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第三七四話 「明日の予定」


 「お風呂♪お風呂♪」

 

 トルイリの街で買った、わくわくお風呂セットを抱えて上機嫌で風呂場に移動するサオリさん。


 この貸別荘、設備はいいけどアメニティのたぐいが無いので、そのあたりを淫魔法【淫具召喚】で出さなきゃならないのが、ちょっと面倒だ。


 ラブホテル系や旅館系の部屋だと最初からアメニティはついているのだが、キッチンがない。


 前に使ったバーカウンター付きのラブホテルが折衷案ではあるが、キッチン付きのホテル(アパートホテルだっけな?)が、そのうち選択肢に出てこないか、今度ゆっくり淫魔法【ラブホテル】を試してみよう。


 と、いっても、基本、4人で寝られる部屋じゃないと駄目なので、どうしても選択肢が限られてはくるのだが。


 「お父さーん、ちょっとー。」


 そんな事を考えながらサオリさんの後をついて行くと、風呂場への通り道でもある台所でサナに呼び止められた。


 「ん?サナも一緒にお風呂入る?」

 「あたしは後でミツキちゃんと入るから大丈夫。

 あのね、明日のお昼、お弁当いる?

 ご飯どれくらい炊く準備しようか迷ってるの。」


 そういって米袋を覗き込むサナ。

 そういや、明日の予定、全然考えてなかったな。


 とりあえず、前提条件として誘拐団の動向を確認しなきゃならない。

 最善の手としては、ショートカットでトルイリの街に戻り、直接監視することだが…横着ができないか試しに淫魔法【盗撮】と【盗聴】を使ってみよう。


 これで監視が出来るなら、別に移動する必要はない。

 …駄目だな、圏外みたいだ。


 純粋な距離的なものか、ラブホテルの部屋という異空間?にいるせいかわからないが、淫魔法【ラブホテル】のショートカット距離の上限的に考えて、おそらく後者だろう。


 同じマップ内じゃなきゃ駄目というパターンもありえるから、念の為、色々な場所で明日試してみたほうがいいな。

 迷宮の中からでも監視できると楽なんだけどな。


 そうなると…


 「明日は場合によっては、色々なところへ移動するかもしれないから、念の為、作ってもらってもいいかな?」


 「うん。わかった。」


 そういって嬉しそうに頷くサナ。

 なにがそんなに嬉しいのかは分からないが可愛かったので、両角経由唇行きの軽いキスを走らせる。


 「えへへー。」

 「それじゃ、お風呂行ってくる。」

 「いってらっしゃーい。」


 笑顔で小さく手を振るサナに送られて、遅ればせながら風呂場へと向かう。



▽▽▽▽▽



 「きゃっ!」


 脱衣所に入った時には、すでにサオリさんは肌襦袢一枚の格好で、今まさにその紐を解こうとしている瞬間だった。


 「驚かせちゃいましたか?」

 「てっきり一緒にお風呂に入るのは止めたのかと思ってたので…。」


 そういってこちらに向き直るサオリさん。

 こちらも、なんとなく嬉しそうな顔に見えるのは気のせいだろうか?


 「お邪魔じゃなければ、ご一緒したいなー。」

 「うふふ。」


 そういって抱きしめようとしたが、サオリさんの背中に手を回す前に胸に両手を当てられ、止められてしまう。


 あれ?駄目だった?

 と、一瞬思ったが、その両手がスルリと身体をなぞるように腰まで降りてくる。


 「それじゃあ、脱がしちゃいますね?」


 いたずらっ子のようなサオリさんの笑顔と、背丈の関係から角度的に、そう、角度的に目に入ってしまう肌襦袢の間から覗く双丘の谷間に目を奪われてしまう。


 サオリさんとの距離が近いせいで、サオリさんが腕を動かす度に、襟の間からその肌の香りが鼻に吹き付けられるように上がってくる。


 「もう、レン君ったら…。」

 「すいません、サオリさんから凄くいい香りがして…。」


 作務衣の上を脱がされ、下の腰紐にサオリさんの手が伸びるころには、もう完全に反応してしまっていた。


 「しょうがない子ですねー♪」


 人差し指でつつきながら、そっちに話しかけるのは恥ずかしいのでやめて欲しい。


 サナです。

 お弁当がいるってことは、明日もお父さんと一緒だってことだし、お店のご飯より、あたしのお弁当を選んでくれたってことですよね?


 お父さんに食べてもらえるの嬉しいです。


 次回、第三七五話 「マーキング」


 トルイリの街で、ちょっと離れていただけなのに、あたし甘えん坊になっちゃったかなぁ?


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