第四一○話 「寝床」
「ふにゃぁ…ととさん。」
「ん?」
「チャチャは今日、どこで寝たらいいですにゃ?こんな綺麗なお部屋だと、チャチャいていい場所にゃいと思いますにゃ。」
言葉がいちいち重たく聞こえてしまうのは気にし過ぎだろうか?
「今日はミツキ…ねぇねと一緒に、ここのベッドで寝るといいよ。」
「ベッドでにゃ?!」
いやベッドで寝るのは驚くほどのことではないだろう。
「そうッスよーねぇねと一緒ッス。」
「お父さん、あたしも一緒でもいい?」
「ああ、もちろんいいよ。」
チャチャの頭から手を離し、代わりに跪いているチャチャの両脇にしゃがみこんでいるミツキとサナの頭を撫でる。
「あー、寝間着がいるか。」
早速、淫魔法【コスチュームプレイ】でコットン製の半袖シャツとショートパンツのパジャマセットを3人に着せてやる。
色はサナがパステルピンク、ミツキがオフホワイト、チャチャがライトオレンジだ。
「服にゃ!?」
たぶん、服が変わったにゃといいたかったのだろう。
サナが「大丈夫大丈夫」、ミツキが「パパの手品みたいなもんスよ。」と雑なフォローを入れている。
まぁ、そのうち慣れるだろう。
「じゃ、私とサオリさんはあっちのドア先の部屋で寝るよ。」
玄関行きのドアに追加で淫魔法【ラブホテル】をかけてもう一部屋用意する。
今回の部屋は元々移動用のショートカット用に出した部屋なので、部屋数が少ないのだ。
「それじゃ、2人とも、ちーちゃんをよろしくね。」
「はーい。おやすみなさい、お母さん、お父さん。」
「おやすみッスー。」
「にゃ?にゃ?おやすみにゃさい、ととさん、かかさん。」
なんかそのままパジャマパーティーになだれ込みそうな3人を置いてサオリさんと一緒に部屋を後にした。
▽▽▽▽▽
珍しく(?)別々にシャワーを浴び、バスローブを着てダブル、いやクイーンサイズはあるベッドで2人横になる。
なんだかんだでバタバタとしていたので、こう落ち着くと途端に睡魔が襲ってくるな。
「レン君、今日はお疲れ様でした。」
布団の上に置いてあった私の腕を自分の首の下に敷き直し、サオリさんがそういって身を寄せてくる。
「サオリさんもお疲れさまでした。色々あって疲れたでしょう。」
そのまま腕を回しサオリさんの肩ごと抱き寄せた。
「うふふ、疲れてないといったら嘘になってしまいますが、一段落してほっとしています。」
サオリさんがその指先で私のバスローブの襟をなぞるように動かしながらそう感想を漏らす。
「同感です。私も気が抜けたのか眠気が…」
湯上がりホカホカのサオリさんの体温もあって身体がリラックスしているのか、欠伸が出始めた。
うん、このまま寝てしまおう。
「それじゃ、おやすみなさい、サオリさん。」
そういってサオリさんの唇に軽くキスをして、身体を仰向けに向き直し、目をつむった途端、サオリさんから声がかかった。
「…レン君…」
「ん、サオリさ…ん!?」
一瞬、サオリさんからのキスの返礼かと思ったら、そのまま唇どころか舌まで奪われてしまった。
▽▽▽▽▽
「……っぷはっ。」
ややしばらくされるがままの状態から、ようやくサオリさんの唇というか舌が離れたが、サオリさんは興奮覚めやらずといった様子で、その瞳が熱を持ったように潤んでいた。
「あの、レン君…」
「は、はい。」
「今日の戦いが終わった後からずっと身体が熱いんですけど、わたしの身体に何かしませんでした?」
あ、そういやサオリさんには淫魔法【発情】かけたままだった。
ミツキッス。
パパから秘密任務を承ったッス。
いや秘密ってほどじゃないんスけどね。
ちーちゃんはサナちーにもう懐いているみたいなので、一緒なのは心強いッス。
次回、第四一一話 「言い訳」
え?大丈夫ッスよ。そう、真ん中で寝ていいッス。
ほら!ねぇね達でサンドイッチしちゃうッスよー?




