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第三五六話 「奴隷三度」


 外はまだ日が傾きかけてきているくらいの時間だが、奴隷商の店というか、それを含む歓楽街は当たり前のようにプレイエリア扱いなので、淫スキル【淫魔】で淫魔化して同じく淫スキル【夜這い】で隠形スキルを使いつつ潜入捜査。


 同じく隠密行動ができるミツキにも暗殺者っぽい新装備に変わってもらい同行してもらう。


 と、いう案は、「奴隷が逃げ出さないように警備が厳重だから無理とはいわないけど難易度高いので危ないッス。」と、あっさりミツキに却下された。


 こういう理論的ロジカルで、私相手でもちゃんと駄目出しをしてくれるのがミツキの良いところだ。


 サナだと妄信的に賛成してきそうだし、サオリさんだと正面から堂々と行きそうなイメージがあるので、こう作戦に対して『確認』じゃなくて『相談』が出来るのというのは、案外貴重だったりする。


 代わりの案としては、東門の見張りの時のように淫魔法【盗撮】と【盗聴】での情報収集だ。


 奴隷商も一軒ではたぶん済まないだろうというミツキのアドバイスも加味してある。


 投げナイフにでも私の血をつけて馬車に打ち込む。と、いう手も考えたが、馬車から降りられたら終わりなので、結局、誘拐団たちに面の割れていない私が、こっそりそいつらの服にでも魔法の触媒となる血液をつける。という作戦に落ち着いた。


 誘拐団は全部で8名だが、現在奴隷商の元に向かっているのはそのうち4名。

 2名が馬車の御者台に乗り、残り2名は馬車に乗っている4名のうち、3名の奴隷の宣伝をしながら歩いている。


 曰く


 『褐色黒髪の見目麗しい人族の女探索者で得意な武器は長槍。長い黒髪と引き締まった身体は好事家にも是非。』


 『攻撃系魔術に適正の高い狐人族の女。成人したてで将来性あり。』


 『防御系魔術に適正の高い狸人族の女。色は黒いが帰依の儀式も終わっている掘り出し物。』


 「売れ残りそうッスね。」


 それを遠巻きから眺めていたミツキがボソッと呟いたが、確かに、この街の需要と合ってない。


 この街で需要があるのは、探索者なら小回りが聞く武器か飛び道具が得意なタイプの即戦力、娼婦なら人族の往来が多いので色白ボンキュッボンの人族だ。


 最初の女探索者の武器は、この街の迷宮と相性が悪く、娼婦としては色が黒くて、ちょっと顔つきもキツイ。


 二人目の狐人族の娘は、探索者としてはこれから育成となると一手遅れる。

 年が若いのはメリットだとは思うが、同じ年齢だと亜人族は人族より見た目が若い。というか、成人したてだとサナのように幼いので、娼婦としての需要もニッチだろう。


 三人目の狸人族の女は、一人目ほどではないが色黒のポチャっとした体型の陰鬱そうな雰囲気なので、人族の趣味として娼婦の線は同じくニッチだと思う。


 あと探索者としては、宣伝のとおり防御系魔術を使える職業に帰依していれば、そう宣伝した方がウケが良いはずだが、それをしないのは別の職業に帰依しているからだろう。

 まぁ、女性の趣味はそれぞれなので、娼婦としてはそれぞれ売れる可能性は否定できないのだが、奴隷については買い手市場らしいこのトルイリの街では競争力的には低いだろう。


 それにしても


 「狐人族と狸人族って、やっぱりいるんだ。エグザルのおやしろに書いてなかったから、いないのかと思ってた。」

 「へ?」


 なんか、ミツキに変な顔で見られた。

 どうやらまたこの世界で常識的ではない事を言った様子だ。


 「あー、社の受付の看板ッスね。そりゃー書いてないッスよ。

 あれは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけッス。

 だから社自体の持ち主の種族は買いてないッスよ。」


 「持ち主?」

 「東本社の元締めは狐人族、西本社の元締めは狸人族ッス。

 亜人族からすれば常識なので、わざわざ書いてないんスよ。」


 ああ、そういう事か。

 逆にいうと、そういう神事を司るほど魔術、いや魔法適正が高い種族なんだろうな。

 あれ?でも


 「それほどの種族なら探索者として需要があるんじゃないか?」


 「昔はともかく最近だと宗教面で対立することが多いッスから、あまり人族と関わりたがらない種族なんスよ。


 だから人里にいる人数も少ないッスし、人族も知識としては魔術に優れた種族だとは知ってるけど、経験としては、ほぼ知らないと思うッスから、探索者不足のこの街だと選択肢としては微妙ッスね。」


 ミツキの話だと、両種族とも各種族に頼まれて社を運営しに来ている数人くらいしか人族の街には降りてこないそうだ。


 それでも狐人族は狸人族に比べれば人里に降りてくる人数は比較的多いらしい。

 歴史的にいうと、人との関わりが深いのが東本社系の亜人族、なるべく人と離れたいのが西本社系の亜人族とのことだ。


 相変わらず種族によって色々あるんだな。


 サオリです。

 レン君が一緒に居ないというのもそうですが、サナと二人きりというのも新鮮ですね。

 たまには二人でお風呂というのも良いかもしれません。

 

 次回、第三五七話 「非合法」


 昨晩も入りましたが、このお部屋のお風呂、泉質が良いのですよね。

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