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第二○二話 「ただいま」


 一人だけ離れているのは寂しげなので、右手でサオリさんを巻き込むように抱き寄せた。


 私の右肩を枕にしているような恰好になったが、ミツキとは違って恥ずかしがっているのか、横向きというよりはうつ伏せ状態に近い恰好でしがみつく様に身体を添えている。


 そのため、お互いの右胸を押し付け合うような恰好になっており、サオリさんの白くて形のいいバストが大きく歪んでいた。


 めっちゃ柔らかい。


 キュー


 そんな事を考えていると、サオリさんのお腹から可愛い音が聞こえた。

 迷宮もそうだが、昨日の晩から結構な運動量だったしな。

 サオリさんの耳が真っ赤に染まっていく。


 「さすがにお腹空いてきたね。」

 サナとミツキには聞こえてなかった様子だったが、そうフォローしておこう。


 「なにか作りましょうか?」

 サナがそういって顔を覗き込んでくる。


 「それは嬉しいけど、魔法の制限時間が来ちゃうから、そろそろこの部屋を出ないと。」

 「あ、お父さん、ちょっと待って。ミツキちゃん…」

 サナは何やらミツキに耳打ちした後、続けてサオリさんにも耳打ちしている。

 なんだろう?


 「それじゃ、お父さん。改めて、おかえりなさい。」

 膝の上の私の頭をずらしてサナが私のおでこに、ミツキが左の頬に、サオリさんが右の頬に同時にキスをしてくれた。

 なんだかくすぐったい。


 「ただいま。」

 頭をそらすようにしてサナの唇に、その後は、緊張した顔というかテンパった様子で何度もついばむようなキスをして来ているサオリさんの唇に、そして最後に笑顔のミツキの唇にキスをして、そう返した。


 「パパ、めっちゃ笑顔ッスよ。ほっぺにチューが好きだっていうのホントだったんスね。」

 そういや前にサナにそんな事言われてたな。



▽▽▽▽▽



 元の服を着直せる状態ではなさそうなので、とりあえず淫魔法【コスチュームプレイ】で自分も含め全員にバスローブを着せて、脱いであった服を抱えてもらい宿の部屋に戻った。


 宿の灯戸あかりどを開けると暖かな日差しが入って来る。

 「思ったより日が高くなってないな。」


 「朝一でお部屋用意して貰ったッスからねー。」

 寝ぼけて時間は覚えてないが、ラブホテルを3時間ギリギリで出て来てこの時間なんだから、本当に朝一だったのだろう。

 

 それでも朝市の時間には間に合わないっぽい。

 サオリさんの空腹度的に宿屋の食堂か探索者ギルドのレストランで何か買ってくる流れかな?

 とはいっても宿屋の方だと大人の姿の私は知らない客だろうから、私が買いに行くなら探索者ギルドの方か。


 淫スキル【淫魔】と種族特性【トランスセクシュアル】を連続で使い、外見がリセットされるのを利用して身支度を整え、改めて淫魔法【ラブホテル】を唱える。


 お、前に使った露天の温泉檜風呂付きの部屋がサービスタイムで入れる。

 これはみんな喜びそうだ。

 今は汗やらなにやらでベタベタだしな。


 「とりあえずギルドで何か摘まむもの買ってくるから、みんなは部屋で汗でも流していて。

 サナの料理の買い出しは、その後改めて行こう。」

 「はい。あ、お父さん、そういえばギルドのお部屋の方、そろそろ予約が切れると思います。」

 あ、宿借りてたのすっかり忘れてた。


 「じゃ、ついでに部屋も見てくるよ。四人入れる部屋が借りれたら、そっちに借り換えてこよう。ギルドなら炊事場もついているから、ちょっとした時にサナも使いやすいだろ?」


 ラブホテルの場合、バーカウンターでもついていない限り、洗面所か風呂場が炊事場代わりになるので、決して料理が作りやすい環境ではないのだ。


 「そうですね。お願いします。」

 「ミツキとサオリさんは何か食べたい物のリクエストとかある?」


 「あ、お肉食べたいので、前に食べたローストビーフのサンドイッチがいいッス。」

 「わたしは何が売ってるかよくわからないので、お任せします。」

 そういやサオリさんは探索者ギルドで食事したこと無かったか。


 「じゃ、ミツキのリクエストのほか、何か適当に買ってきますね。

 新しい部屋は露天風呂の温泉付きですから、私が戻ってくるまで、そこでゆっくり汗でも流していてください。」

 

 「温泉?!」

 サオリさんの目が光ったような気がした。


 「前と同じ部屋ッスか?」

 「そうだよ。それじゃ、ちょっと行ってくる。」



▽▽▽▽▽



 ミツキのリクエストのローストビーフサンドを始めとして何種類かのサンドイッチと、ちょうど8本セットだった肉串の盛り合わせを一つ、あとは野菜も少しはあった方がいいかと思い、コーンスロー風のサラダを二人前頼んだ。


 よく考えたらコーンは野菜じゃなく穀物だな。

 キャベツ風の葉野菜も多めに入っているから良しとしよう。


 料理は出来上がったらカウンターに取りに行くことを店員に告げ、とりあえず簡易宿泊所の受付カウンターへ向かった。


 幸い角部屋の4人部屋が空いていたので今持っている部屋の鍵を返し、そちらを借り直す。

 一人銀貨5枚だというので、とりあえず4人で1週間分押さえておいた。


 簡易宿泊所でこの値段だったら、サオリさんが取ってくれいる宿はもっとかかっているだろうな。

 あとで聞いて追加で宿代を渡しておこう。



 サナです。

 お父さんがほっぺにちゅーされたときの嬉しそうなのに、くすぐったそうな顔が可愛くて好きです。


 次回、第二○三話 「ペドフィリア」


 やっぱり温泉気持ちいいー。

 …あ、お母さんが溶けてる。

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