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第二四三話 「ゲージ」


 「お父さん、もう一回ちゅー。」

 サナが両手を伸ばし、私の首の裏で指を組むようにして引き寄せるので、抵抗もせずにもう一度サナの唇にキスをする。


 そのまま、頬を始め、顔の色々な場所についばむようなキスをすると、サナがくすぐったそうに身をよじり、最後に顎を引くようにしてその頭、いや桜色の両角を差し出した。


 角におねだりというのは、サナにしてはちょっと珍しいな。

 リクエストに応えて、両角に少し長めの柔らかいキスをすると、サナは満足そうにして身体を起こし、抱き着いて来た。


 「んー久しぶりのお父さんー。」

 「久しぶり?」

 「うん。ずっと氏神様と一緒だったから。丸1日ぶりくらい?」


 そういやサオリさんの話だと、氏神様とは魔法や技術を授かるだけじゃなく、その練習までするのだったか。

 その体感時間が1日分くらいあったということなのかな?


 「ずいぶん時間がかかったんだね。お疲れさま。」

 「うん。覚えること多すぎて大変でした。」

 猫のように頭、というか角を私の胸元に擦り付けてくるサナ。


 サナのステータスを確認すると、職業が【修験者】にちゃんと変わっており、スキルにも【神聖魔法:鬼族】と【魔力操作】、【瞑想結界】がそれぞれランク2で追加されていた。


 【瞑想結界】は魔力や精力(気力)の回復を補佐するスキル【瞑想】の上位スキルだそうな。

 もともと【瞑想】は、瞑想している間、自然回復量とは別に魔力や精力が回復していき、その時間が長いほど加速的に時間当たりの回復量が増える便利なスキルのようだが、【瞑想結界】は、それに加え、瞑想している間、任意の範囲に対魔法結界を張ることが出来るスキルらしい。


 物理結界であるサオリさんの【金剛結界】の魔法版みたいだな。


 あと、よく見るとステータスも変わっていた。 

 各能力の数値こそ変わってないものの、【精神力】と【感覚】がAからA+に、たしか【器用】もCだったはずなので、こちらもBに上がっている。


 どうやら職業によってステータスが上がるか増減する仕組みっぽいな。

 あと、ステータスの関係か魔力や精力ゲージが増え、それぞれ元のゲージ+4本まで溜めておけるようになってる。


 能力値的にステータスAで1本、A+で2本追加というところなのかな?

 少なくても【精神力】と【感覚】は両方とも魔力量や精力量に直結する能力っぽい。


 淫魔の私やミツキのステータスから考えると、【器用】も魔力量に影響しているっぽいので、魔力は【精神力】、【感覚】、【器用】の合計値で間違いないだろう。


 サオリさんのステータスから考えると、【耐久力】は体力量と精力量に影響している様子だから、精力も【精神力】、【感覚】、【耐久力】で確定か。


 そうなると、消去法で体力は【耐久力】、【筋力】、【敏捷】の合計かな?

 うん、それっぽい感じはするな。


 と、なると、とりあえず、この3つの能力値がA以上の敵は体力が倍以上あると思っておけば良いだろう。


 思い返せば以前戦ったデミイメンススネークは【耐久力】と【敏捷】がA+とAだったので、トドメを差しそこなったのはそのせいだったのだろうな。


 うん、原因が分かって、なんとなくスッキリした。


 あと、淫魔の私で魔力ゲージが合計6本、精力ゲージが4本なので、サナにほぼほぼ追いつかれている。

 と、いう事は、下手するとサナは勇者並みのスペックなんだな。

 サナは血筋的には父親も祖父も勇者という、実質3/4勇者なので不思議ではないのだが。


 「お父さん、考え事?」

 「あ、ごめん。サナのステータスの確認をしてたんだ。凄く強くなったんだね。」

 せっかくなので、サナにも自身の状況を説明しておく。


 以前、皆にステータスの話をしていた時は、この世界では一般的に各ゲージの概念が無い様子だったので、そこを念入りに説明しておく。


 具体的には、サナが新しく得た【瞑想結界】を使えばモリモリ魔力と精力が回復するのだから、迷宮に入る前にそれを使って各ゲージを追加ゲージ含めて満タンにしておく。などだ。


 サナはうんうん、と頷きながら熱心に話を聞いてくれている。

 

 「これはもうイチャイチャモードになりそうにないッスね。」

 「そうねぇ。」


 声をした方を振り向くと、扉の隙間に二つの顔が縦に並んでいる。

 上がサオリさんで、下がミツキだ。

 どうやら、気を使って二人きりにしてくれていたらしい。


 これは二人にもサナにも悪い事したな。

 先程風呂でスッキリしてしまっていたので、そっちの方には頭が回っていなかった。


 「サナちー、もう大丈夫ッスか?」

 「うん。えーと、あたし寝ちゃってたんだね。」

 「四時間ちょっとくらいかしら?レン君が運んでくれたのよ?」

 「お父さん、ありがとう。」

 花の咲くような笑顔のサナにつられて、ついついまた頭を撫でてしまう。


 「お腹空いただろう?夜食にしよう。」

 「そういえば…」

 サナがそういった瞬間、そのお腹からキューと可愛らしい音が鳴った。


 「あのシチュエーション、絵本で読んだ事あるッスよ。」ヒソヒソ

 「あらあら。」ヒソヒソ


 「ちょっと憧れるッスよね。ああいうの。」ヒソヒソ

 「そうねぇ。」ヒソヒソ


 「お、サナちーからいったッス。」ヒソヒソ

 「わたし達、そろそろ部屋に戻った方が…」ヒソヒソ


 「あ、パパがなんか真面目モードッス。」ヒソヒソ

 「ええっ?」ヒソヒソ


 「「次回、第二四四話 『魔法』」」


 「これはもうイチャイチャモードになりそうにないッスね。」

 「そうねぇ。」

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