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第三九○話 「兎の加護」


 「なんかシュールな光景ッスね。」

 「そうね。」


 何がと言われれば、この全員バニーガール姿で晩御飯あらため小宴会の後片付けをしていることだ。


 ちなみにそれぞれのバニースーツの色だが、ミツキが白、サナがピンク、サオリさんがパープル、そして淫魔の姿の私が赤と各種取り揃えてある。


 結局、話の流れで自分とミツキがバニーガールの衣装に着替えた後、ノリと勢いでサナやサオリさんも同じ姿にして騒いでいるうちにミツキが兎人族に伝わる民謡のような歌を披露して盛り上がりが加速していくという、ちょっと普段とは違う珍しい騒がしい感じの飲み方をしてしまった。


 いや、実際まだみんな酔っ払っているので過去形ではないのだが、流石に時間も時間だし、結構みんな酔いも回っているので、ここいらでいつ横になってもいいようにテントの外の片付けだけはしておこうと宴会は小休止しているところだ。


 それにしても、バニーガール姿のサナとサオリさんがしゃがみながら川で皿を洗っている姿をランプが照らしているというのは、なかなかシュールな絵面だな。


 小宴会の残り物は纏めて別の容器に盛り付け直し、コップ類とともに前にも牧場で使ったグランピング用のテントに運び込んである。


 飲み物の方はワインくらいしか残っていないものの、赤白一本ずつあるので飲み直すくらいの量は十分ある。

 というか、実のところもう少し飲みたい気分なのだ。


 馬鹿騒ぎをしてテンションが上がっているというか、『大地の加護』でステータスが上がったせいでエネルギーが有り余っているというか、もうすでに結構酔っ払っているせいか、ちょっと興奮状態なのかもしれない。


 「ただいまー。」

 「戻りました。流石にこの格好でこの時間だと少し肌寒いですね。」


 そんな事を考えているうちにサナとサオリさんが戻ってきた。

 体型的に背徳的な感じのするサナバニーと普通にムチムチでエロいサオリバニーのコンビは視覚的インパクトが強い。


 そんな事を言いだしたら後ろから抱きついておっぱい当てているバニーガールのお手本のようなスタイルのミツキバニーだって相当なものだが。


 「ストーブ焚きます?」

 「いえ、そこまでしなくても大丈夫ですよ。」


 そういってサオリさんが正面から腰に手を回すようにして抱きついてくる。

 「ミツキちゃんの真似―」と小さな声が聞こえたのでサオリさんも結構酔っ払っているなこれ。


 正面から抱き着かれると淫魔の私とサオリさんは、ほとんど身長が変わらないのでお互いの胸同士を押し付ける格好になってしまい、腰に手を回している関係でお互いちょっと仰け反っているような体制なので普段より密着感は低い。


 北半球が細胞分裂中の卵みたいな状態になっている、おっぱい部分を除いて。だが。


 凄いなここの空間、オークションにかけたら凄い値段つくんじゃないかな?

 いやたまにミツキとサオリさんでこの空間作っている時はあるのだが。


 「んー、やっぱり勝手が違いますね。」


 それでもなお密着度を高くしようとサオリさんが腰を引き寄せようとしている関係で今度は胸に引き続きお互いの下腹部が密着していっているのだが、それでもサオリさんは不満気だ。


 そんなバニーサンドというかバニーバーガーの感触を楽しんでいると、不意にサナと目が合う。


 「サナは寒くないの?」

 「ちょっと肌寒いけど、くっつくなら、お父さんとがいい。」


 「パパのバニー姿ッスか。なかなか厳しいッスね。」

 「意外と可愛いかもしれないわよ?」


 まてまてまて。

 男の身体に戻るなら流石にバニースーツからは着替えるわ。


 名残惜しい感じはするが、バニーバーガーから抜け出し、一介のハンバーグに戻った後、種族特性【トランスセクシュアル】で男の姿に戻る。

 服はいつもの鬼族の種族衣装である作務衣風のやつでいいだろう。


 「おまた、せっ?!」


 男の身体に戻った途端、ドクンと心臓が跳ねる。

 血液が音を立てるかの勢いで血管を巡り、逆上のぼせるかのようにカーッと頭にも血が登った。


 何かおかしい。と、自己鑑定スキルでもある淫スキル【ナルシスト】で確かめようと思った瞬間、胸の中にバニーガール姿のサナが飛び込んできた。


 「えへへー、やっとお父さんだー。」


 そういって胸元にスリスリと頬や頭を擦り付けてくるサナ。

 お酒を飲んで汗をかいているのか、振られて揺れる髪の毛の間から独特のサナの匂いがする。


 ヤバい、これはヤバい。

 よくわからないがヤバい。


 「あれ?お父さん、おっきくなってるよ?」


 お腹に当たっているものを確かめるように背中に回した手を密着した身体の間に滑り込ませるサナ。


 「あれれ?どうしたッスか?パパ?」


 そこに追い打ちのようにミツキまで先程と同じく後ろから抱きついてきた。



 サオリでーす。

 酔っぱらってまーす。


 たまにはこういう騒ぎながらのお酒も酔いですねー。


 肌寂しくてレンさんにくっついてみましたけど、やっぱりレン君の方が抱き着きがいがありますねー。


 次回、第三九一話 「追加効果」


 まだ少し男の人は怖いですけど、レン君は別腹なのです。

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