表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

184/979

第一八三話 「ナンパお断り」


 「今ので何人目ッスか?もー。」

 「お母さん、大丈夫?」

 「ええ。でもやっぱりいつもみたいに顔隠した方がいいのかしら?」

 「うちは美人揃いだからなぁ。」


 5組目のナンパ師を追い返し、やっと探索者ギルドの受付までやってきた。

 ここにたどり着くまでにサオリさんやミツキにナンパやパーティーの勧誘が引っ切り無しだったのだ。

 後者もナンパの一環っぽいが。


 見目もスタイルも良く、ある程度装備も整っており、更には二人とも眼鏡という高級品を使っているせいもあるかもしれない。

 あらゆる意味で狙われているのだ。


 「大人の時の私は何気に普段虫よけになっていたんだな。」

 「ですねー。」

 サナが頷いている。

 さっきまで私と二人で『必殺実は子持ちアタック』や『家族で来てるのでブロック』を駆使してナンパや勧誘を引きはがしていたので少々疲れている。


 「次が来る前に、ちゃっちゃと登録したほうがいいッスね。これ。」

 「そうだな。」


 探索者ギルドの受付で子どもの身体で新規登録をして迷宮入口の受付へ向かう。

 最初はバラバラに動いて迷宮内で待ち合わせの予定がナンパよけという予想外の理由から合同で動くことになってしまった。


 ロマさんとかに見つかると言い訳に困るなこれ。


 受付で探索者タグを見せ4人で入場する。

 サオリさんに言わせると、エグザルの迷宮の受付から入口までは今まで入った迷宮の中で、一番厳重だそうだ。


 ほかの街でも迷宮内から魔物が溢れた時のために、ある程度広く空間を取って対応できるようにしているが、ここみたいに砦のような城壁があるのは初めて見たとのことだった。


 「魔王が出た迷宮だからッスかね?」とミツキが言っていたが、無関係ではないだろう。

 地上と地下で二つ迷宮があるのも影響しているかもしれない。


 ここまでくると、また人が多くなる関係で本当にナンパがウザい。

 迷宮内に連れ込んでしまえばこっちのもの感が見え隠れしている分、特に不快だ。


 サオリさんがここの迷宮は初めてだというので正面から入ろうかと思ったが、微妙にストーキングしている奴もいるくらい狙われているので、モンスターより探索者の方が危険そうだから公衆トイレから淫魔法【ラブホテル】でショートカットして迷宮に入ってしまおう。


 私とサオリさんがレベル17と18。

 サナとミツキがレベル25なので、ランク1から2くらいを相手に手堅く戦っていこうかと思う。


 前にサナと二人で行った新迷宮4階あたりがレベル的には手堅いけど、まだ敵が涸れているなら、それこそ旧迷宮も視野に入れないとな。


 「転移魔法なんですか?」

 公衆トイレの奥の個室からラブホテルの部屋へ、ラブホテルの部屋から迷宮の小部屋にショートカットしたところ、サオリさんがそう声を上げた。


 「アタシも最初はそう思ったッス。空間魔法と転移魔法の合わせ技っぽい感じッスねー。」

 ミツキが代わりに説明してくれている。

 実際のところどういう魔法なのかは使っている私にすら分からないのだが。


 「新迷宮の4階ですね。」

 「え?わかるの?」

 「うん、初めてお父さんと一緒に戦った場所ですから。」

 そういってサナがにっこりと笑う。


 「久しぶり。ってほどではないか。」

 「もう10日くらい前だったかなぁ。」

 サナが指折り数えている。


 懐かしむのは後にして、とりあえず今は現状の確認をしよう。

 ちなみにラブホテルの部屋に入った時点で私の身体は淫魔モードに変えている。


 淫魔法【夜遊び情報誌】を使って、この階層の情報を再取得すると、今まで新迷宮では見たことの無いくらいの数のモンスターが表示された。


 「お、湧いているみたい。」

 「湧くってなんスか?」

 「新しく敵が現れているってことよ。

 他のパーティーもいないし、狩りたい放題ね。」


 それこそ最近湧き始めたのだろう。

 特に今いる小部屋は新迷宮5階へ行く階段の近くなので、新しいパーティーが下から来たとしても、しばらくの間は独占状態だ。


 「獲物の取り合いより、他の人達に会わなくていいのは気が楽ですね。」

 サオリさんが右手を胸に当てながら、ホッとした表情でそう言った。


 今は私も淫魔の身体だから女性オンリーのパーティーで迷宮の奥深くだ。

 変なパーティーに絡まれるのだけはご遠慮したいというのは、そのとおりだと思う。


 「釣り役は、あたしでいいですか?」

 サナがやる気満々でガッツポーズをしている。

 どうやらサオリさんに良いところを見せたい様子だ。


 「今回は敵が多いから私が釣ってくるわよ。

 でも、その前に階段周りを掃除しないとね。」


 「レンちゃん、その姿だと女言葉になるのねぇ。」

 サオリさんが右手を頬にあて、軽く首を傾げながらそういった。

 

 「とりあえず、新迷宮5階への階段前が少し広いので、そこを主戦場にしようと思います。

 今は、デミミノタウロスが数体うろついているので、まずはそれから狩って行きましょう。」



 ミツキッス!

 もう次から次から次から次からもう!

 やっぱりママさんが人族から見て美人よりなせいッスかね?


 次回、第一八四話 「スキル」


 ちなみに、めっちゃ美人ってほどじゃないから声かけやすいって失礼な状況ッスよ?

 アタシもッスけど。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ