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第二九八話 「シルバー」


 その後はいくつかの情報交換を経て解散となったが、その際、事前に用意しておいたらしいシルバーのプレートをギルドマスターから手渡された。


 「今回、迷宮外での活動としてギルド員に活動を依頼するやもしれません。

 その際、当事者がその依頼を受けられないようでは支障があると思い、特例ですが皆さんの分のシルバータグを用意させて貰いましたのでお使いください。」


 そういってギルドマスターがサオリさんに全員分のシルバータグを手渡した。


 「レン、お前たち今までで結構依頼を達成していたんだな。

 やはり運搬者ポーターはその辺り有利なようだ。

 お陰で書類上は大した無理せずシルバーまで上げることが出来た。

 お前はともかく、嬢ちゃん達はレベルの辻褄合う様に頑張れよ?」


 ロマのいうレベルの辻褄というのはシルバーになるのに必要な20以上のレベルの事だろう。

 実際のところ、うちの女性陣はみんなレベル30以上になったので、その辺りは大丈夫だ。

 

 逆に正規の昇級手続きでレベルが判明したら高すぎて問題になりそうだったので、そこはギルドマスターが強権を発動してくれて助かった。


 戦闘職なら年齢の2/3くらいのレベルが平均らしいところに、サナなんて年齢の2.5倍クラスだしな。


 「ありがとうございます。それではまた何か2人が思い出したらご報告します。」

 「おう、こっちもアリシア…だっけな?の実験が成功して新情報が入れば伝えよう。」

 「よろしくお願いします。」



▽▽▽▽▽



 「疲れったッスー…。」

 「緊張したね?ミツキちゃん。」

 「レン君、ありがとうございます。お陰で雲を掴むような犯人探しも少し光が見えました。」

 「本番はこれからですけどね。」


 簡易宿泊所経由でラブホテルについた途端、みんな気が抜けたようだ。

 ミツキなんてベッドに突っ伏しており、その頭をサナが撫でている。


 「奴らの動きを見ると、朝からの移動距離的にこちらに近づいて来ているように思います。

 この街まで来るかは不明ですが、意外と決着は早いかもしれませんよ?」


 「本当ですか?!」

 「ええ、逆に早すぎるとギルド側の対応が間に合わないかもしれないので微妙なところですけど。」


 そういってサオリさんにアリシアのステータス欄から誘拐団達の情報を見せる。

 朝見た距離から比べると40kmは近づいている計算だ。

 それでもまだ距離は200km近く離れているので、この街に来るとしてもしばらくかかるだろう。


 「それまで腕を磨いておかないといけませんね。」

 そういってサオリさんは小さく両手でガッツポーズを取る。

 ちょっと可愛い。


 そうはいっても、リーダーらしき男以外はレベル25前後くらいだから、今のうちらでも大丈夫じゃないかな?

 そのリーダーだってレベル32くらいだ。


 サオリさんはともかく、昼から迷宮に入った時にサナやミツキもレベル31になった事だし、そうそう力負けはしないだろう。


 一応、隷属の魔法を改変するくらいの奴らだから魔法や魔術関係は警戒しておいたほうがいいか。


 「そういや、このリーダーらしきカルツ=ララリアって奴以外は苗字無いんだな。」

 「人族は家格を持った人以外は苗字が無い人も多いッスよ。」

 復活したのかミツキがそう教えてくれた。


 「逆に亜人族は氏神様を祀っている関係で家格がしっかり定められていますから、苗字が無い者の方が少ないんですよ。」

 そしてサオリさんも補足してくれる。

 そう考えると、このカルツって奴、それなりの人物なんだな。



▽▽▽▽▽



 「それじゃ、お父さん、お母さん、お休みなさい。」

 「ごゆっくりッス―。」


 そういってサナとミツキがラブホテル内に作った別室に消えていく。

 これから寝るのにごゆっくりのなにもないだろうに。


 そうでもないか。

 サオリさんに話したい、いや、吐き出したい事があったんだった。


 「…サオリさん、寝る前に少し飲みませんか?」

 「ええ、お付き合いしますよ。」



▽▽▽▽▽



 「レン君、わたしに聞いて欲しい事って、そんなに話しづらいことなんですか?」


 雑談をしながらラブホテル備え付けの冷蔵庫にあったビールを1缶ずつ空け、追加でワインのミニボトルを空けたくらいのところで、サオリさんがそういって向かいのソファーから私の隣へと移動して来た。


 座るときに目測を誤ったのか、ぺったりと接触してしまっている太もも同士が温かく、軽く上気したサオリさんからは、女性特有の甘い香りとワインの香りが混じった良い匂いがするので、少しドキドキするが、その表情は心配そうな顔をしている。


 「そう…ですね。話というより懺悔に近いと思います。」

 「懺悔?」

 「ええ、私は今日、人を殺しました。」



 サナです。

 今晩はお母さんが当番です。


 まだちょっとお父さんとお母さんは距離があるみたいに感じちゃうので、もっと仲良くなって貰えると嬉しいな。


 次回、第二九九話 「罪」


 んー、お父さんへのお願い使って、二人だけでお出かけして貰ったら、もっと仲良くなってくれるかなぁ?


 ミツキちゃんと相談してみよう。

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