第二七三話 「おっぱいの神様再び」
「パパ、これスゴイッス!完璧ッス!」
「いいからズボンを履いてらっしゃい。」
ラブホテルの部屋でサナにも爪磨きを1本出してやったところでお風呂場からミツキが戻ってきた。
しかも下半身がパンイチという状態で。
たぶん尻尾の付け根までちゃんと見たかったのだろうとは思う。
そこまでしなくても、ちゃんと根本からどこから見ても丸く見えるように仕上げてあるのに。
「真ん丸ッス!わかるッスか?どこから見ても真ん丸。これ難しいんスよ!」
「元から先っぽ除けば、ほぼ真ん丸だったろう?」
「全然違うッス!わかってないッスね。」
いや、本当にわかってないんだが。
なんでも、尻尾の毛は髪の毛のように伸び続けないのと、生え変わりやすい関係でボリュームを出すのが難しく、また尻尾を丸くするために先っぽを切りすぎてハゲる。というのは兎人族の女のあるあるだという話を熱く語ってくれた。
ミツキが美醜の話題でこんなにテンションが高いのは珍しい。
そういえば、基本自己評価が低いミツキにしては『自慢の尻尾』という言い方をしてたな。
兎人族にとっては、それだけ重要なポイントだったのだろう。
「尻尾が重要なのは分かったけど、耳の方はあんまりそういう基準にならないのかい?」
テンションが高すぎるミツキを宥めるため、ちょっと話題をそらしてみる。
「なるッスよ?でも見て分かるとおり大きくて薄いので痛みやすいから、ある程度見た目が悪くなるのはしょうがない。みたいなところはあるッス。
虫も付きやすいッスしね。」
虫が付くというのは刺されやすいという意味なのか、ダニやシラミとかが付きやすいという意味なのか。
ミツキは綺麗にしているが、一般的な衛生状態からすると両方のような気がするな。
「でも、ミツキは、そのうさ耳も綺麗だよね?」
「えー、そうッスかー?一応パパの口に入るものだから、ちゃんとお手入れはしてるッスけど、ホントにー?
ちなみに、外側は毛艶がよく毛並みが揃っていてー、内側は血色が良くてー、モフモフはボリュームを持ちながら頭の形に沿って揃っていてー、全体的に傷が少ないのが美人の条件なんスけど、ホントにー?」
ミツキが脇を締めるようにパンツの前で指を組み、クネクネとしながらチラチラとこっちを見ている。
パパの口に入るもの。という言い方はともかく、こんなに褒めて褒めてオーラをミツキが出すのは珍しい。
尻尾に引き続き、うさ耳も今となっては自慢の一品らしい。
それはそうと、早くズボンを履けというのに。
「ああ、とても綺麗だよ。それでも気をつけて触ると、少し傷はあるんだね。」
ミツキの頭を撫でつつ、確かめるようにうさ耳をなぞってみると、上手く隠してはあるものの、ちょこちょこと傷跡があったり、そこの毛が短かったりハゲてたりしている。
「今はパパの眼鏡があるから大丈夫ッスけど、アタシ目が悪いッスからね。ちょくちょくどこかにぶつけたり、草とかで切ったりしてたッスよ。
この傷跡ばっかりはしょうがないッス。
耳の傷跡も兎人族あるあるッス。」
うさ耳をなぞる手をくすぐったそうに感じながらミツキがそう説明してくれた。
「特に思い出の傷とか、残しておきたい傷とか、そういうのは無いの?」
「無いッス。忘れたいドジの思い出くらいッスね。」
なんでそんな事を聞くんだろう?と不思議そうな顔をしているミツキ。
うん、そういう事なら…。
「よし、ミツキ、ちょっとおっぱい触るよ。」
▽▽▽▽▽
「ご主人様、ホントに大丈夫ッスか?またちっちゃくなったりしない?」
「大丈夫、大丈夫。」
対象の体液から情報を得て肉体を再構築する淫魔法【おっぱいの神様】は、既にその発動起点であるミツキの両胸の上に乗った私の手の中でフルドライブ中だ。
前に使ったときは、サオリさんを蝕んでいた癌やその転移の可能性があるところを全部対象としたため、頭と肘から下、膝より下以外を再構築した関係かアホみたいに魔力を食ったが、今回はミツキのうさ耳部分だけなので、質量的には相当少ないはずだ。
淫魔の身体の方は魔力もゲージを含めて満タンだし、なによりいざという時のためにある程度この魔法は使い慣れておきたい。
ミツキのおっぱいに移った魔法陣を再度自分の両手に移し直し、こんどはうさ耳の根本に移し替え、そこから先端に向かって発動させていく。
回転を早めながら根本からゆっくりと上っていく魔法陣。
うさ耳全体というより、傷がある部分だけを少し広めに再構築していく。
逆に精密作業なので少し時間はかかったものの、消費魔力はゲージ1本も使っていない。
うん、これくらいなら使い回しが出来そうだな。
最後にまた元のミツキのうさ耳を参考に淫魔法【トリコフェリア】で、毛並みを整えてやる。
「はい、オッケー。また見てくる?」
一通り終わったので淫スキル【淫魔】で元の身体に戻り、そう言い終わる前に、「見てくるッス!」とまたお風呂場に消えていくミツキ。
「なんか、ミツキちゃんにしては珍しい感じしますね?」
そういって近寄ってくるサナを抱き寄せながら、そんなミツキを見送った。
サナです。
ミツキちゃん凄く嬉しそう。
ミツキちゃんも最近、やっと自分に自信が持てるようになってきたっていってたから、これを機に、もっともっと積極的になれるといいね。
次回、第二七四話 「湯呑」
あたしはお父さんにだけ可愛いっていって貰えれば、あとは別にいいかなー。




