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第二二話 「二人の勇者」



 浴室から出て自動販売機からミネラルウォーターを2つ取り出し、一つをサナに渡す。

 これ料金精算はどうなるんだろ?最初に使用した魔力にコミコミ?


 それはさておき

 「ってことは、サナの家にはお爺ちゃんとお父さんの二人の勇者がいるって事?」

 そう聞くとサナは首を横に振った。

 ペットボトルの開け方が分からないようなので、自分が持っている方を開けてから交換する。


 「ありがとうございます。えーと村に滞在したときに掟に従って種だけ頂いたそうです。なので、私も実の父親の顔は知りません。」

 まれびと信仰と夜伽歓待だっけな?

 昔日本でもあった閉鎖された村などで血が濃くなり過ぎるのを防ぐために強く新しい血を入れる儀式だったはず。


 「それに私にとって父親といえばおとうさんのことですし。」

 微妙なニュアンス。

 義理の父でお義父さん?

 母親の再婚相手のことかな?


 「と、言ってももう6年も前に他界してしまったんですけどね。」

 そういってサナは寂しそうに笑う。

 6年前といえばサナが7歳のころか。


 「私もね、小さい時に父親を無くしたんだ。」

 「え?」

 「私は6歳のころだったな。重い病でね。もう顔もうっすらとしか覚えてないけど…。」

 思えば最初に家族を無くしたと感じたのはこの頃だったろうか。


 「…あたしは7歳の頃でした。流行病で…お義父さんがお義父さんでいてくれたのは3年と短い時間でしたけど、幸せでした。」

 ベッドに座る私の横にサナも腰掛けて身を寄せてくれた。


 「やっぱり忘れてしまうものですか?」

 サナが不安そうにこちらを見る。

 「そうだね、忘れてしまうといってしまうと薄情に聞こえるかもしれないけど、それは心の傷が癒えるということと同じ意味かもしれないわよ?」


 人の記憶なんてものは写真がある世界でも忘れてしまうようなものだ。

 それが無い世界ではなおさら記憶は薄れていくものだろう。

 自分に言い聞かせるようにサナにそう語ると、そのままベッドに両手を広げて仰向けに倒れ込む。


 「ごめんね、辛いこと思い出させてしまったかも。」

 「いいえ。」

 ポフンとサナも腕の中に倒れ込んでくる。


 「ご主人様の事も聞けて嬉しかったです。」

 そういって笑顔をつくるサナの頭をそっと撫でる。

 今はカチューシャをつけていないので可愛い桜色の角が頭を覗かせている。


 「あのね、サナ。」

 「はい。」

 「私、たぶん勇者だわ。」

 「え?」


 もう言ってしまおう。

 この先、どうなるにしてもサナの協力は不可欠だ。


 「さっきのお風呂やこの部屋を見てわかるとおり、私は別の世界の人間で、そこから何故かこの世界に召喚されて来たらしいの。」

 「でも、勇者は人族だけのはずですよ?」


 「そう、私も元々は黒髪の人族。今のこの身体はこの世界に来てからの身体なの。」

 サナは真剣に話を聞いてくれている。


 「元の身体はともかく、この身体だと、こうして部屋を用意できたりする強力な力が使えるわ。理由も理屈もわからないけど。」

 本当に理由も理屈も分からないんだよな。


 「私の目的は2つ。元の世界に戻る方法を見つけることと元の身体に戻ること。元の世界に戻る方法を探すためにサナのお婆ちゃんに会わせて欲しいの。」

 「それは…命令ですか?」

 顔を伏せながらサナがそう問う。


 「命令じゃなくてお願いよ。と、いうかどっちかというと『ついで』ね。」

 「え?」


 「サナが攫われて奴隷になったって話を聞いてから私はサナを故郷に送り届けたいと思っていたのよ。で、そこに寄ったついでにお婆ちゃんに勇者の話を聞きたいの。」

 サナの目を見つめながらそう言う。


 「駄目かしら?」

 「駄目じゃないです…ありがとうございますご主人様…。」

 顔を伏せて私の胸元のバスローブを掴みながら泣くサナの頭を再度優しく撫でる。

 それ以上ひっぱられると、私のおっぱいまろび出ちゃう。


 元の世界ねぇ…。この部屋の窓とか破ったら元の世界に通じたりしてないもんかな?

 今度試してみよう。

 部屋を魔力か何かで再現しているのか、元の部屋に繋がっているのかにもよるだろうけど、露天風呂付きの部屋とかに入れてたらその辺りハッキリしそうだ。


 一応、元の世界に戻る手がかりはありそうだが、問題は元の身体に戻る手段だな…。


ピコン!

>種族特性【トランスセクシャル】を得た

>淫スキル【淫魔】を得た


 なんか来た



キーワード回収まで相当かかりそうです。


長い目で見ていただけると幸いです。

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