第二四八話 「お仕置き」
「レン君もムラムラしたりするんですか?」
いたずら気な表情で顔を覗き込んでくるサオリさん。
「恥ずかしながら。
サオリさんの大人の女性としての柔らかな魅力も、ミツキの明るく健康的な魅力も、サナの思わず抱きしめたくなるような可愛らしさも、正直なところ、いつもドキドキしますよ。」
『マズローの欲求5段階説』の話を肴に、サオリさんと話をしているうちに、そういう欲求が悪いことでは無いと思えてきた。
先程の自分の言葉ではないが、行動が同じでも心のあり方次第なのだ。
本能で抱くなら生理的欲求。
安心のために人肌を求めているなら安全欲求。
愛しくて抱くのなら社会的欲求。つまり愛情だ。
それら全てを一纏めにして、そういう行為を不浄な行動と考えるから歪が出来るのだろう。
心も身体も相手を求めているのならば、それを不浄と思うこと自体が逆に不健全だと思えてきた。
「良かった。わたし達だけドキドキしてるのでは、寂しいですもの。」
そういってサオリさんが優しげに笑う。
重ねた手のひらの上に、もう一枚、手が重ねられた。
「良くない。」
あれ?この手のひら小さくない?と思った瞬間、足元から声がする。
もう片方の太ももにも手のひらが乗せられ、開いている足の間からサナが顔を覗かせる。
いつの間に?!
「あたしをお布団に置き去りにして、お母さんとイチャイチャしてるなんてヒドイ。」
サナが唇を尖らせながら上目遣いで睨みながらそう抗議してきた。
「ごめんごめん。こんなに長くベッドを離れるつもりじゃなかったんだよ。」
そういってサナの頭を撫でるが、無言でお腹に何度も頭突きをして抗議してくるサナ。
たまに角が刺さって痛いので、両手でサナの頭を抱え直し、そのままほっぺたをムニムニする。
「全然気づかなかったけど、いつから来てたの?」
「むー、お父さんがお母さんにくっつかれてデレデレしてるあたりから。」
いや、デレデレはしてないだろう。と思ったが、サナの接近に気づかなかったくらいなので否定できない。
いつものように、サオリさん、やっぱりいい匂いする。とか、柔らかい。とか、酔った表情が色っぽい。とかトリップして気づかなかったのかもしれない。
「サナ、ごめんなさい。わたしがレン君を引き止めちゃって…。」
サオリさんの言葉を聞いているのか、いないのか、私の両手を払い、今度はお腹というか下腹部に角を擦り付けるサナ。
ちょっとその体勢は位置的に絵面がヤバくない?
「っつ!?」
サナに太ももの内側を噛まれた。
もちろん、本気ではないだろうが結構強めだ。
「あたし、怒ってるんんだから!
…でも、お母さんもお父さんにお仕置きするのを手伝ってくれたら許してあげる。」
「え?」
「ええっ?!」
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>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>460ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>140ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>80ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>40ポイントの経験値を得た
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>140ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レベル29になった
>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>460ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レベル25になった
▽▽▽▽▽
「もう、目を覚ました時に、お父さんいなくて、ホントに寂しかったんだからね!」
「あれはお父さんが全面的に悪かった。本当にごめんね。」
ベッドの上で、右から抱きつき肩を枕にしているサナの頭を改めて右手で撫でつつ、左手で我に返って離れていこうとしているサオリさんを抱き寄せた。
「お父さん、この後はミツキちゃんと寝てあげてね?あたしみたいに寂しい思いしたら可愛そうだから。」
「わかったわかった。仰せのままに。」
せっかくある程度納得して身体を重ねる事に抵抗感が薄れていたところを背徳感で塗りつぶされてしまった感があるが、これでも今夜、一歩前進したのだろうか?
サ、サオリです…。
そ、その、覚悟はしてたのですけど…は、恥ずかしい…。
次回、第二四九話 「予定外」
人族はこういうのが普通なのかしら?




