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第三二五話 「箱馬車」


 と、いってもミドルネームが違うから王子様とは母親が違うとかなにかなのかな?

 王子様はもうすでに白人のおっさん顔だったので、まだ幼さの残る御姫様とは似ているかどうか比べられない。


 それにしても女の子なのに第20王子なんだな。

 単純に王位継承権の順番なのかも知れない。


 逆に考えると、まだ王位継承権が残る姫様を修道女にせざるを得ない案件が裏にあるのかも知れないのか。


 これは思ったよりも気を引き締めて行かなくては。



▽▽▽▽▽



 「おいお前、お嬢様を外で休ませるから、あちらの川に馬を連れて水を飲ませておけ。

 良いというまでこちらを見るなよ?」

 「はいはい。」

 「あ、お父さん、わたしも手伝います。」

 「サナ殿は休んでおいて良いのに…。」


 いつのまにか、サナ、ジェリーナから気に入られてない?

 サナは偏見もなく素直でなんでも凄い凄いと聞いてくれるので、話しやすく年上キラーなところがあるのかも知れない。

 娼館のお姉さん方ともいつの間にか仲良くなっていたしなぁ。


 サナと馬の世話をしながら話をしてみると、実際、ジェリーナに色んな話を聞かせて貰ったらしい。

 例えばジェリーナの職業である『神官騎士』は、騎士の神官よりの上位職業で、うちでいうとサオリさんの僧兵を更に魔法戦士寄りにした職業だそうな。


 「あとたぶん、あたしの事、人族の子どもだと思っているんだと思います。」

 「あー。」


 サナの角は小さいので、今も使っている鉢金のような頭装備をかぶると人間と見分けがつかないのだ。


 ちなみに同じ装備でもサオリさんは角が、ミツキはうさ耳が2枚の金属板の間から出る仕様になっている。

 金属板を2枚使っている分、カバー面積は広いが、縦の攻撃はともかく、横薙ぎにされるとそのまま刈られそうで見た目ヒヤヒヤする。


 とはいえ、サオリさんの角は大きくて隠しようがないし、ミツキのうさ耳は長時間伏せておくと根本が痛くなるらしいので、こればかりはしょうがない。


 まぁ、結果的にサナを御者台班にしたのは正解だったみたいだな。

 ジェリーナが遠い位置にいるのを良い事に、再度、淫魔法【夜遊び情報誌】を特性【ビジュアライズ】で表示させながら町までの状況を確認する。


 先を走っていた馬で移動しているらしき人はもう遠く、もうしばらくでサルトの町に到着しそうな勢いだ。


 2組の荷馬車のうち1台は、このペースだとそのうち追いつきそうだが、山賊らしき集団もまだ動いていないので、今の状態なら少なくてもサルトの町までは安全だろう。



▽▽▽▽▽



 「サルトの町は、そんなに大きな町じゃなさそうだな。」

 「そりゃそうッスよ。っていうか、エグザルの街が四方街並に大きすぎるんス。」


 四方街というのは東西南北にあるトルイリ、ウルキ、ホウマ、ネネの4つの街のことらしい。

 この4つの街は交通の要所として栄え、特にホウマはサロウという更に大きな街が近い関係で一番大きいのだそうな。


 ちなみにエグザルは迷宮が2つある関係と港町が近いせいで、その四方街並の大きな街になったのだそうな。


 走る馬車の荷台でミツキとマップを広げながらそんな話をしている。

 馬車の中でミツキが話した鬼族の事に御姫様が興味を持ったらしく、今はサオリさんがミツキと交代で馬車の中に乗っていた。


 「ママさんには、おでこにチューしなくて良かったんスか?」

 「すでにしてあるから大丈夫だよ。」

 「む。また見てないところでママさんとイチャイチャしてたッスね?」


 ミツキに怒られるかと思ったが、「良い事ッスよー。」と、自分も可愛がれといわんばかりに、うさ耳を擦り付けてくる。


 ミツキ曰く、サオリさんはどうしても娘達に遠慮するところがあるから、その辺りは私からケアして欲しいとのことだ。


 そういうミツキもサナの前では遠慮するところがあるので、今のうちにワシャワシャと可愛がっておく。


 「さっき追い越した荷馬車は大丈夫ッスかね?」

 「山賊とかは今は近くに居ないし、乗っていたのも普通の商人と護衛のようだから大丈夫だよ。」


 先を走っていた2台の荷馬車が山賊またはなんらかの敵対勢力で、1台を追い抜いた今、前後から挟み撃ちにされた上で、横から追加襲撃。というのが、最悪のパターンとして考えられるので、視界に入った段階で淫スキル【性病検査】で人物鑑定をしておいたし、周辺の状況は淫魔法【夜遊び情報誌】で再度確認してある。


 このペースで走っていれば、もう1回休憩を入れたとしても、サルトの町に着くまでには、もう1台も追い抜けるか、同時に着くくらいだろう。


 「そういや、ミツキ、ルーオイの町に行くときは馬車が辛そうだったけど、今回は大丈夫だったかい?」

 「大丈夫ッスよー。箱馬車の中、めっちゃ豪華で馬車に乗ってる感じしなかったッスし、姫様とずっと喋ってたッスから。」


 たぶんサナやミツキは幌馬車にぎっしり人が乗ってドナドナされる感が怖いのだろうと思ってはいたが、どうやらそれは正解だったらしい。

 

 そういうことなら、今後色々と移動の手段もありそうだな。


 サナです。

 ジェリーナさんに、お父さんの妹だと思われてました。

 娘です。といったら驚いた様子で養子なのかと聞かれたので頷くと、納得してくれました。


 次回、第三二六話 「サルトの町」


 あと、ミツキちゃんとも姉妹だって話をしたら、お父さんの方を見て、なにか怪訝そうな顔をしてたけど、どうしたんだろう?

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