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第三○五話 「お父さんのソーセージ」


 「お父さんのソーセージ、大きい…」

 「パンパンッスね。」

 「こんなの、お口に入るかしら…」


 セクハラか?セクハラなのか?

 いや他意は無いのは分かっているのだけども、聞こえと絵面がR指定な感じがする。


 この場合のソーセージは隠語でもなんでもなく、牧場で手作りしたソーセージを今、焼いて食べ比べているところだ。


 一番手のサナが作ったソーセージは小ぶりで小さなソーセージ。

 見本に比べれば、二回りくらい小さく、ソーセージというよりウインナーみたいな雰囲気だ。


 ソーセージ作り初体験ということもあり、サナの慎重さと手の小ささからこのサイズになったらしい。

 詰めた肉の量が少なかったため対比的に皮が厚いが、一口サイズで食べやすかった。


 二番手のミツキが作ったソーセージは少し細めで大きさも見本より若干小さいものの、形は悪くない。

 見本より皮が厚いせいか割れづらく、焼いて食べるのには丁度良かったかもしれない。

 三番手のサオリさんが作ったのは、わりと立派なソーセージ。

 見本どおりというか、標準サイズのソーセージだ。

 肉と皮のバランスや形が良く、THE ソーセージ。という感じで、普通に美味しい。


 最後に作ったのが私で、生来の貧乏性から4人分として用意されたソーセージのタネを全部、ソーセージの皮、というか腸に詰めたので、見本より太く、長さも若干大きい。


 …おかしいな。説明してもやっぱり何か、いかいかがわしく聞こえる。


 サナやミツキのソーセージが見本より小さかったり細かったりした分、タネが余って、私のソーセージにしわ寄せが来たのだ。

 そのため焼いたら文字通り弾けそうなくらいパンパンになっている。


 食べごたえがあるのか、ハリがあるので食感がいいのか、思った以上に好評なのだが、とりあえず「お父さんのソーセージ」とか、「パパのソーセージ」とか、「レン君のソーセージ」とか言うのは気まずいので止めて欲しい。



▽▽▽▽▽



>淫スキル【裸エプロン】を得た


 焼き手に熱中していると、新しいスキルを得た。

 淫魔ランクに依存する調理スキル兼、露出度に応じて魔法使用の際にボーナスがつくスキルらしい。


 スキルの名前には今更文句をいう気はないが、微妙に使いづらいなこれ。

 とりあえず調理スキルは今欲しかったスキルなので良しとしよう。


 「やっぱりお肉足りないッスね。」

 「用意しておいて良かった。」


 牧場の焼肉セットを食べつくしてしまったので、今度は手持ちの肉や野菜にとりかかる。

 サナ達で焼肉のつけダレも2種類用意してくれていたようだ。


 エールも飲み終わったし、予備で買って置いた清酒に切り替えよう。

 焼肉に日本酒?と思うかもしれないが、焼肉にご飯が合うのなら、同じ材料の日本酒が合わないわけがない。


 特にこちらの世界の清酒は元の世界より洗練されていなく、おそらく純米酒なのか、良くも悪くも米の味わいやコクが強いので焼肉にも負けないのだ。


 サナの切ってくれた肉の厚さならそんなに焼くのに気を使うこともなく、覚えたばかりの調理スキルでもある【裸エプロン】を頼りに、みんなの分を焼きながら自分も摘まみ始める。


 醤油ベースのタレはニンニクを始めとしたスパイスが効いており、辛口で自分好みだ。

 これならエールを残しておけば良かったな。失敗した。


 もう片方のタレは塩ベースのタレで、さっぱりとして食べやすく、ごま油やハーブで調整しているのか風味も良い。


 迷宮産の豚肉、鶏肉、牛肉、蛇肉、蛙肉などなど、冒険も兼ねて色々焼いて食べ比べてみる。

 そんな事をしていると、いきなりミツキが「ああーっ!」と声をあげ、サナが小さくガッツポーズをした。


 「なにかあったの?」

 サオリさんも心配そうに二人を見ている。


 「サナちーと勝負してたんスよ。二人が作ったタレのうち、どっちがパパの好みかって。」

 「先に5回使われた方が勝ちなんです。」

 サナの両手ピースとは珍しいものを見た。


 「パパは味の好みがアタシに似てるから、いけると思ったんスけどねー。」

 「その言い方だと勝負を申し出たのがミツキで、ルール決めたのがサナかな?」

 「そうッス。」


 「なら、サナの作戦勝ちだな。」

 「えへへー。肉の食べ比べをするなら、お父さんは肉の味を確かめるのに塩系のタレを先に使うと思ったんです。」


 実際のところ、最初こそ香りに負けて辛口ダレ、塩ダレの順に使ったが、その後は確かにサナの言う通り塩ダレ、辛口ダレの順番で使っていた。


 「味付け自体はミツキの作ってくれたタレの方が好みだったから、サナの読み勝ちだな。」

 そういってサナの頭を撫でる。


 「うー、勝負に勝って試合に負けた感じで複雑ッス。」


 ミツキッス。

 うーん、回数じゃなくてパパの自己申告なら勝ってたかと思うと悔しいッスー。


 でも、自己申告制だとサナちーも全力でパパ好みの味付けにしてくるだろうから、勝ち目低かったような気もするッスね。


 次回、第三○六話 「距離とデート」


 あと、パパの事だから自己申告にすると「どっちのタレも美味しいよ。」とか勝負つかないパターンもありそうッス。

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