第四二九話 「新教会」
「新教会が黒いという根拠は?」
ロマが厳しい目でカレルラを見つめ、ヤコさんやマミ先生もそれに続く。
「未成年を合法的に集めることが出来るのが教会や社だからよぉ。
お参りだろうがぁ、洗礼だろうがぁ、帰依だろうがぁ理由はいくらでもつくわぁ。
でも、秘伝を知る立場にある社側が同族を使い捨てにするとは思えないし、旧教会、いえ、真教会でしたっけぇ?そこも鳥人族とかの亜人族にとっての教会であるなら、同じこと。
消去法なら新教会しかないじゃないのぉ。
真教会から秘伝の一部が流出して新教会でそれを試した。
亜人族を忌避する新教会なら、そんなことだってやりそうでしょう?」
えーと、察するに教会は旧教会または真教会と呼ばれている旧来の教会と、新教会と呼ばれる新しい教会の2種類あって、後者の代表が大聖神国街にある大教会なんだろう。
『そんな感じであってる?』
『あってるッスよ。二つとも天父神様を祀ってるッスけど、新教会は人族だけの教会で、真教会は人族と羽のある亜人族の教会ッス。』
カレルラたちの話の腰を折るのもなんなので念話でミツキに聞いてみたらそう教えてくれた。
「それは矛盾してないべか?真教会ならともかく新教会に亜人族は集まらないべ。」
「ところが最近、一部で亜人族の洗礼が行われはじめているのよぉ。
人としてというよりぃ、僕としての洗礼がねぇ。
そんなものでも、食い詰めた亜人族にとっては生きるための選択肢には入ってくるわぁ。」
本当に情報の伝手があるんだな。
「人族の世界でしか生きられなくなった亜人族だって少なくないのよぉ?」
何かを言いたそうにしていたマミ先生やヤコさんを牽制するように言葉を続ける。
要は宗教的理由じゃなくて経済的理由の話なんだろう。
「あり得なくはないのか……すまん、カレルラ、慎重に裏をとってみてくれ。」
「それはいいけどぉ、カルツ達をこっそり尋問したほうが早いとおもうわよぉ?
もう犯罪奴隷化しているのでしょう?」
「それもそうだな。」
▽▽▽▽▽
その後は、明日から正式に始まる誘拐団への尋問と、今後行われる公聴会の打合せをして解散となった。
ちなみにこの中で明日の参加者は、この事件のギルド側担当者のロマ。
亜人族の誘拐被害者並びに行方不明者の取りまとめをしているマミ先生とヤコさん。
被害者が性奴隷となった時に関しての有識者としてカレルラ。
うちからは誘拐の被害者本人であるミツキとサナ。
被害者の身内であり、実際に誘拐された当日現地にいたサオリさんの3人。
要するに私とチャチャ以外全員だ。
私は参加しないし出来ないのは当初からの予定ではあったが、ギルドマスターにはともかく、あまり偉い人にチャチャの事はもちろん、私の事を知られない方が良いだろうという判断もあるらしい。
参加人数から考えると今いる仲間側の方が圧倒的に多いので緊張しなくても良いとロマが締めて今日は解散となった。
「尋問会がどうかはともかく、根本的に偉い人の前では緊張するよなぁ。」
「偉い人というか、カレルラさんの前って緊張するッスよね。」
それな。
「わたしもロマさんはともかく、母の昔の仲間の前となると、やっぱり肩に力はいっちゃいますね。」
サオリさんがそういいながら自分の肩に手をあてている。
「そうですか?みんな良い人で頼もしいですよ?」
「ですにゃ?」
チャチャと手を繋いでいるサナがそういって上目遣いで私の顔を覗いている。
「うちらの中ではサナちーが一番大物っぽいッスよね。」
「里ではそうでもなかったんですよ?」
そんな事を話しつつ、今日は歩きで探索者ギルドまで戻って来た。
少しずつ淫魔法【ラブホテル】でショートカットをしない生活に慣れていこうと思ったからだ。
結果的に歓楽街から夜市を抜けての移動になったため、三人娘が露天の誘惑と戦って、そして負けていた。
一応、チャチャはパーカーのフードなどで正体を隠しつつ移動していたのだが、買い食い3人娘状態だったので、ちゃんと隠れていたかは微妙だ。
チャチャもお仕事忙しいにゃ、忙しいにゃ、と両手に串物を持って楽しそうにしていたが、やっぱり女の子は笑顔が一番だな。
今後についてはカレルラの情報操作に期待しよう。
サナです。
打ち合わせには晩御飯を食べてから出てきましたけど、少しお話が長引いたので小腹が空いてました。
そんな時に、あんないい匂いで誘うなんてズルいです。
次回、第四三○話 「家族風呂」
あ、お父さんごめんなさい。
ちょっとあそこで水ようかん買ってきます。




