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第一九九話 「リキャスト」


 「えい。」

 「ひぁ!」

 いきなりサオリさんに耳を甘噛された。


 「いきなり何を…。」

 「えー、最初にこれをしたのレン君じゃないですかー。お姉さん初めての時、ビックリしたんだから。」

 そんな、いきなりベッドの上の話をされても。

 って、もしかしてサオリさん発情してる?


 淫スキル【性病検査】で【健康状態】を見ると『発情期3日目:中期』、【状態異常】も『酩酊』、『発情』になっていた。

 酔ってる上に発情スイッチ入ってるなこれ。


 「よいしょっと。」

 抱きかかえられ、向かい合わせの形で洗面台に座らされると、ちょうど眼の前にサオリさんの笑顔があった。


 「サオリママ…。」

 「んーん。今はお姉さんですよー。」

 結構酔いがまわってるな、これ。


 「レン君のおかげで、だいぶ男の人が怖くなくなってきたと思います。

 だから、これはその御礼です。」


 チュっと軽く唇にキスをされたかと思うと、そのまま頭を胸に埋めるように両腕で抱きかかえられた。

 酔った勢いでキスをしたのはいいが、照れくさかったらしい。


 「どきどきしてるの、聞こえますか?」

 「はい。」

 トクトクトクと早鐘を打つようなサオリさんの鼓動が聞こえる。


 「…レン君、このどきどき鎮めるの手伝って貰えませんか?」

 「お姉さん。」

 「ん?」

 腕が離れた瞬間を見計らってサオリさんにキスをする。


 「はい、喜んで。」

 「うふふ。よろしくおねがいしますね。レン君。」



▽▽▽▽▽



 「一日に3回もお風呂に入るなんて贅沢ですね。」


 戦場が洗面台前、ベッドと移り変わり、今はその汗を流すべくお風呂場だ。

 サオリさんの膝と言うか腰の上に向かい合わせに座らされながら二人で風呂に浸かっている。


 あまり厳密に測ったことはなかったのだが、お互いに経験値が入らなかった事を考えると、『レベル上げ』は夜の0時以降でリキャストされるっぽい。


 「今日はわたしが添い寝当番なので、温かいうちに一緒に寝ましょうね?」

 あ、やっぱりそうなんだ。

 それにしてもサオリさんが、スッキリした顔で、と、いう言い方をしたら失礼かもしれないが、晴れやかな笑顔で語りかけてくるのが何故か嬉しい。


 「そうですね。」

 「明日もよろしくお願いしますね。」


 「ええ、また切なくなったら何時でも言ってください。」

 「むー。そうじゃなくて…まぁいいです。そろそろお風呂上がってお部屋に戻りましょうか?」


 お風呂を上がってお互いの身体を拭きあい、サオリさんの髪の毛をドライヤーで乾かした後、宿の部屋の方に戻った。


 サナとミツキの寝息を確認しながら二人でベッドに潜り込み、また抱き合うようにして、そのまま眠りにつく。


 こんな感じで眠りにつくのも今晩が最後だろう。

 明日からはランクアップして、おそらく元の姿に戻ってしまうのだから。



▽▽▽▽▽



 この抱き枕は本当に柔らかくて寝心地がいい。

 堕ちていくようだ。


 「…ちゃん。レンちゃん、起きてー。」

 「ん、んぁ。」

 ユサユサと揺り動かされる。

 その度にポヨンポヨンと柔らかく温かいものに顔が当たる。


 「レンくん、朝ッスよー。」

 「ふぁー、おはよう、サナお姉ちゃん、ミツキ姉。」

 「んー、おはようレン君。」

 「おはよう、お姉さん。」

 サオリさんも目を覚ましたようだ。


 「お姉さん?」

 「いや、おはようございます。サオリママ。」

 ミツキの言葉に慌てて言い直す。

 いや、別に言い直すほどの話でもないのだが。


 「レンちゃん、お部屋用意してー。」

 「あーふぉ。はーい。」

 朝食の準備の時間か。


 あくびを噛み殺しながら、宿の扉に向けて淫魔法【ラブホテル】を唱える。

 頭がまだ回ってないので昨日の朝と同じ部屋にした。


 「ありがとう。それじゃ!」

 「最後の『レベル上げ』いくッスよ!」

 「え?わたしも?」


 まてまてまてまて。



 サオリです。

 その、あの、え?わたしも?


 次回、第二○○話 「温もり」


 こんな人数でできるものなの?

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