第四一二話 「チャチャのごちそう」
「ほ、ホントに朝からこんなごちそう食べてもいいのですにゃ?」
「もちろん、ちーちゃんはお手伝いもしてくれたから、大きいのどうぞ。」
「た、たまごがふたつも…お肉もこんなに…。」
まぁ、ごちそうといっても、単なるベーコンエッグなのだが。
昨日ミツキたちがチャチャから聞き出した、今まで食べた中で二番目のご馳走が「これ」だったのだ。
ちなみに一番目は昨日の晩に食べたクリームシチューだそうな。
「い、いたにゃす!?」
そういって開いたままの両手のひらをあわせるチャチャ。
「落ち着いて、こうですよ。」
チャチャの隣に座っているサオリさんがその手を取り、形にしてやっているのが微笑ましい。
「それじゃ、チーが待ちきれないみたいだから、「「「いただきます。」」」」
「にゃす!」
「サナー、お醤油どっちだっけ?」
「こっちです。」
「じゃ、こっちがソースッスね。」
今日の朝ご飯はベーコンエッグにご飯と味噌汁、青菜のおひたしに漬物が少々とシンプルな感じだ。
ちなみにチャチャは箸が使えないようなのでフォークを使っている。
昨日でがっつくのは懲りたのか、今日は一口一口味を噛みしめるようにして食べている。
あとやっぱり猫舌っぽい。
それはそうと、幸せそうな顔をしてフォークごとベーコンを咥えているのは可愛らしいというか微笑ましいというか、思わず目を引いてしまう。
「チー、ととさん、お肉食べ切れなさそうだから、少し食べて貰えないかい?」
「え?!いいんですかにゃ?!」
ピンと耳を立てたチャチャの皿にベーコンを少し分けてやると、目をキラキラと輝かせてそれを見つめている。
それを見て何故かクスクス笑っているサナとミツキ。
「パパがお父さんモードになってるッスね。」
「ねー。」
からかうような笑顔のミツキと、心底幸せそうな微笑みを浮かべているサナ。
「うふふ、そうね。」
そんな、サオリさんまで。
▽▽▽▽▽
「元々裕福な生活では無かったみたいッスよ。」
サナとチャチャ、そしてサオリさんというメンバーで食事の後片付けをしている間に、別室でミツキに話を聞く。
昨日の夜にお願いしてあったチャチャの今までの話だ。
何処でどんな生活をしていたのか、そしてこの後、チャチャはどうしたいかをそれとなく聞き取って貰っていたのだ。
ミツキの話によるとチャチャの故郷はトラージの街で、両親は漁港関係の仕事をしているそうな。
両親といってもチャチャの肉親は父親だけで、母親はその後妻にあたり、2人とも白人族だとのこと。
チャチャの実の母親は小さいころに亡くなり、その後、さほどしないうちに義理の母親ができ、義理の妹が2人、弟が1人いるらしい。
両親の稼ぎだけでは生活が成り立たないので、チャチャは9歳のころから宿屋で働き、その稼ぎの全てを家に入れていたのだそうだ。
「お姉ちゃんだから当然」とチャチャは言っているものの、家族からの扱いを聞くと、まるで奴隷のような扱いを受けている様子だが、本人はそれが普通のことだと思ってるらしい。
その働きっぷりは比較的小さい頃から仕事の手伝いをする白鬼族のサナから見ても異常だったそうな。
食べ物一つをとってもそう。
宿屋に付属の食堂でのオーダーミスがたまたま賄いに回って来た時の「ベーコンエッグ」が、今までチャチャが味見以外で食べた中で二番目のご馳走で、普段は黒パンとか茹でただけの芋、それに野菜の皮などを使った塩スープ、そういった質素な食事だったそうな。
それも家族では彼女だけが。
両親は家のために働いているのだから、ちゃんとしたものを食べなくてはならない。
弟妹は育ち盛りだから、たくさん食べなくてはならない。
だから、自分の分は節約しなくてはならない。
そう、躾けられた様子だったとのことだ。
父親にも母親にも良く叱られるが、それは自分が不出来で悪い子だからだとチャチャは思っているらしい。
「聞いているだけで胸が痛むな…。」
「それでも、ちーちゃんは故郷に、親の元に帰りたいそうッスよ。」
サナです。
あまり故郷ではべーこんを食べる機会がないので、べーこんえっぐって初めて作りましたけど、あんな感じで良かったのかな?
次回、第四一三話 「衣服」
あ、やっぱり本当はもっと薄くべーこんを切るものだったみたいです。
でも、ちーちゃんが喜んでたみたいだから良いですよね?




