第三一八話 「昼寝」
客室が基本暗いせいか、結構な人数が次から次へと甲板に上がってきており、ごった返している中、邪魔くさそうに船員が作業をしているのがちょっと気になる。
「混んできたから、一回戻ろうか。」
「そうッスね。正直ちょとだけ寝直したいッスー。」
ミツキが両うさ耳を両手で撫でながら、ふにゃふにゃとそんな事をいっている。
うさ耳に潮風がベタついたりするのだろうか?
港町に来てからチョイチョイとそんな仕草をしている気がする。
私も昨日、寝るのが遅かった上に、今日は朝早くて、今はお腹もこなれてきてるし、眠気が襲ってきてるので、ミツキと一緒に船の客室からラブホテルの部屋に戻ることにした。
サナとサオリさんはもう少し海を眺めた後、ラブホテルの部屋経由でルーオイの港町をもう少し探索するとの事だった。
適当な時間に起こして貰うように2人に頼んで、客室に降り、淫魔法【ラブホテル】を使って、ベッドが2つあるタイプの部屋を選び、片方に横になると、ミツキが南米のルチャレスラーのようなダイブで飛び込んで来た。
「もう片方のベッドで寝たほうが広いよ?」
「駄目ッスー、今日もパパの気分なんスー。」
そういってスリスリと擦り寄ってくる。
「しょうがないな。」
甘えモードのミツキに逆らっても無駄なので、そのまま抱き寄せて布団をかけ直した。
▽▽▽▽▽
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>70ポイントの経験値を得た
>ミツキは淫魔の契りにより主を倒した
>190ポイントの経験値を得た
>ミツキは淫魔の契りにより主を倒した
>190ポイントの経験値を得た
▽▽▽▽▽
寝るんじゃなかったんかい!
と、思ったが、ちょっと疲れた方が寝つきがいいと誘われたのでしょうがない。
実際、ミツキは満足したような顔でスヤスヤと眠りについている。
まあ、今更あまり節制して昨日みたいに爆発しても大変なので、これはこれで良しとしよう。
そう思いながらミツキの頭をうさ耳ごとひと撫でして自分も眠りについた。
▽▽▽▽▽
ん、んー。
結構寝たような気がする。
ベッドから身体を起こし、大きく伸びをする。
「おはようございます、お父さん。」
「ふぁ、おはようサナ。」
それが合図だったかのようにサナがマグカップを持ってトテテテと近寄ってくる。
「はい、どうぞ。」
「ん、ありがとう…え?甘酒?」
「うん、冷やし甘酒。お酒屋さんで酒粕をわけてもらえたので作って見ました。」
サナからマグカップを受け取ると、中から芳醇な甘酒の香りがする。
午前中は昨日サオリさんが行った酒蔵方面を探索というか散策して来たらしい。
もともとの狙いだった『にがり』はもちろん、その他にも麹やこうして酒粕も手に入れることが出来たと楽しそうに横に座って話している。
今は肩開きデザインの白いTシャツの上にエプロンという姿なので、昨日の水着エプロンのように扇情的ではないが、それでも背伸びした幼妻感が醸し出ている。
料理担当なせいもあるのだが、最近ミツキもサオリさんも素直に私に甘えてきてくれるようになったので、相対的にサナの行動が落ち着いて見えるのかもしれない。
それでもこうして横に座って足をパタパタさせているのを見ると、やっぱり年相応の女の子だ。
作ってくれた甘酒が美味しい感想をいうと、嬉しそうに笑っている。
「あれ?そういえばミツキは?」
「先に起きて、お母さんと一緒にお昼ごはんの買い物にいってます。」
珍しくサナが留守番ということは、魚でも仕入れに行ってるのかな?
「だから久しぶりに、お父さんと二人きりですよー。」
そういって下から覗き込むように意味ありげな視線を送ってくるサナ。
「そっか、じゃ、おいでサナ。」
「うん!」
▽▽▽▽▽
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>60ポイントの経験値を得た
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>260ポイントの経験値を得た
>レベル31になった
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>190ポイントの経験値を得た
ミツキッス!
やっぱりパパと2人っきりの方が落ち着くというか気が楽ッスね。
甘えやすいっていうか…。
次回、第三一九話 「昼食」
次はサナちーの番ッスね。




