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第二九話 「発情期」

 「…あ、お父さんおはようございます。」

 「はい、おはようございます。ゆっくり寝れたかい?」

 「はい、こんなに柔らかい寝床で寝たのは初めてです。」


 やっと覚醒してきたのか、そういってサナは挨拶をしたかと思うと、また頭を私の胸元にスリスリする。

 目を細めて気持ちよさそうだ。

 これ、無意識に角を擦り付けてるような気がする。


 発情期の二日目ということは昨日から発情期に入ってたのか。

 どおりでスキンシップ過多だと思った。

 いや、鬼族の発情期がどういうものかは知らないんだけども。


 とりあえず気が済むまでスリスリさせたあと、ベッドから起きて浴室に向かう。

 基本、朝風呂に入る派なのだ。


 「髭そらないとな。」

 風呂のお湯を張りなおしながら洗面台付近にあるアメニティグッズから髭剃りをあさる。

 まてよ?

 ふと思い、淫スキル【淫魔】と種族特性【トランスセクシャル】を連続で使う。

 要は男の身体から女の身体に、そしてまた男の身体に戻ったのだ。

 そして洗面台の鏡をよく見る。


 おー、やっぱり髭がリセットされてる。あと寝癖も。

 これは地味に便利だ。

 あの朝の煩わしい時間を短縮されるだけでありがたい。

 お湯の量も十分に入ったしゆっくりと朝風呂としゃれこもう。


 「お父さん朝からお風呂ですか!なんて贅沢!」

 バスローブを脱ごうとした瞬間、サナが脱衣所に乱入してきた。


 「お父さん一緒に」

 「駄目です。」

 食い気味に答える。


 「えー」

 「えーじゃない」

 「だって昨日は一緒に入ってくれたじゃないですかー」

 「昨日は女同士だったろうに。浴室の使い方ももうわかってるんだから、これからは一人で入りなさい。」

 「まだよくわからないもん。それにお父さんとならあたし恥ずかしくないよ?」

 いや、私が恥ずかしいのだ。

 発情期だというのを知ってしまったので意識しているのもある。


 「もうこどもじゃないんだから、お風呂くらい一人で入りなさい。」

 と、お父さんっぽいことを言ってみる。そういや・・・


 「ちなみに鬼族って何歳から大人扱い?」

 ふと思った疑問をサナに問うてみる。

 

 「年だと男が15から、女は13歳か初めての発情期が来たら大人扱いされます。」

 あたしも13歳なのでもう大人の女性です。と胸を張るサナ。

 張るほど大きくはないのだが。


 「発情期あるんだ。」

 「はい、兎人族みたいに人族と同じように年中発情期な種族もいますが、大体の亜人族には発情期があります。」

 年中発情期扱いされた。


 「それは結構自覚あるものなの?」

 あたしはまだ発情期迎えたことがないので聞いた話なのですが。と前置きを添えた上でサナは説明してくれる。


 多くの亜人には年に1回、もしくは2回発情期があり、基本的に発情期前に生理のような出血があるので、それを目安に備えるものらしい。

 発情期の期間は一週間前後で、サナは感覚的に分かっていないような口ぶりだが3~5日目くらいが一番衝動が激しいそうな。


 種族にもよるが基本的には女性側が相手を選ぶ権利があって、パートナーや想い人、それがなければ信頼のおける手慣れた男性にお願いするものらしい。

 元の世界でも夜這い文化がある昔の農村部がそんな感じだったと聞いたことある。


 それでこどもが出来た時はどうするのか聞いてみたところ、基本長女が家を継ぐため、こどもは当然女性側の家の子として育てられるそうだ。

 母権制の姉家督なのか。

 必ず自分の血族が家を継ぐという意味では合理的ではある。


 男女両方が独身の場合、その時に結婚する事も多いらしく男は婿入りするのが一般的だそうな。

 ちなみに男の方には明確な発情期はないが、女性側が発情してるかどうかは同族同士なら臭いでわかるらしく、その臭いをうけて男は発情するらしく逆もありうるらしい。


 実際には薬で発情期を散らしたりすることもあるらしいが、想い人がいる女性にとっては無礼講で告白でき、一夜とはいえ結ばれる可能性もあるということで元の世界でいうところのバレンタインデー的イベントでもあるそうな。

 ずいぶん肉食系のバレンタインだが。


 サナはちょっと憧れるような顔でそう説明してくれた。

 もっとも逆の告白もありで男から来る場合もあるそうだ。

 やっぱ夜這いもありなんだな。 


 そんな風な話を昨日と同じく浴槽の中で私の胸に頭を預ける形でしてくれた。


 結局押し切られたのだ。

 女性の身体&シャワーで汗だけを流して洗いっこは無しという折衷案で。


 バスバブルは昨日使ってしまったので、申し訳程度に入浴剤を入れて誤魔化してはいるものの色々丸見えだ。


 お前大人の女性じゃなかったんかい。

 一人で入りなさいよ、気まずいから。


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