入る。


 中でも長い黒髪で色白の肌に頬と額、それから手の甲を飾るように生えている白い鱗が陽の光に反射してキラキラと光っている巫女服の美しい女性が目を引いた。


 「ととさん、あの人きれい。」

 「そうだね。」


 チャチャが先に言ってそれに同意しただけなのでセーフ。


 思わず自分も口に出てしまいそうな神秘的な美しさのある女性だった。


 「白蛇族の巫女さんですね。蛇人族はうちでいう狐人族や狸人族みたいに神様と地上とを橋渡ししている眷属にあたる種族です。」


 サオリさんがそう解説してくれた後に会釈をし、チャチャが手を振ると、その白蛇族の巫女さんもにっこりと微笑み、小さくチャチャに手を振り返してくれた。


 スレンダーな体型だけども、なんともいえない色気があるな。


 元が蛇なら卵で生まれたりするのだろうか?

 そうなると授乳しないはずだから、おっぱいは無いのだろうか?

 でも、人型になってるわけだから…


 「はいはい、見とれてないで、早く行くッスよー。」

 「お父さん、こっちこっち。」


 変なことを考えていたらミツキとサナに急かされてしまった。

 でも気になるよな。


 鳥がベースの亜人族とかも、その辺りどうなんだろ?


 おっぱいで思い出したが、おっぱいサイズがインフレしていたエグザルの街とは違い、わりとこのタツルギの街は常識的なサイズが平均のようだ。


 もちろん、牛人族のようにアベレージをドンと上げている種族もいるのだが、先程の蛇人族のようにスレンダーな体型も少なくなく、他の亜人族も日本人くらいのサイズがほとんどのため、こう、落ち着くというか、逆に生々しいというか、サオリさんやミツキの希少価値が上がるというか、いかん、変な事を考えていたらまた急かされる。


 「ととさん、考え事なのにゃ?」

 「いいや、なんでもないよ。」


 サナに引かれている手とは逆の手でチャチャの頭を撫で、そのまま手を繋いでミツキの後へと続いた。


 ミツキッス。

 なんかママさんの胸にパパの視線がいってるのは気のせいッスかね?


 ちなみにスレンダーな蛇人族でも、ちゃんとおっぱいはあるッス。

 確かに卵で生まれはするんスけど、短いながらも授乳期間もあるッスよ。


 次回、第五一二話 「小鬼族」


 地母神様系列の亜人族と授乳の苦労と抱卵の苦労、どっちが大変かという話題によくなるそうッス。

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