第二四話 「お巡りさん」
サナは何か色々と理由を言っていたが、要約すると助けてくれたり保護してくれたり故郷に連れて行ってくれるお礼に少しでも私の為に何かをしたい。私が喜ぶことをしたい。お父さんと呼ぶことで少しでも喜んで貰えるならそうしたい。と、いったものだった。
あと、たぶん元々ファザコンっぽい。
今もお父さんお父さんと繰り返しながら押し倒すような形で私の胸の中にいる。
なんかちょっと幼児返りしてる感もある。
人さらいに合ってから数か月奴隷商人の下で暮らし、得体のしれない貴族に買われ何をされるか分からないまま生贄のようにされていたところに、おそらく安心の象徴だった父親似の保護者みたなものが現れたんだ気が抜けて甘えたくなるのも分からないでもない。
なんかもう、ほぼほぼ抱き枕のような扱いをされ、頬というか頭というかをスリスリと胸に擦り付けられている。
たまに当たる小さな角がコリコリとちょっと気持ちよく正直悪くない。
いや良い。
庇護欲というか父性本能が刺激されて非常に心地よいというか優しい気持ちになっている。
「それにしてもお父さん、あたしくらいの年のこどもがいたかもしれないって、人族にしてはずいぶん若い時のお子さんだったんですね?」
サナが上目遣いで聞いてくる。
なんとなく猫っぽい。しかも発情している猫。
いや13歳のサナくらいなら娘なら普通にいてもおかしくないくらいのオッサンよ?私。
って、ここ部屋天井にも鏡がついてるのか。
そこにはバスローブがいろいろとはだけかってる少女に抱き枕のようにもたれ掛られている、お巡りさんこいつです!真っ最中な感じの青年の姿が…。
淫スキル【ナルシスト】でステータスチェックを…
『プレイエリア内なので淫スキルの使用は可能ですが、コストが倍になります。使用しますか?』
とのシステムメッセージ的なログが。
逆にいうとプレイエリア以外だと使えないの?と、一瞬思ったがステータスの確認が先だ。
って、わざわざスキル使わなくてもメニューからステータス選べばいいのか。
【名前】レン・キュノミス
【年齢】20歳
【性別】男
【種族】人族/淫魔族
【職業】■■/なし
【身長】179
【体重】 76
【スリーサイズ】93/78/96
【ランク】 2
【レベル】 20
【筋 力】C 90
【耐久力】C 90
【精神力】C 90
【感 覚】C 90
【敏 捷】C 90
【器 用】C 90
二十歳?
半分じゃん。全然元の身体じゃないじゃん。
そうだよな種族スキル【トランスセクシュアル】は、自身の性別を逆転させる。またはベッドの上等での性転換希望宣言を受理し性別を逆転させるスキルなだけだから元の年齢までには戻らないよな。
「サナ。」
「なあに?お父さん」
「全然、元の身体じゃない。これ。」
「え?お父さん、本当はお義父さんじゃないんですか。」
何言ってるのか分からんが何がいいたいのかは分かる。
いや盛り上がってるとこ悪いが元々お義父さんじゃないよ?似てるらしいけど。
「えーと、若い時の私の身体になってる。具体的には二十歳の頃の身体。」
「ちょうどお義父さんくらいの歳ですね。良かった。」
いや良くない。
だが逆に元の世界に帰るまで最大で20年の余裕があるとポジティブに考えよう。
それにしても7歳の時に亡くなったお義父さんが二十歳くらいって、サナのお母さん、随分若い婿さん貰ったんだな。
まあいいか、今更焦ってもしょうがない。
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