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第五〇二話 「地図」


 「あれ?またご主人様の姿になったんですか?」

 「もうご主人様じゃないけどね。また少し大きな魔法を使うからこっちの姿になったのよ。」

 「あー、ここから先のマップッスね。」


 ミツキのいうとおり、アサーキ共和国のマップを所得するべく勇者装備の『変成の腕輪』を使って、いつもの淫魔法【夜遊び情報誌】の効果範囲を拡大して唱える。


 グイグイと魔力が消費され、追加で魔力ゲージ自体も消費されていった。

 今日は結構魔力を使っているので、どこかで魔力ドレインでもして回復しておいた方が良さそうだな。


 「さて、と。」


 無事、マップが所得できた感触があったので、改めて男の姿に戻る。

 いや、無理に戻る必要はないのだが、こうしないと娘達のうけが悪いのだ。


 改めて特性【ビジュアライズ】で周辺マップを広げ、その上で縮尺を上げて各国のマップを結合させていく。


 「あー、やっぱりか。」

 「ん?」

 「なにがッスか?」


 マップを覗き込んでいた二人の視線が私の顔に向かう。


 「いや、大したことじゃないんだ。やっぱり島だったんだなって思っただけ。」

 「あー、いわれてみればそうですね。」

 「あ、そっかサナちーも、ほとんど里からは出たこと無いから知らなかったんスね。」


 今まで使用している言語が【共通大陸語】だったわりには海が多かったので、東側が大陸と繋がっているどこかの半島なのかと思っていたが、結局アサーキ共和国の東側もびっしり海に囲まれている。


 十二新興街では真北に位置するネネの街を含む大教会の直轄地のマップはまだ手に入れていないものの、ほぼ間違いなく島だ。


 と、言い切れるには別の理由がある。

 何故かというと、この島の形が()()()()()()()()()だからだ。


 どちらかというと、さきほどの口に出てしまった「やっぱりか」はそちら側の利用の方が大きい。


 始めにエグザルの街が所属するナイラ王朝のマップを手に入れたときには何も思わなかった。

 ここはどこかの大陸の西端なんだな。程度の認識だ。


 ところがネローネ帝国のマップを手に入れた時に、ちょっと違和感、いや、既視感を感じた。


 ホウマの街から南の特徴のある半島の形に見覚えがあったからだ。

 そうなるとナイラ王朝からネローネ帝国までの海岸線の形も見た覚えがある。


 ただ、この時点では()()は思わなかった。

 なにせ方角がまったく違う。

 それに加えて木々の植生も違うので、自分の知っている土地ではないはずなのだ。


 そして今、アサーキ共和国のマップを手に入れて確信した。


 今いるこの土地は半島などではなく大きな島で、その島とは『北海道』なのだ。


 もちろん元の世界と同じ北海道ではない。

 西に90度まではいかないものの、大きく回転しており、北海道最北端の稚内が真西の方向を向いている。


 まだマップには表示されていないが、稚内の代わりに知床半島が最北端に位置しているのだろう。


 元の世界では函館などがある渡島おしま半島は、相変わらず北海道の南、道南と評してもおかしくないのが興味深い。


 ここが北海道だと気付かなかった、いや、()()()()()()と思い込んでしまったのは、主に植生の違い、具体的には竹の存在だ。


 北海道では竹というのは道南でしか見る事が出来ないのだが、この世界ではエグザルの街の更に西、サルトの町周辺でも普通に生えている。


 ここは元の世界では北海道の北部、道北に位置し、竹なんて絶対生える訳がない。


 生える生えないでいったら、そもそも元の世界にないブダとかグレンの実の元になる木が生えている時点で植生どころか進化系統すら違うわけだが。


 植生はとりあえず置いておくとしても、おそらく地軸が元の世界に比べて東西だけじゃなく南北にもずれているのだろう。


 どうりで夜空の星や月の見え方も違うはずだ。


 現在の北緯や東経などは知るすべがないので、どれくらい元の世界とずれているのかは分からないが、今までいたエグザルの気候から考えると、少なくても旭川くらいの北緯が函館くらいの北緯以南になるくらいには南方向にもズレているのだろう。


 さて、大聖神国街が本当に時計の文字盤のように位置する十二新興街の中心にあるのなら、位置的には北海道のど真ん中、ざっくり大雪山国立公園の辺りになるはずだ。


 元の世界のあの辺りには大聖神国街のような大きなクレーター状の土地は無いので、あそこに隕石か何かが落ちて地軸がずれたとか?


 いや、あの規模のクレーターが出来る隕石だったら地球滅亡フラグだから、たぶん違うと思いたい。

 

 火山によるカルデラという可能性だってあるので、その辺りは保留しておこう。


 ミツキッス。


 パパのいったとおり、ここは「カイ」という島ッス。

 大きい島なのでタイカイ島ともいうッスね。


 実質ネローネ帝国とナイラ王朝の緩衝地ッスけど、迷宮という「利権」を巡って長いこと争いもあったッス。


 次回、第五〇三話 「階層世界」


 そこで割を食ったのは元々タイカイ島に住んだり利用してた民ッスね。

 それらが集まって作ったのがアサーキ共和国ッス。


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― 新着の感想 ―
[一言] 海の向こうも同じ国の領土ってとこでちょっとおかしいなと思いましたが 劇中で出てきたネローネとナイラの領土は本国内ではなく飛び地だったんですね
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