表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

178/979

第一七七話 「過去」


 原因はサナの実の父親に当たる勇者だった。

 まれびと信仰と夜伽歓待。


 閉鎖された村などで血が濃くなり過ぎるのを防ぐために強く新しい血を入れる儀式として、また、サオリさんの時は勇者、そしてその勇者の所属国とのつながりを濃くするための政治的意味も含めて、里を訪れた勇者の相手をサオリさんがする事になったそうだ。


 サオリさんはその時13歳。

 族長の娘ということで、知識はあったものの、今のサナのように身体も小さく、発情期もまだ迎えていない状態だったが、秘薬を飲み、強制的に子作りができる状態になって事に及んだらしい。


 ところが、先に得ていた知識とは全然違い、相手は乱暴で、自分勝手で、そして加虐趣味だった。

 大きな身体で覆いかぶさられ、破瓜どころか、中が裂けるほどの、内臓に損傷が出来るほどの体験だった。


 それは、事後に緊急に回復魔法が必要なほどであり、当時の族長であるサオリさんの母が、あまりの酷さに激昂してその勇者を殺しかけるほどだったそうな。

 政治的な判断も含めて勇者は殺さず里から追い出したが、幸か不幸かその1回でサオリさんは身籠った。


 十分に育ちきっていない身体では当然難産で、産後の肥立ちも悪く、その頃から腹痛が続いていたらしい。


 弱りきったお腹のせいか、それ以後、発情期も来ないまま歳を重ねていったが、そんなサオリさんでも婿になりたいという男はいた。


 それがサナの言うお義父さん。

 その人はサオリさんから見ても幼馴染だったそうだ。


 すでに男性は恐怖の対象でしかなかったサオリさんだったが、優しく、理解のあるその幼馴染に少しずつ心を許し、その後、サナ達が4つになる頃に再婚したそうだ。


 その後は幸せな生活が続いたものの、サナ達が7歳の時に再婚相手が死亡。

 今思えば、病んだ場所は違えど、回復魔法も効かなかったので、先程の自分と同じ病気だったのでは?とサオリさんは言っていた。


 再婚中も男性恐怖症は拭いきれず、大きな身体で覆いかぶさられると、勇者の時の事を思い出して恐怖を感じてしまったらしい。


 結局は再婚相手とも身体を重ねることは叶わず、相手が発情期の時に手伝うだけの性生活だったそうな。


 それでも一緒にいたいと言ってくれた事が嬉しかった。

 種無しの旦那と回りに揶揄されながらも自分をかばってくれたその人が好きだった。と、遠い目で懐かしむように、そして寂しそうに話してくれた。


 「ごめんなさい。しんみりしちゃったわね。」

 「いいえ。話してくれて嬉しかったです。」

 頭を撫でるサオリさんを天井を見上げるような格好で見つめた。


 元の身体では、こんな話はしてくれなかったかもしれない。

 恐怖感を感じない小さな身体、元の旦那の雰囲気もない子どもの身体の私だったからこそ、話してくれたのだろう。


 「なんか、人に話してしまって、少し楽になったかも?」

 「それは良かった。」

 文字通り大人と子どもの体型差があるので、今は横抱きに座らされて見つめられている。


 支えている左手に体重が掛かってしまうので、右手をサオリさんの首に回し掴まる。

 こんな体勢、させるのはともかくするのは初めてだな。

 そんな事を考えていると


 「それでもたぶん、まだ怖く感じてしまうと思うから、優しくしてくださいね。」

 そういってサオリさんは優しく口付けてきた。



▽▽▽▽▽



>サオリは淫魔の契りにより主を倒した

>20ポイントの経験値を得た



 「ん。これで本当にレベルが上がるんですか?」

 「あの、たぶん、二人の説明不足だったと思います。

 その、サオリさんが達する側じゃないと、私の方のレベルは上がらないんです。」


 サオリさんのご奉仕は、さすが何年も旦那の発情期を手伝っていただけのことはある。と思うほどだったし、こちらのサイズのせいか余裕があったようで、お姉さんが教えてあげる状態で非常に良いものだったのだが、これでは私のレベルが上がらない。


 とはいえ、これが無駄だったわけではない。

 おかげで、この子どもの身体が精通している事を確認できたし、本番の前に『淫魔の契り』の指輪を作って渡せる事が出来たからだ。


 改めてサオリさんに『淫魔の契り』の説明をする。


 「はぁ。そういう事なんですか…。

 でも、その、わたし、そういう喜びっていうんですか?感じたことが無くて…。

 力になれなかったらごめんなさい。」

 そういって、シュンとなるサオリさん。


 大人の女性なのに、こういう仕草が可愛いのはズルいと思う。


 「大丈夫です。任せてください。優しくしますから、緊張しないでリラックスしてくださいね。」


 子どもの身体でこういう事を言っても締まらないが、安心させるためにそういって、両手でサオリさんの頬を捧げるように押さえ、その桜色の唇に口づけた。


 スキル【精技】ランク3

 種族スキル【フェロモン】と【テクニシャン】

 淫スキル【性感帯感知】

 淫魔法【被虐の心得】と、ついでに【精力回復】

 出番だぞ!


▽▽▽▽▽



>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した

>740ポイントの経験値を得た



>サオリは淫魔の契りにより主を倒した

>20ポイントの経験値を得た



 サオリです。

 その、て、手伝うのは良いんですが、あ、あの、されるのは、その、は、恥ずかしくて…。


 次回、第一七八話 「連戦」


 あ、はい。怖くも痛くもなかったです。

 その、き…恥ずかしい…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ