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第四八二話 「案」


 「ショートカットで街へ移動するのは実績もある方法ですけど、奴隷解放を急がされた今となっては、なるべく早くこの街を一度たたなきゃ何かの圧力がありそうな気がするんですよね。

 でもショートカットの仕掛けをした箱馬車がウルキの街着くまでは、早くてもあと3~5日かかると思うんです。」


 「それまでこの街にいたら、わたしたちは良くてもロマさん達に迷惑がかかってしまうかもしれませんね。」


 サオリさん、意外と、というと失礼かもしれないが、牛の乳しぼり上手いな。

 山羊で慣れてるのだろうか?


 「あ、はい、持って帰りますので瓶もください。」


 乳しぼり体験はサナたちもやってるかもしれないけど、メニューのアイテム欄に入れておけば腐らないから大丈夫だろ。



▽▽▽▽▽



 「資金も手間もかかりますが、馬と馬車を買うのは、わたしも良い案だと思います。

 農耕馬じゃないので里ではあまり欲しがらないとは思いますが、近くのウシトラ温泉街でなら需要もあるでしょうから、そこでなら売れると思いますよ?」


 「やはり手堅いのはこれですよねぇ。」


ブビー!


 「あっ、鳴いた!」

 「そりゃあ鳴きますよ子豚ですから。」



▽▽▽▽



 「馬車の扉から、いつでも部屋に入れるってのは確かにメリットッスね。」

 「だろう?」

 「でも、部屋で泊まっている間、馬と馬車はどうするんッスか?」

 「あ。」


 膝の上で頬を染めながらも大人しく撫でられているミツキにいわれて初めて気づいた。


 護衛任務の時に騎士団をやり過ごした時のように馬を淫魔法【睡眠姦】で眠らせ、馬車ごと隠形の魔法で隠すというのは短時間だから出来ることで、流石に一晩は難しい。


 「はわはわはわ…」


 合流した後、好きな兎を抱っこしていいといわれて、白兎を可愛い可愛いと抱っこしていたが、実は食べると美味しいと聞いて葛藤した顔のチャチャを見ながらそう考え直す。


 ちなみに私がミツキを抱っこして撫でているのも同じ理由だ。

 初めて牧場に着た時、ほかの兎を可愛がってミツキにヤキモチ焼かれたしな。


 「そういえば、里まで野営は何箇所くらいあるんですか?」

 「西廻りだとネネの街の東西2箇所だったわね。」

 「今回は東廻りになると思うッスけど、やっぱり2箇所ッスね。エグザルの街からヒツシプの街への間と、ミスネルの街とタツルギの街の間ッス」


 サナがたれ耳の茶兎を抱っこしながら聞くと、黒うさぎにクローバーを食べさせながらサオリさんが答え、ミツキがそれに補足する。


 十二振興街をいつものように時計で表すと12時の位置のネネから見て11時までと1時までの間、それから8時の位置のエグザルと7時の間、そして5時と4時の間が野営が必要になる箇所らしい。


 前に手に入れた地図によると国境付近は街と街との間に中間地点となる町が無いんだな。


 「最初のヒツシプまで、何かでさーっと行けちゃえば、あとは箱馬車がウルキの街に着くまで、ゆっくり定期馬車で移動しても良さそうですけどね。」


 「サナちー、それいったら、とりあえずトルイリの街へ行って時間潰した方が楽ッス。」


 「あ、そっか。」


 そうなのだ。

 チャチャの故郷であるトラージの街に寄ろうとしているので東廻りのルートを前提に考えているが、急がされているのはサナを里に戻すための旅なので、それだけならミツキの言う通り西廻りでも十分なのだ。


 それはそうなのだが、さっきサナのいった、次の街までサーッと行く方法というのが頭の中で引っかかっている。


 馬車だと次の街までは基本2日、中間の町までも半日かかるものの、距離的にはおそらく5~60キロ、元の世界なら大した距離ではないのだ。


 そう、()()()()()()()()


 「うん、とりえずもう一晩考えてみるよ。みんなありがとね。」

 「お力になれましたか?」

 「ええ。」


 チャチャの抱いている白ウサギに、いつの間にか買った人参スティックを食べさせているサオリさんにそう答える。


 んー、流石に物がデカイので実験をするにもどこか広い場所が必要だな。

 またあそこに行くか。


 それで駄目なら手堅くミツキのいうとおり、とりえあえずトルイリ行きルートだ。


 チャチャにゃー。

 今日はいっぱい動物の名前覚えたにゃ。


 あとここにいるのは、みんな美味しい動物だってわかったのにゃー。

 牧場って凄いにゃぁ。


 次回、第四八三話 「ベーコンレシピ」


 これも美味しいのにゃ?

 え?もるもっと?食べる動物じゃにゃい?

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