第三三九話 「ちっちゃいレン君の刑」
とりあえず誘拐団への対応はまた後でみんなに相談するとして、今はひと仕事終えた後だから旨い酒が飲みたい。
ここの夜市は流石流通の街にあるだけあって、酒の種類も多いので目移りしてしまう。
これはどんなお酒ですか?え?あ、なるほど。じゃ、こっちは?へー、あ、はい、そうなんですか。
元の世界でいうウイスキーやブランデーくらいはあると思ったが、ウォッカやテキーラっぽいお酒まであるのか。
これはちょっと楽しみだな。
お酒に合わせて、肴も、いや、ご飯もちょっと味が濃いものを買っていこう。
え?辛い?どれくらい?へぇ、じゃ一つください。こっちのは?これも?うん、じゃ、こっちも一つ…
▽▽▽▽▽
「結構いい量ッスね。」
「どうしてもみんなの分も。って買っちゃうから。」
「レン君のは、なんとなくミツキちゃんと似た感じね。」
「私とミツキ…いや、ミツキ姉は味の趣味が似てるから。」
淫魔法【ラブホテル】でギルドの簡易宿泊所から繋げた特別室の居間のテーブルには所狭しと料理や飲み物が並んでいる。
私だけじゃなく、みんなも一仕事終えてお祝いをしたい気分だったらしい。
漂う香りでお腹がなりそうだ。
「はーいレン君、それでは晩御飯の前に、みんなでお風呂ですよー。」
あ、それやっぱり避けられないんだ。
テキパキと上半身の作務衣を脱がしていくサオリさんと、下半身担当のミツキ。
なんか、前にもサナとミツキに同じような脱がされ方をした気が…。
そんなサナは先にお風呂場の洗い場で身体を泡だらけにして準備万端で待っている。
畜生!スポンジ使う気まるで無いな。
手招きしているサナの方に向かうと後ろで衣擦れの音が2つ聞こえる。
今、後ろ向いたら白と黒のおっぱいがいっぱいで大変な光景なんだろうなこれ。
▽▽▽▽▽
セーフ!
買ってきたご飯が冷めきってしまっては残念だという理由で洗いっこだけで済んでセーフ!
小さい子どもの身体なせいか、どことは言わないが色々と大きく見えて落ち着かなかったり、反応してしまったのをからかわれたりしながらも、無事露天風呂から帰還した。
今は全員で浴衣を来て、買ってきた料理を並べながら晩御飯の準備をしているところだ。
湯上がりで艶っぽい、うなじや、はだけ気味の胸元、湯上がりでほのかに火照った身体から香る女性の匂いとかは、全然気にならない。
気にならないんだってば。
うーん、お風呂場でお預けだったのもあるが、子どもの身体だと、若干感情的になってしまうような気がする。
心身のバランスが悪くて、なんか悶々とするというか…。
そんな事を考えているうちに、テキパキと晩御飯の準備がされていった。
▽▽▽▽▽
あんまりだ。
「子どもはお酒禁止です。」
「残念ッスねー、レンくん?」
「レンちゃんは牛乳にしましょうね。」
そういってサナがコップについでくれる。
あんまりだ。
蛇の生殺しだ。
目の前には、とっておきのお酒を飲むために買ってきた辛口の料理に加え、似たような味の趣味であるミツキが買ってきた、これまた辛そうな肉料理が、「俺を食べて酒を飲め!」と語りかけてくる。
「これ美味しいお酒ッスねー。こっちのお肉に合うッスー。」
そうだろうね。うん、そうだろうね、そう思って買ってきたやつだからね。
「こっちのお酒も飲みやすいですね。」
ああっ、サオリさん、そのお酒、実質ウォッカだから飲みやすさのわりに凶悪よ?
「こっちはキツイけど、いい香りがします。」
試しに買った小さめのブランデーはサナが味見をしている。
「料理の香り付けとかにも良いらしいよ。かけた後に火を付けて酒精を飛ばすと香りだけが残るんだ。」
「へー、なるほどー。」
強がってそんな話題を振ったところ、サナが感心したように頷いている。
うー、お酒飲みたい…。
ミツキッス。
ちっちゃいだけじゃ、お仕置きにはならないッスからねー。
あ、でもこのお酒、本当に美味しいッス。
次回、第三四○話 「昇華」
でもやっぱり強いッスねこのお酒。
カーッてなるッス。




