第二六○話 「3人の男」
育成シュミレーションゲーム風のステータス画面というと聞こえがいいが、平たく言えば、この表示方法は例えるならエロゲの画面なのだ。
諸々の行為の回数や、開発率とかが数値やゲージで表示されていて、目を覆いたくなる。
特にサナの数値。
あと、こういう画面だと『奴隷』の文字に思ったより心が痛む。
意外とサオリさんの一部の数値が高いのは、過去の経験も含んでいるのだろう。
む、おいおいおい、経験人数も表記されるのこれ?
サナとミツキの1人というのは私だろうから置いておいて、サオリさんの3人という表示をスライドすると3人の顔とプロフィールが現れた。
1番上に表示されているのは私。
顔のほかにも名前や年齢、性別、レベルや経験回数、それから居場所も表示されるようになっているらしい。
居場所といっても、地名ではなく距離や方向が表示されるようだ。
その下の2番目の表示は暗い表示になっているものの、どことなく自分に雰囲気が似ている鬼族の男。
たぶん、これがサオリさんの元旦那さんで、サナのお義父さんだったのだろう。
暗い表示になっているのは、もう他界しているためなのかな?
居場所の表示も無いし、表記の年齢からすると、享年20歳だったようだ。
今のこの世界での私の歳と一緒か。
初めてあった時のサナの気持ちもなんとなく分かるな。
それはそうと、プロフィールを見ていて気づいたが『淫魔の契り』でのカウントに準じているのか、経験人数には口もカウントされるらしい。
あんなにしんみりしていたのに、表記されているサオリさんとの経験回数を塗り替えてやりたいと思ってしまうのは雄の本能なのだろうか?
ちょっと自分でも意外だ。
単純に嫉妬なのかもしれない。
あるいはNTR感?
いや、どう考えても寝取った側は私の方だなこれ。
スマン、兄さん。
で、1番下に表示されているのが、おそらくサナの実父である勇者だろう。
明るい表示になっているので、まだ生きているらしい。
前に危惧していた、用の済んだ勇者は殺されて装備を奪われる説は無いようだ。
いや、そうとも限らないか。
ケース・バイ・ケースということもあるだろう。
居場所の表示はされないが、これは元の世界に帰っているからかな?
いや、違うな。逆に私がラブホテルの部屋にいるからだろう。
簡易宿泊所の方の部屋に戻り、もう一度確かめてみると、北北東の方向に300Km以上行った所にいるらしい。
この世界での任務?が済んでいないか、元の世界に戻らず残留を決めたのかは分からないが、少なくてもこの世界でまだ生きているらしい。
年齢は32歳、レベルは46と私よりかなり高いが、この世界でどれくらいの強さの位置にいるのかは分からない。
まぁ、これだけ離れた場所にいるなら会うことも無いだろうし、会いたいとも思わないから忘れよう。
このチャラい顔の鬼畜サド勇者とは気が合うとは思えないしな。
それにしても、今表示されている特性【エロゲ】のこの画面。
これがこの世界に来た時のデフォルトメニュー画面だったら、私、いきなり詰んでたんじゃないだろうか?
かろうじてアイテム欄はあるが、戦闘に役立つ情報がまるで無い。
この画面で新迷宮の隠し部屋であるベッドルームでサナに出会ってという流れだと、ああ、これ夢の中でエロゲ続行だと思いこむルートで、翌朝王子様迎え隊に惨殺エンドだ。
運が良かったというか、隠し部屋の雰囲気にファンタジー感の方を先に感じたのがネトゲ風メニューを先に引き当てる鍵になったのかもしれない。
そんな事を考えながら、メニューの表示を使い慣れたネトゲ風の『SYSTEM1』に戻して、改めてラブホテルの部屋に戻る。
みんなが戻るまでに、もう少し能力を検証しておこう。
▽▽▽▽▽
「ただいまッスー!」
「ただいまー。」
「今、戻りました。」
「みんな、おかえり。」
荷物を抱えた3人が帰ってきたが、思っていたほどの量じゃなくて安心した。
「パパ、おかえりのチューうぅっ?!」
今、珍しく独占欲が刺激されいるので、そういう冗談は命取りなのだ。
「お父さん。」
上目遣いで背伸びしてくるサナが可愛い。
「え?わたしもですか?」
むしろ今の気分はメインディッシュ扱いです。
ミツキッス。
なんスか!今日はパパのチューサービスデーッスか!
そういう事は先に言って欲しいッス!
次回、第二六一話 「晩御飯」
そういう日だっていうなら、こっちにだって考えがあるッスよ?




