第一八一話 「ポジション」
2019/02/09 11:40
後書きが一話分ずれていたので修正しました。
「レンくん、捕まえたッス!」
「ミツキ姉、今更逃げたりしないよ。」
ミツキに後ろから抱きしめられ、そのまま踊るように回転して、ベッドに座らされる。
尻こそベッドの上に乗っているが、ミツキ椅子というか両手がお腹に回っているのでミツキ型拘束具といった趣だ。
背中に当たる胸は、またサオリさんと違った感触だと、ぼんやり思っていると正面から顎を両手で捧げ持つような恰好でサナにキスされた。
「レンちゃんも可愛いけど、やっぱり早くお父さんに戻って欲しいな。」
そういってサナは私の頭を抱きしめる。
「アタシもそうッスねー。やっぱり抱きしめるより抱きしめられたいッス。
今のサイズだと、寄りかかることも出来ないし。」
「うん。あたしも抱っこされたい。」
前は私が座っている状態だと、ミツキはわりと肩に寄りかかるのを好むし、サナは足の上にこちら向きに座って抱き着いて来ることが多かった。
二人曰く、スキンシップだそうな。
ミツキなんかは『レベル上げ』もスキンシップとコミュニケーションの一部だと言うくらいだ。
実際のところ、元の世界とは倫理観の違うこの世界では、そのとおりかもしれない。
発情期が終わっているのに求めてくるサナは、快楽よりも、より強い心と身体の触れ合いを、スキンシップを求めているのだろう。
サナは基本的に自分がどうこうより、絶対お父さん気持ちよくさせたいガールなのだ。
結果的にそのお礼として返り討ちに合うのだが。
それに比べるとミツキの方は、コミュニケーション重視な感じがする。
お互いに。とか、自分も含め、みんなが気持ちよくなる事を重視するスタイル。
好きな相手なんだし、どうせなら楽しんだほうが良いと公言するとおり、意思表示が素直ではっきりしている。
「お母さんに気を使ってくれているんだと思うけど、もっとお父さんの時みたいに、くっつきたいです。」
「そうッス、そうッス。
あと、レンくん、ママさんにデレデレしすぎじゃないッスか?
ああいう大人の女性がタイプッスか?」
いや、意識はしてしまっている自覚はあるが、デレデレはしていないだろう。
「タイプというか、サオリさんは大人だから素直に女性として見てしまってるのはあると思う。
前にも話したかもしれないが、二人はこの世界だと成人女性だろうけど、元の世界では、まだまだ子どもの年齢だから、女性として見ては駄目みたいな感覚がまだ私に残っているところに、サオリさんというサナの保護者がいる形だろ?
保護者の目の前でイチャイチャするのは気まずいし、それに加えてさっきみたいな感覚がぶり返してるのかもしれない。」
「それ、アタシ達に向かう分もママさんに行ってるって事じゃないッスかー。」
「むー。お母さんを気に入ってくれるのは嬉しいけど、寂しいです。」
あれ、もしかしてこれ修羅場?
「本当のお父さんになってくれるのもいいと思ってるけど、それでも前より心が離れちゃうのは嫌です。」
え?サナ、そんな事も考えてたの?
いや、本当の娘ポジションを希望するのは理屈としては分からなくないけど。
「アタシはレンくんの。いやパパの側に居れればそれでいいッスけど、パパの一番はサナちーであって欲しいッス。
単なるワガママッスけどね。」
ミツキは愛人ポジションというか第二夫人ポジションというか。
欲が無いというより今までの経験から多くを望まないタイプのようだ。
新しいメンバーに、というより、新しいメンバーが入ったことによる不満が募っていた様子だ。
こういうのハーレム作ってる奴、大変だろうな。
それはさておき、こういう話し合いの場というか、ガス抜きの場を設けるのもあって、昨日ミツキは二人一緒がいいと言ったのだろう。
サナ一人だと口には出さないだろうしな。
こういうところはミツキに支えられているな。と実感する。
「サナちー、ここは二人がかりでレンくんをメロメロにして愛を取り戻すッスよ!」
「うん!」
いや待て、いま褒めようと思ったところなのに。
▽▽▽▽▽
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>1,100ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レベル16になった
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>10ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>910ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レベル17になった
>ミツキは淫魔の契りにより主を倒した
>10ポイントの経験値を得た
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>10ポイントの経験値を得た
>ミツキは淫魔の契りにより主を倒した
>10ポイントの経験値を得た
▽▽▽▽▽
「二人とも、こんな事しなくても、ちゃんと大切に思ってるよ?」
身体で説得された訳じゃないが、素直な気持ちを伝えておく。
「わかってるッスよー。」
「ちょっと拗ねただけです。」
私をお姉さんサンドにしながら、イタズラが成功したみたいに笑う二人。
「元のお父さんに戻ったら、いっぱい甘えさせてくださいね。」
「どっちみちそれには『レベル上げ』頑張らなきゃッスね。」
「そ、それで、今はレベルいくつになったのですか?」
「17まで上がったよ。…って、サオリさん?!」
声の方を向くとラブホテルのドアの隙間から顔を出しているサオリさんがいた。
サ、サオリです。
あの、す、凄いですね。
次回、第一八二話 「健康状態と状態異常」
サナがあんなに…。




