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第三十一話 「運搬者」

 「それじゃ、早速行くか。」

 レーダーで確認しつつ宿舎の外に出ようとするとサナに止められた。

 「お父さん、念のため、あたしもスキル使ってもいいですか?」

 お、そういや【感覚強化】のスキル持っていたっけ。


 「どんな効果なの?」

 「五感が敏感になって周りの様子がよく分かるようになります。」

 「よし、任せた。周りに誰かいないか調べて。」

 「はい。『感覚強化』」


 視覚化しているサナのSPゲージがクッと減る。

 そういや私の精力はスキル【絶倫】のおかげで時間でも回復するが、サナのSPゲージは時間で回復しない感じがするけどどうしてだろ?


 「…周りには人は居ない様子です。」

 耳をすますように辺りをうかがった後、サナはさらに出口から顔を出し辺りを見渡すとそう言って戻ってきた。

 「ありがとう。よし、じゃぁ今のうちに移動しよう。」


 サナの頭を軽く撫でるとMAPとレーダーの機能を頼りに移動する。

 案の定、目的地を指定すれば最短距離をナビしてくれたので便利だ。


 麓の街へショートカットできる山道はしばらく人の手が入って無かったせいか思ったよりも細くなっていたが、二人で縦に歩く分には問題ない。

 管理はしていないが、まったく誰も歩かない道という訳でもない様子だ。

 山菜取りにでも入る人がいるのだろうか?


 サナの手を引きながら山道を30分も歩いただろうか、森を抜けるとやがて目の前にヨーロッパ的というか、いかにもファンタジーというか白い土壁とオレンジの屋根が印象的な街並みが見えてきた。


 太陽の位置から考えると東側は山に面しており、私たちはその東側から降りて来た形だ。

 壁が大きく街を囲んでおり、西側の壁側に大きな川も流れている。

 道は街から南北と西に延びており、広がる牧草地ではのんきに牛に似た生き物が草を食んでおり、風車も回ってる


 ああ、異世界に来てるんだな。

 という実感がわいてしまう。


 そこからしばらくまた坂道を降りていくと街の北側の壁に城門のようなものがあるのが見え、そこに通じる道に出ることができた。

 おそらくほかの街の入口にも同じものがあるのだろう。

 ラブホテルを出た時、ホテルの時計は7時だったので、その時間がこの世界ともリンクしているのなら今は8時前後くらいのはずだ。

 ちらほらと街に向かっている人たちや行商人らしい馬車も見える。


 城門では何か手続きをしているのか人が順番に並んでいるので私たちもその列に並ぶ。

 順番的にはざっくり20番目くらいだ。


 城門前ではいかにも門番、といったかんじの二人の警備兵らしき人が槍を持って立っている。

 ムキムキマッチョのナイスガイだ。

 というか、周りに並んでる人もアメリカナイズされているというか、みんな白人サイズでデカく彫りが深いので、正直私たちは浮いている感じがする。


 そんなことを考えているうちに順番が来た。

 「なにか身分を証明するようなものはあるか?ギルドタグとか」と聞かれたので正直に無いと答えると警備兵はめんどくさそうに後ろの詰め所からまるでノートパソコンのような二つ折りにしてある板を持ってきた。

 

 「一応規則なんでな、ほら両手を置け」

 言葉に従ってその板のノートパソコンでいうキーボードの位置に両手を乗せるとディスプレイの位置に


 名 前:レン・キュノミス

 年 齢:20歳

 性 別:男

 種 族:人族/

 ランク:2

 賞 罰:なし

 

 と、表示された。

 どうやらプロフィールの一部が表示される仕組みらしい。


 「ほう、その歳でランク2とは相当鍛えてるな。」

 警備兵が関心したようにつぶやく。

 そうなの?


 「と、いうことはこの街には迷宮目当てか?」

 「そんなところです。」

 と、曖昧に答えておく。


 「それにしては随分軽装だが、どうした野盗にでも会ったか?」

 「あ、あの!お父さんは運搬者ポーターなので…」

 確かに不自然でヤバイと思ったところにサナがフォローを入れてくれた。


 「おー、運搬者ポーターか。それならランクも格好も納得だな。ランク2なら引く手あまただろう。先に探索者ギルドと公社に顔だしておくといいぞ。」

 警備兵はニカッと笑うとそうアドバイスしてくれた。

 意外と良い人なのかもしれない。


 運搬者ポーターは空間魔法の使い手の事だっけな?

 昨日サナがそんなような事を説明してくれてたはず。


 ちなみに公社というのは迷宮管理公社の略で国が管理・運営する迷宮の入り口に事務所があり、迷宮の様々な情報が手に入るそうな。


 その後、サナも同じ様に板(「真実の双子板」というアイテムらしい)に手を置き、身分確認をされたが「ずいぶん若い父親だと思ったが義理の父親だったのか。」と言われた程度で問題なく街に入ることができた。


 警備兵から北門から入ってしばらく真っ直ぐ進み交差点を東側に進むと見える大きな白壁の建物が公社だとは教えて貰ったが、この街、基本的に白い土壁の建物ばかりなのでよくわからん。


 これが元の世界ならとりあえずガイドブックや地図、パンフレットの類を探しちゃうところだな。


ピコン!

>淫魔法【夜遊び情報誌】を得た


 いや、今、男の身体でプレイエリア外だから使えないんだってば。

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