第三四○話 「昇華」
埋もれている。
左右から白黒2つの、いや4つのおっぱいに顔というか頭を挟まれ、埋もれている。
いや、不純な状態ではないのだ。
酔って感情の緩んだサオリさんとミツキが、本当に心配したんだからと両側から抱きついてきたのが始まりなのだから決して不純な状態ではないのだ。
こういう日頃の挟まれる経験が小隊長を倒す技へと昇華したのだな。
と、冷静に分析をしているものの、一度おあずけを食らったところに、かなり強めのお酒が入って良い感じに酔っ払って精神のタガが緩んでいるサオリさんとミツキが抱きついてきているので心中穏やかではない。
お酒を飲んで熱くなったのか、うっすら汗をかいた肌から香る2種類の女性特有の匂いにクラクラしそうだ。
ちなみにサナは、今日は一日、気を張って疲れていたのだろう。
だいぶ早めに「あたしは明日の朝、お父さんで可愛がってね。」と耳打ちした後、寝室へと消えていっている。
たぶんこっちも拒否権は無い。
そうこうするうちに頭を挟んでいた左右のおっぱいが、それぞれに柔らかさや張りを主張しながらも肩口から腕を挟むように降りてきて、その代わりに2人の唇が頬に触れる。
ヤバい。2人ともめっちゃテンション上がってる。
2人の手が浴衣の裾から忍び込み、太ももからその中心へとゆっくりと這ってくるのに反応するかのように背中から後頭部まで電気にも似た震えが走り、身体の中心が熱くなってくる。
熱く…熱く?
…熱いというより、辛い?…脈を打ったようにドクドクと、ヒリヒリとする。
「痛い!」
「「え?」」
驚いた様子で2人の手が中心から離れる。
「ミツキ姉!たぶん、手に辛いのまだ付いてる。」
「ええっ!?」
「と、とりあえずこれで。」
晩御飯の時に淫魔法【淫具召喚】出しておいたウエットティッシュでサオリさんが拭いてくれているが、スースーするものの痛みというか辛みは収まらない。
「ミツキ姉も手を出して!」
「え?こ、こうッスか?」
淫魔法【ウェット&メッシー】でオリーブオイルをどっかの料理番組よろしくミツキの手と自分の中心に大量にかける。
「辛みの成分は水じゃなくて油に溶けるから、こっちの方が綺麗に落ちるんだ。」
辛みの成分というか、カプサイシンが脂溶性なのだ。
ミツキが食べていた辛いタレがたっぷりかかった串焼きの成分が一部、その指の間かどこかに残っていたのが原因だろう。
出したオリーブオイルで畳はダバダバになってしまったが、これはあとでキャンセルすれば消えるので心配ない。
どっちかというと、サオリさんにオリーブオイルをふんだんに使って洗われている。というか、もはやもうマッサージされていて、痛みで小さくなったはずなのに、もう大きさを取り戻すどころか主張が激しくなっている部分の行方の方が心配だろう。
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>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>350ポイントの経験値を得た
>レベル31になった
>ミツキは淫魔の契りにより主を倒した
>260ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>60ポイントの経験値を得た
>ミツキは淫魔の契りにより主を倒した
>260ポイントの経験値を得た
>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>260ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>60ポイントの経験値を得た
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そんな牛乳で口をゆすいでまで、ご奉仕しようとしなくても…と、思うのだが、ずっと謝ってられるよりはマシか。
なんだかんだで、ちょうど日も跨いだところだし、元の男の身体に戻り、重なり合って微睡んでいるミツキとサオリさんを、それぞれお姫様抱っこで寝室へと運ぶ。
そういや結局、ネローネの御姫様とは正式に顔合わせないままで終わってしまったな。
せっかく苦労してこの街まで護衛したんだから、このまま無事目的地にたどり着いて欲しい。
そんな事を考えながら2人を一つの和風ベッドに寝かしつけた後、サナの寝ているベットに潜り込み、幸せそうな寝顔に軽くキスをした後、追いかけるように自分も眠りについた。
サオリです。
辛いものを食べた時は乳を飲むといいとは聞いたことはありましたが、油がいいんですね。
里ではあまり辛い料理がないので、初めて知りました。
次回、第三四一話 「サナと朝風呂」
…やっぱり、ちっちゃいレン君、可愛いです。




