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第二一話 「勇者召喚」



 「そういえば召喚魔法の事を教えてくれた時に『勇者召喚』って言葉が出ていたけど、それってどんな魔法なの?」

 バスバブルとジャグジーへの興奮が収まったころを見計らってサナに聞いてみる。


 「あたしもお婆ちゃんに聞いた話なので詳しくはないんですけど…」

 鼻の頭に泡をつけたままサナは語り始めた


 「勇者召喚は人族の王族や一部の上位聖職者のみが使える特別な儀式魔法で、異世界から強い力を持った人族を呼び寄せ、その『勇者』と呼ばれる召喚された人族はこの世界の人族より強い力を持っていたり、特殊で強力なスキルを持っていたり、特別なアイテムを持っていたりするそうです。

 召喚されるのは黒髪の人族がほとんどで、金髪碧眼が美しさの基準の人族の中でも黒髪は好みが分かれるのもこの勇者達由来のことだと聞きました。


 この世界で一番数が多いのは人族なのですが、人族はよくそのほかの種族と勢力争いで戦争を引き起こしていました。

 そのうち人族は自分たち以外の種族をその姿から魔物の一部だと『魔族』だと蔑むように呼び、そう呼ばれた他の種族達も、『ああそれで結構、お前らの敵には変わりないんだからな』と逆に『魔人族』を名乗り一致団結するようになってからは今までの小競り合いに比べ大きな戦いが続くようになったそうです。


 人数では劣るものの身体能力で勝る魔人族に対抗する手段として神から人族に与えられた魔法が『勇者召喚』

 最初は魔人族側が優勢だった戦いも、大国が召喚する勇者達の力には及ばず劣勢になってきました。」

  

 サナは背中を浴槽の反対側に預け直すと物語を読むように語り続ける。

 スキルの概念もちゃんとあるんだな、この世界。

  

 「そんな中、ある事件がおきました。

 蔑称としての魔族ではなく本当の魔族が、魔王が現れたのです。


 それまでも迷宮の迷宮獣が溢れかえり近隣の街を襲うようなことはありましたが、迷宮獣は外の世界では長生きすることは出来ず長くても一週間で収まっていたのです。


 それがその時は違いました。

 出口がなく強大な魔力を秘めた迷宮が、中で迷宮獣の純度を高め、やがて知性をもった魔族を、そして魔王を生み出したと、当時、高名な魔法使いはそう分析したそうです。


 生きとし生けるものと敵対する本当の魔族に対して、人族と他種族は共闘せざるを得なくなりました。

 そしてやがて勇者も他の種族と戦う役目ではなく、魔族と戦うのが主な役目となり、人族と他の種族との対立も緩やかになっていきました。


 と、いっても逆に魔族と共闘して人族と戦う種族もいます。

 なので今では、魔族側の多種族を『魔人族』、人族側の多種族を『亜人族』と呼びます。


 もともと亜人族という呼び方は土地柄や立場でどちら側にもつけなかった種族の呼び方だったんですけどね。


 私達鬼族でいうと、白鬼族や、赤鬼族、青鬼族、小鬼族は亜人族で、黒鬼族は魔人族になります。


 これが100年前くらいのお話です。


 最初の魔王は勇者率いる人族と亜人族の猛者たちに倒されましたが、その後も数度魔王が現れ、その度に勇者が召喚されたそうですよ?」


 サナの顔が真っ赤でのぼせそうなので湯船から上がらせシャワーで泡を流し、バスタオルで髪と身体を拭いてバスローブを着せる。

 自分の身体も同じ様にした後、ドライヤーでサナの髪を乾かす。


 「うわ、なんですか、これ熱い風がきます!」

 ドライヤーに驚くサナ。

 風を当て髪を乾かしながらブラシで漉くと気持ちよさそうに目を細める。

 

 「その召喚された勇者はその後どうなるの?」

 逆に髪を乾かしてもらいながらそう聞く。

 サナは初めて使うドライヤーを楽しそうに使いながら語り続ける。


 「魔王を倒した勇者は上位聖職者の魔法で元の世界に帰るそうです。一部は戻らずにこの世界に残った勇者もいるそうですよ。」


 サナに比べて私の髪は長くて少しクセがあるので大変そうだ。


 「勇者についてはお婆ちゃんが一番詳しいです。お婆ちゃんはもと勇者の仲間でしたし、お母さんや私の実の父も勇者だったそうですから。」


 いきなり爆弾発言が来た。



キーワード回収まで相当かかりそうです。


長い目で見ていただけると幸いです。

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