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第四八八話 「キャンプ」


 「コップとか洗ってきますね。」

 「チャチャもやるにゃー。」


 なるべく汚れ物は少なくしたつもりだったが、それでもどうしても出てしまう分を抱えてサナとチャチャが部屋へと戻っていく。


 「パパ、炭は全部燃やしちゃう感じッスか?」

 「そうだね、でもまだしばらく持ちそうだから、ちょっと変わった事に使おうか。」

 「変わったことですか?」


 サオリさんにつられてミツキまで首を傾げている。

 いや、そんな大したことじゃないので、あまり期待されても困る。



▽▽▽▽▽



 「線香花火ッスね。」

 「花火って、あの花火?」

 「ウシトラ温泉街で打ち上がっているのは見たことありますね。」

 「どうやって食べるのにゃ?」


 洗い物からサナ達が戻って来たのを見計らって、カリーの港町で買ってきた手持ち花火を見せてみると、そんな反応が返って来た。

 

 チャチャは論外として、打ち上げ花火ならともかく手持ち花火の方は比較的都会人のミツキなら知ってるくらいの知名度というか普及度か。


 今回用意したのはミツキのいうとおり線香花火なのだが、元の世界のようにカラフルで薄い和紙をこより状にしたものではなく、稲藁の先に黒色火薬がついているだけのシンプルなものだ。


 どちらかというと関西のスボ手型に近い。


 「打ち上げ花火ほど華やかではないですけど…」


 炭の熾火を使って線香花火の先に火をつけ、サナに持たせてやる。

 

 「わ、パチパチいってる。」

 「にゃっ!」

 「初めてだとビックリするッスよね。」

 「うふふ、これはこれで情緒があるわね。」


 あっという間ではないものの、ほどなくして火花が散り終わり、消えてしまう。


 「数は少ないけど、全員の分をカリーの港町で買ってきてるので、やってみて。」


 そういいながら全員に2本づつ手渡していく。


 さっそく試してみるミツキと、びくびくしているチャチャ。


 そんなチャチャに火をつけてやるサナと、意外とノリノリなサオリさんと、火が付く前からちょっともう楽しそうだ。


 量のわりに結構いいお値段したのだが、これは良い買い物をしたかもしれない。



▽▽▽▽▽



 「さすがにあっという間ッスね。」

 「ねー。」

 「でも楽しかったにゃー。」

 「うふふ、年甲斐も無くはしゃいじゃいました。」


 四者四様の感想が漏れているところを悪いが、


 「実は、もうちょっとだけ続きがあるんだ。」


 そういいながらメニューのアイテム欄から、あらかじめ作っておいた手持ち花火を取り出した。


 あらかじめカリーで10本買った線香花火のうち1本を使って某所で全裸花火をして、無理やり花火自体を淫具認定させ、淫スキル【淫具制作】で作ったという一品だ。


 ちなみに材料は前に護衛の仕事をしたときに騎士団から押収した信号弾やら狼煙の粉やらを流用したり、淫魔法【ラブホテル】で繋げた硫黄泉の温泉で集めたりと意外と手がかかっている。


 中でも硝石が一番大変だったけども、食後にわざわざ思い出すような内容じゃないので割愛する。


 【淫具制作】で使う魔素核のグレードを上げたら、元の世界風の花火が出来上がったので、この世界にとってなら、かるく数百年分の科学技術を超えるオーパーツみたいな花火になってしまっているのは内緒だ。


 「なんかお菓子みたいッスね?」

 「どこに火をつけるのかしら?」


 「綺麗な、こよりですね。これも花火なんですか?」

 「きれいにゃー。」


 ミツキとサオリさんが眺めているのは6色に色が変化するススキ花火、サナとチャチャが眺めているのは関東風の長手の線香花火だ。


 「一本ずつしかないけど、こっちもやってごらん。」


 そういって、最初はススキ花火の方を全員に手渡した。



▽▽▽▽▽



 「綺麗ですね…」

 「なんか落ち着くッス。」

 「そうねぇ。」

 「にゃぁ。」


 あれだけ色の変わるススキ花火で興奮していたのはどこにやら、私も含めた全員での線香花火を見て、うっとりとしている。


 うん、締めの線香花火をすると、夏のキャンプの終わりって感じがするな。


 サナです。

 もう、お父さん、ご飯つくってくれるのは嬉しいけど、あたし達の仕事がなくなっちゃうのは困ります。


 花火といえば、小さい頃に家族で打ち上げ花火を見たような記憶がありますけど、あれってやっぱりウシトラ温泉街だったんでしょうか?


 次回、第四八九話 「星空再び」


 お父さんとも花火を見れて嬉しかったです。

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