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第二八六話 「予感」


 「え?もしかしてオムライス?」

 「夜市で作ってるところ見たら美味しそうだったので、見よう見真似で作ってみました。」


 大皿に乗っているのはトマトケチャップこそかかってないものの、チキンライス風の炒めご飯に天津丼風の卵焼きが乗っているオムライス風の料理だ。

 そして大皿の横にはお味噌汁が添えられている。


 なんとなくお婆ちゃんが作ってみたオムライス。みたいな感じがするが、それでも夜市で見かけただけで作れるってのは凄いな。

 

 「へー、美味しそうッスね。」

 「『けちゃっぷ』はお好みで追加してくださいね。」


 そういってサオリさんが高さ15センチくらい、大きめの竹筒のような容器のを勧めてきた。

 中には言葉のとおりケチャップが入っている。

 見ない容器だから、これは買ってきたのかな?


 サナのことだからケチャップもそのうち自分で作りそうだが、どうやって作るのかは見当もつかない。

 トマトを潰すくらいは分かるが、あとは塩とか酢とか?


 「これくらいなら、あたしでも作れそうなので口に合ったら教えてくださいね?」

 そういってサナが微笑む。

 もう作れるのかい。


 あ、そういえば


 「元の私のいた世界では、このケチャップでオムライスに絵や字を書いたりするのよ?」

 「絵を?どうやってですか?」

 容器からスプーンでケチャップを掬おうとしていたサオリさんが食いついてきた。


 「スプーンや箸で塗るんスかね?」

 「器から細く垂らして描くのかも?」

 サナが正解に近いが、少なくてもこのケチャップはそこまで滑らかではないので難しいだろう。 


 「なんていったらいいのかな?搾り器を使って描くのよ。」

 

 淫魔法【淫具召喚】でポリ袋を召喚して、同じく召喚したナイフで先端を切り、即席の搾り器を作ってみた。


 一瞬、【淫具召喚】のカタログに並んでいる浣腸器とかのグッズでも代用できそうだとは思ったのだが、流石にイメージが悪いので自粛したのだ。


 即席の搾り器の中にトマトケチャップを詰め、サナの前のオムライスにハートを描いてみる。


 「こんな感じね。」

 「おもしろーい。」

 「アタシ!アタシもやってみたいッス!」


 その後、それぞれのオムライスに絵や字を描いたり、美味しくなる魔法の話をしたり実演したりさせたりして盛り上がりながら昼食を済ませた。



▽▽▽▽▽



 「それでは行ってきます。」

 「ご主人様、お土産買ってきますね?」

 「寂しくなったら念話してもいいッスよ?」

 「はいはい、行ってらっしゃい。」


 三人をやしろに送り出し、淫魔法【盗撮】と【盗聴】でアリシア達パーティーの監視を続けることにした。


 監視だけなら一人で十分だし、前の帰依きえや授法の儀式から特にサオリさんのレベルが上がっていることから、新しい魔法などを覚えることが出来ないか社のお参りに行って確かめてきてはどうかと提案してみたのだ。


 「まあ、理由はそれだけじゃないんだけどね。」

 私の予感が当たるのなら、三人には見せたくないものもあるしな。



▽▽▽▽▽



 「案の定ね…。」

 狩りが終わり、南東区北部にある宿に戻って来たアリシア達のパーティーが、食事の後にした事といえば、アリシアに性処理をさせる事だった。


 その宿はシルバーの探索者が中心に利用している宿で、周りの話しぶりからすると、アリシアは他の探索者に対しても日常的に売春もさせられているらしい。


 今は淫魔法【夜遊び情報誌】でも『売りもの』として表示されているので間違いないだろう。

 結果論だが、【夜遊び情報誌】だけでも時間が合えばアリシアを見つけられたんだな。


 個人売春が合法か違法かは分からないが、パーティーの性処理も含めてアリシアは喜んでそれをしているわけではないようだ。


 「売春はともかく、状況だけならうちも似たようなものだから気が滅入るわね…。」


 スッキリして飲み直しているアリシアのパーティーの話からすると、メンバーの一員が迷宮で死んで欠員が出来たところ、たまたま酔った勢いと冷やかしで奴隷商のところに行きアリシアを見つけ、毎日の娼館代も馬鹿にならないし、死んだメンバーから回収した金や依頼達成でまとまった金もあったことから勢いでアリシアを買うことにしたらしい。


 そんなアリシア自身が美人かといえば、白人としてはわりと整ったほうだと思う。

 赤毛短髪で若干そばかすがあるものの、イタリア系を思わせるような顔つきで、肌はそれほど白くはないが背も高く、スポーツ選手を思わせる体型も悪くない。


 とはいえ、この世界でのおっぱいアベレージからすると胸は小さい方らしく、そこが不満だとアリシアのパーティーの戦士が語り、だからこそ安く買えたと魔術師が宥めている。

 小さいっていっても、ミツキくらいはあるけどな?

 

 文句はいいつつも、勢いで買ったが元は取れそうだという話や、タダとはいえ流石に飽きてきたので娼館に行きたいとか、同業を抱きたいという需要が結構あるというような話に花を咲かせている。


 本当に女性陣がいない時で良かったなこれ。

 ともあれ、アリシアが売春をさせられているなら接触自体は難しくなさそうだ。


 サナです。

 おむらいす?は卵料理だったので、ずっと気になってたんです。

 お父さん、美味しい美味しいって食べてくれたから、上手く出来てたのかな?


 次回、第二八七話 「説得再び」


 けちゃっぷはお父さんが肉料理に合うって言ってたから今度試しにみよう。

 味の感じから前に作ったぱすたにも合うかも?

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