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第三十話 「盗撮」

 お風呂上りに牛乳を二人で飲み、朝食代わりにバナナを食べながら今後の方針を相談する。

 ちなみに両方とも淫魔法【ウエット&メッシー】で召喚したものだ。

 サナは初めて食べるバナナの甘さに感動している。

 甘味が少ない世界なんだろうか?


 まず最初に現在いる廃坑跡から麓の街まで貴族たちの仲間に見つからないように降りる。

 次に街でデミオークからのドロップ品を売却して路銀を手に入れる。

 サナの故郷への道のりを調べる。

 路銀が足りないようなら何か金策をする。

 タイミングを見てサナを奴隷から開放する。


 「とりあえずこんなとこかしら?」

 「そうですね。」

 淫魔の身体なのでついつい女言葉になってしまう。


 「この身体と男の身体だと、どっちが目立たないかしら?男の身体だと私、結構弱いんだけど。」

 「えーと、それでもお父さんの方がいいと思います。女だけのグループだと変なのに声かけられやすいですし、ご主人様と私のコンビだと特に目立つような気がします。」

 そうね、わりと凸凹コンビね色々と。


 「それなら男の身体で人族の兄妹のフリでもするのが手堅いか。」

 「そうですね。幸いにして同じ黒髪ですし、人族の親子のフリが一番だと思います。」

 そこは譲れないらしい。

 私は老け顔で実年齢より年上に見えるしサナは童顔で背が小さいし年齢より年下に見えるだろうから別に良いけど。


 そうと決まれば早速、淫魔法【コスチュームプレイ】で男の身体用の装備を用意する。

 サナの着物の男性用バージョンだ。

 作務衣に草履までセットになっている上、男性用はダボシャツとふんどしまでついて維持コストが1分間MP1とお得なセットとなっている。


 「ちょっと着替えてくるね。」

 そう断って衣装を持ち、脱衣所で種族特性【トランスセクシャル】を使い男の身体に戻り着替える。


 ふんどしが多少落ち着かないものの着心地は悪くない。

 「どう?似合う?」


 脱衣所から戻り変な着方をしていないか見てもらおうとサナの近くに寄ると、なんかアワアワしてる。


 あ、これ別の人で見たことある。

 推しが尊いとかいいそうな感極まり方だ。

 サナはそのまま抱き着いてくるとまた頭をスリスリ擦り付けながら。

「これ好き」

 とだけ言った。


 帰ってこい語彙力。

 なんかツボだったらしい。


 「その恰好だと本当にお義父さんみたいです。」

 どうやらこの格好はサナの中でのお義父さん度が上がる恰好だったらしい。

 サナも自分の着物に着替え終わるとそういって腕に絡みついてくる。


 「喜んで貰えたようで何より。」

 そのまま二人で履物も履き、出口の扉の前に並ぶ。

 ドアノブを握り、外に出ようと思うと視界内に出口選択の表示が出た。


 淫魔法【ラブホテル】の起点に使った宿舎の部屋のドア、鉱山跡地から迷宮内の隠し部屋に通じる扉、隠し部屋から迷宮通路に出る扉が表示されているので、どうやら今まで開けたドアからなら好きなところから出られるらしい。

 とはいえ開けっ放しにしてナイフで固定してきたせいか隠し部屋から迷宮通路に出る扉は暗く表示され選択できないようだ。


 あと、おそらく片開きのドアだけが対象なのだろう。

 スライド式だった隠し階段から隠し部屋に出入りする扉や両開きだった廃坑山宿舎入口は対象外だ。


 これって実は凄い魔法なんじゃないか?


 とりあえず淫魔法【ラブホテル】の起点に使った宿舎の部屋のドアから宿舎に戻り、念のため外から見られないように気を付けながらロビーに移動する。


 昨晩は気づかなかったがロビーの壁に大きな地図がかかっており、この周辺の様子を表示しているようだ。


 パッシブスキルの【ラブレター】のおかげで問題なく読むことができる。

 この地図は【共通大陸語】で書かれているらしい。


 とりあえず地図に書かれた街名の中にサナが知っている街がないか確認する。

 もしもこの地図に載っているようならサナを故郷に帰すのも楽だ。


 この地図、写真撮れれば後から楽そうだがなぁ。


ピコン!

>淫魔法【盗撮】を得た。


 正直来ると思ってた。

 画像や映像を記録し再生できる魔法らしい。

 拡大縮小も可能だそうな。


 男の身体なのでコストは倍かかるのだが使っておくか。と思い、メニューから選んでみたが『プレイエリア外です』とシステムメッセージ的なものが視界内に表示され発動しなかった。


 ラブホテルから出たらもう駄目なのか。

 ちなみに淫スキルも使用不可だった。


 とはいえ、特性【エロゲ】のメニューのマップの中に地図は表示されているので、とりあえず地図系は一回見れば大丈夫っぽい。

 併せてレーダーにも地形図が表示される。

 ナビも付きそうな雰囲気だなこれ。


 「エグザルの街…。」

 「知ってるの?」

 サナが知っていたのは結局現在地から一番近い麓の街だった。


 「そこってサナの故郷からは近い?」

 「南西にかなり遠く離れた街だったはずです。迷宮で有名な街ですよ。」

 なんでも迷宮が地下だけじゃなくて山の上の方にも伸びているという変わった造りの迷宮が有名で最初に魔王が現れたのもこの迷宮の山側なのだという。

 デミオークがいた迷宮もその山側の一部なのかな?

 それなら路銀が足りない場合もなんとか稼げそうだ。

 

 とりあえず向かうには良い場所だし元々当初行く予定の街だ。

 外の様子を伺いながら早速そちらに向かうことにする。


 地図からすると現在の位置からは細い山道でショートカットできるようになっているらしい。

 大きな道だと王子様方の仲間とニアミスする可能性が高いのでこれはラッキー。


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