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第一九一話 「ミツキのターン」


 「はわわわわわぁゾクゾクするッスー。」

 サオリさんをお風呂に送り出し、サナの耳かきも終わったので、今はミツキの耳かきに挑戦している。


 なんでも兎人族には耳かきの習慣がないらしい。

 と、いうかまとめて耳尾族と呼ばれる耳と尻尾に特徴のある亜人族には基本的に耳かきの習慣が無いそうだ。


 耳の穴の位置が根本的に違うので、ミツキには胡座あぐらをかいたところに縦に仰向けで寝てもらっている。


 子どもの歯磨きチェックをする感じより、もうちょっと下。

 くるぶしあたりを枕にしているような感じだ。


 うさ耳の耳かきなんて生まれて始めてなので、最初は綿棒で恐る恐るチャレンジしていたのだが、だんだんコツが掴めてきたので、今は普通の耳かきを使っている。


 「はい、おしまい。」

 最後にフッとうさ耳に息を吹きかけると、ミツキは変な声を出してプルプルプルと震えた。


 「ミツキちゃん、耳かきどうだった?」

 「これ、ヤバイッスね。」

 どさくさに紛れて、胡座をかいている片足というか股関節あたりを枕にしながらサナがミツキに問いかけていた。


 「お風呂いただきました…あら?ずいぶん仲良しさんね。」

 サオリさんから見たら一塊になっている猫みたいな状態に見えるのだろう。

 微笑ましそうにこちらを見て笑っていた。



▽▽▽▽▽



 「で、今晩はミツキ姉が添い寝の番なのね。」

 「そうッスよー。姉枕ッスよー。」

 と、いうか、また抱かれ枕な訳だが。


 四人部屋の意味とは?


 「あ、それから明日の朝のレベル上げ当番もアタシッス。

 ちょっと大きめのベッドのお部屋だと嬉しいッスねー。」


 なんか当番が色々と増えてない?

 まぁ、いいか。

 周回の順番も色々変わっているようだが、その辺りは話し合いで解決しているっぽいし、下手に口を出さないでおこう。


 サオリさんとは感触も香りも違うミツキの胸に顔を埋めながらそんな事を考えていた。


 「おやすみッス。」

 「おやすみ、サナ姉。」



▽▽▽▽▽



 「むぅぅぅぅ…。」

 ンチュ

 「レン君、朝ッスよー。」

 キスで起こされるというのは、もうちょっと軽いものであるべきではなかろうか?


 「朝のお勤めするので、お部屋用意して欲しいッス。」

 朝のお勤めって…。


 ちょっとまだ自分が寝ぼけている感があるが、部屋の扉の前まで行き、淫魔法【ラブホテル】を唱える。


 えーと、たしか大きめのベッドがいいって言ってたな…。

 キングサイズのベッドがある部屋を選び、扉に魔法をかける。


 「サナ姉、準備できたよ。」

 「レンくん、ありがとうッス。じゃ、いきますかママさん。」

 ママさん?!


 「あの、今日もよろしくお願いします。」



▽▽▽▽▽



 「あの、わたしだけ、まだレン君のレベルを上げられていないので、ミツキちゃんに協力して貰おうと昨日の晩にお願いしたんです。

 その、3人の方が、そのレン君のレベルが上がりやすいらしいですし…。」


 『ミツキ姉!解説を求む!』


 『ママさん、昨日の朝の会話を勘違いしてるんスよ。

 一人ひとり相手してもらうと、ついついアタシ達甘えてしまって長くなるから、二人一緒の方が時間辺りの効率がいいって話をしたつもりだったんスけど、それを3人でした方がレベルが上がりやすいとママさんは思っちゃったらしいッス。』


 『おぅ…。で、それは訂正しなかったの?』


 『その事だけなら訂正したほうがいいと思ったんスけど、自分だけレンくんのレベル上げの力になれてない。っていう無力感はアタシも分かるッスから、なんとか力になれないかなーと思って。

 サオリさん一人分なら、またレンくんのレベル上がらないかもしれないッスけど、アタシと二人分なら、たぶんレベル上がるだろうし、それならサオリさんも納得というか満足すると思うんスよ。』


 『分からないでもないが…。』


 『ちなみにサナちーも納得済みッスよ。

 逆に後でレンくんと二人でラブラブする時間が出来るって喜んでたッス。

 あとサオリさんの発情期の事も聞いてるッスから、そっちもアタシ達協力するッスよー。』


 その話を昨日風呂場でしてたのか。

 とんだネゴシエーターだ。

 …そういえばスキル【交渉】持ってるんだっけな。


 「あ、あの、駄目でしょうか?」

 「大丈夫ですよ。サオリママも発情期で大変なところに気を使わせてすいません。」

 「いえ、そんな…」


 「はいはーい。それじゃ朝のお勤め始めるッスよー。」

 ミツキの胴タックルがベッドに向けて炸裂した。



 サナです。


 耳かきなんて何ヵ月ぶりだろ?

 いっぱい取れるのが嬉しいのはわかるけど、そう言われるのは凄い汚れてたみたいで恥ずかしいです。


 次回、第一九二話 「朝のお勤め」


 さて、二人ともお部屋に行ったし朝御飯の準備しよう。

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